「造園業にはどんな資格があるの?」

「資格がないと働けないのかな?」

「キャリアアップには何が必要なんだろう?」

 

そんな疑問を持ったことはありませんか?

 

庭づくりや緑地の管理に関わる造園業には、さまざまな専門技術や知識が関係しています。

 

とはいえ、最初からすべての資格を持っていなければ働けないというわけではありません。

 

実務経験を積みながら資格取得を目指すこともでき、自分の目指すキャリアに合わせて成長できるのが造園業界の特徴です。

 

この記事では、造園業に関係する主な資格や、それぞれの資格が果たす役割、働き方について詳しく解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。




目次

造園業の資格とは?本当にいるの?

造園業は庭園や公園、緑地空間の設計や施工、管理などを行う仕事です。

業務の幅が広く、さまざまな専門知識が求められるため、関係する資格が数多く用意されています。

ここでは、造園業に資格が必要な理由とメリットをお伝えします。

造園業に資格が必要な理由

造園業で資格が必要とされる主な理由は、下記の3つ。

  • 特殊な技術や知識の習得
  • 安全性の確保
  • 法律遵守の確保

例えば、造園工事の現場監督を務めたり、公共事業や一定規模以上の造園工事を請け負ったりする場合は、公的な資格が求められることがあります。

造園業には重機の使用や高所作業など、危険を伴う作業が多くあります。

ですので、資格を持つことで事故リスクの低減や信頼向上につながります。

より専門性が高い業務ほど、資格の有無が問われる傾向があります。

とはいえ資格がなくても働ける

造園業において、資格が必須となる業種・業務は限定的です。

多くの現場作業は、未経験・無資格の状態からスタートできます。

実際の現場で経験を積みながらスキルを磨くことが可能です。

初めから高い専門性が問われる業務に携わる必要はなく、入職後は下記のキャリアが一般的。

  • まずは、アシスタント業務や簡単な作業を担当
  • 働きながら業界の基礎知識を身につける
  • 必要に応じて資格取得を目指していく
  • 現場監督や管理業務に昇進


資格がなくても働ける分、幅広い人材がチャレンジしやすい業界です。

資格があればキャリアの選択肢が広がる

造園業界で資格を取得することには多くのメリットがあります。

とくに重要なポジションや大規模案件を担当する場合、各種資格の有無が昇進や賃金アップにつながるケースが多いです。

例えば、施工管理、設計、コンサルティング業務などは資格保持者が優遇されます。

また、独立開業を目指す際や他業種への転職でも、資格は大きな強みとなります。

資格取得によって、仕事の幅やキャリアアップの可能性が大きく広がる点は、造園業や建設業界ならでは魅力でしょう。

造園業に関係する主な資格

造園業界には多くの資格があり、それぞれの業務や分野に特化した内容となっています。

法令で取得が義務付けられているものもあれば、キャリアアップや専門性アピールのために取得するものもあります。

ここでは、代表的な造園業関連資格について、それぞれの特徴や取得メリットを説明します。資格選びの参考にしてみてください。

造園技能士

造園技能士は、国家資格の一つであり、造園現場の基礎技能から専門技術までの知識・技術レベルを証明します。

1級から3級まであり、資格所有者は庭園作りや植栽、石積みなど幅広い分野で活躍できます。

また、昇進や職種の幅を広げる点でも有利です。

現場によっては、実質的に造園技能士が必須となる場合も多く、キャリアアップを目指す人にとって取得すべき資格の一つです。

造園技能士の受験資格や試験内容は下記の記事で詳しく解説しています。詳しい仕事内容や将来性も解説しているので、ぜひご覧ください。

造園施工管理技士

造園施工管理技士は、主に公共事業などの大規模造園工事で必要となる資格です。

1級・2級があり、現場の施工管理・工程管理・安全管理など幅広い知識が求められます。

資格を持つことで、現場責任者や管理職にキャリアアップできる可能性も高まります。

造園会社の信頼度向上や、大型案件受注のためにも重要。業界で長く活躍するためには必須級の資格といえます。

造園施工管理技士の受験資格や必要な実務経験については、下記の記事で詳しく解説しています。受験を希望する方はぜひこちらも合わせてご覧ください。

土木施工管理技士

土木施工管理技士は、造園業に深く関係する資格です。

土木工事全般に関わるため、造園工事の基礎である地形造成や舗装、各種構造物の設置など幅広い業務で役立ちます。

公共工事や大型プロジェクトで必要となるケースも多いため、造園業だけでなく土木業界との連携を図りたい場合、取得をおすすめします。

現場管理だけでなく、職域の拡大や転職にも有利な資格です。

土木施工管理技士を取得する方法は下記の記事で詳しく解説しています。受験資格から試験スケジュールまでわかりますので、ぜひご覧ください。

エクステリアプランナー

エクステリアプランナーは、住宅や商業施設などの外構設計・提案を主とした民間資格です。

顧客のニーズに応じた空間デザイン、植栽、素材選びなど、デザイン性と機能性を両立させる知識が求められます。

都市部や個人住宅の外構工事需要が高まる中、設計・プランニング部門へのキャリアアップを考えている方にとって大きな強みとなります。

資格取得で提案力が高まり、顧客からの信頼も得やすくなります。

詳しい仕事内容や資格の概要は下記の記事で解説しています。エクステリアプランナーの資格を取得する方法がわかりますので、ぜひチェックしてみてください。

グリーンアドバイザー

グリーンアドバイザーは、園芸や植物に関する専門知識を持ち、緑を生活空間に取り入れるためのアドバイスや指導を行う民間資格です。

主に園芸店勤務やホームセンター、造園企業での販売アドバイザー、ガーデニング教室講師などに役立ちます。

植物の選定や育て方、病害虫の防除方法など実務的な知識を学べるため、現場でも即戦力となる資格です。

顧客満足度アップや新しい分野への挑戦にもつながるでしょう。

受験資格や難易度については下記の記事で詳しく解説しています。グリーンアドバイザーの勉強方法がわかり、合格率が上がる可能性がありますのでぜひご覧ください。

街路樹剪定士

街路樹剪定士は、街路樹や公園樹木の剪定・維持管理に必要な知識と技術を持つことを証明する資格です。

受験するには、該当する資格や実務経験が必要なので、経験者向けの資格になります。

地方自治体や造園会社が発注する公共工事、緑地管理業務での入札要件として指定される場合もあります。

樹木剪定は見た目や健康状態に直結するため、専門知識が必要です。

街路樹剪定士を持つことで、安全かつ的確な作業の実施や発注先からの信頼獲得に大きく役立ちます。

資格概要については下記の記事で詳しく解説しています。合格率や勉強方法が分かりますのでぜひご覧ください。

樹木医・樹木医補

樹木医および樹木医補は、樹木の診断・治療に関する高度な知識を有することを証明する認定資格です。

公園や寺社の巨木保存、街路樹の健康維持、文化財樹木の保全など、樹木管理のスペシャリストとして活躍できます。

民間や行政より依頼されるケースも多く、樹木の専門家として高い評価を得られるようになります。

樹木医補は、樹木医を目指す前段階として役立つ資格です。

試験内容や合格率は下記の記事で解説しています。樹木医に興味のある方はぜひご覧ください。

造園業に必要なスキルと知識

造園業は、単なる作業だけでなく、設計やデザインから施工、維持管理に至るまで多岐に渡る知識とスキルが求められる業界です。

特に近年は、環境問題や持続可能性への関心も高まっており、より高度で専門的な知識が関係する場面が増えています。

ここでは、資格取得とともに、実践で求められるスキルや勉強しておきたい知識について整理していきましょう。

設計・デザイン分野に求められる知識・スキル

設計やデザイン分野では主に下記のスキルが必要。

  • 空間構成・植栽計画
  • 色彩設計
  • CAD操作
  • プレゼンテーションスキル

顧客の要望を的確に把握し、美しさと機能性、安全性を兼ね備えた空間を提案する能力が重要。幅広い知識が必要になるでしょう。

特にエクステリアプランナーや造園施工管理技士の資格は、この分野で活躍するために不可欠です。

時には環境工学や景観法、防災対策の知識も求められます。

維持管理・施工分野に求められる知識・スキル

維持管理や施工の現場では、資材管理や現場安全管理、施工方法、設備機器の扱い方など実践的なスキルが欠かせません。

樹木の適切な剪定、芝生や植栽の定期管理、害虫防除、適切な施肥なども重要です。

さらに、天候や立地条件に応じた作業計画、安全衛生基準の理解なども求められます。

この能力は、造園技能士や造園施工管理技士などの仕事を行う上で重要となります。

園芸や樹木に関する専門知識

造園業では園芸や樹木に関する専門知識が必須です。

植物の選定・植栽技術、成長に適した環境や手入れの方法、病害虫や気候への対応方法など、幅広い知識を習得することで現場での問題解決力が高まります。

グリーンアドバイザーや樹木医といった資格を取得することで、プロとしての信用力・専門性をより明確にアピールできますし、顧客からの信頼獲得にもつながります。

資格取得前に知っておくこと

造園業の資格を取得するには、事前に受験資格や費用、取得までの期間などさまざまな点を確認しておくことが大切です。

それぞれの資格には、決められた要件や試験内容があり、効率よくキャリアアップを目指すには、しっかりとした計画が必要となります。

ここでは資格取得前に押さえておくべきポイントについて解説します。

受験資格を知ろう

造園関連の各種資格には、実務経験や学歴、年齢制限など、受験資格が設けられているものが多くあります。

例えば、造園施工管理技士や土木施工管理技士は、一定期間以上の現場経験や指定学科の卒業が条件になる場合があります。

一方、民間資格では比較的簡単に受験できるものもあります。

まずは自分が希望する資格の公式情報を確認し、要件を満たしているかどうかをしっかり確認しましょう。

資格取得にかかる費用を知ろう

資格取得には受験料や講習費用、教材代など、さまざまなコストがかかります。

国家資格では、数千円から数万円の費用が必要になるケースが一般的です。

遠方への移動費や宿泊費が発生することも考慮しておく必要があります。

会社の補助や自治体の助成金制度が利用できる場合もあるため、取得を検討する際は総コストを事前に把握し、計画的に準備しましょう。

資格取得までにかかる期間を知ろう

資格によって、取得までに要する期間は大きく異なります。

例えば、造園技能士や施工管理技士では、実務経験を積む必要がある場合もあり、受験資格の獲得に数年かかることも珍しくありません。

勉強時間においても、筆記・実技試験対策や講習受講も含めると、最短でも半年から1年、場合によってはそれ以上かかる場合もあるでしょう。

自分のキャリア計画や仕事の忙しさを考慮し、無理のないスケジュールで取り組むことが大切です。

まとめ:造園業に関係する資格を知りキャリアの可能性を広げよう

造園業には、関係するさまざまな資格があります。

今回紹介した資格は、専門性の証明や職域の拡大、キャリアアップの大きな武器となるでしょう。

一方で、資格がなくても幅広く活躍できるのも造園業の魅力です。

自分に合った資格やキャリアを見極め、業界での活躍と成長を目指しましょう。

 

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氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期か ら植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。 公園の設備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植 栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 ダーチー

工場に勤務しながらWebライターをしているダーチーと申します。これまで、建設業や製造業、物流業、飲食店のアルバイトまで経験しました。