これから建設業への就職や転職を考えている人にとって、本当に建設業は儲かるのか疑問に思う人もいるのではないでしょうか。
建設業は基本的にきつくて体力が必要な場面がほとんどであり、大変な仕事に見合った給与がないと納得できないでしょう。
ただ、給与の高さだけを追い求めていると後悔する可能性があるので、建設業に向いているのはどんな人なのか知ることも大切です。
また、建設業の個人事業主が年収や職人単価を上げる方法や注意点も知っておきましょう。
それでは、本当に建設業は儲かるのか、建設業でも受けやすい業種や建設業に向いている人の特徴、一人親方の年収・職人単価ランキング、建設業の個人事業主が年収や職人単価を上げる方法や注意点についてご説明しましょう。
目次
建設業ならどの業種でも儲かるわけではない

勘違いしやすいのは、同じ建設業でも等しく儲かるというわけではない点です。
どの業種でも儲かるための努力はしていますが、規模が縮小していたり将来性が低かったりするような業種だと長期的に見て儲かるのは難しいと言えます。
このことから、儲かることを考えるなら給与や年収の高さだけでなく、将来性があるかどうか見極めることも重要です。
建設業で儲けやすい業種

建設業で儲けやすい業種は、以下の通りです。
- 塗装
- 足場/とび職
- 大工
- 内装
- 設備組み立て
- 外構
- 解体
それでは、建設業で儲けやすい業種についてご説明しましょう。
塗装
塗装業者は外壁や屋根などの塗装に関する需要が非常に高く、メンテナンスの際に依頼されるので将来性が非常に高いのがポイントです。
実際に塗装業者として働いていても、覚えることはそこまで多くないので働きやすく、真面目に働いて塗装業者に必要な知識や技術を身に付けることで早々に独立することも夢ではありません。
ただし、塗装業者は需要が高いがゆえに競合他社が多く、どんな地域でも独立して上手くやっていけるかどうかは自分の工夫次第です。
さまざまな方法を駆使して、他社よりも自分のところが優れていることをアピールしましょう。
足場/とび職
新築住宅や住宅の解体などで必ず必要になる足場工事で活躍するとび職も、非常に需要が高い業種です。
幅広いジャンルで必要とされるうえに、戸建てからステップアップして商業施設やビルなどの規模が大きな足場工事を請け負うこともあります。
特に足場工事は高所作業が多く、さまざまな危険性を伴うことから比較的給与が高い傾向にあるのがポイントです。
大工
大工も基本的に需要が高く、特に近年では新築大工の独立機関が短くなっているのが大きなポイントです。
人口の減少と共に新築住宅の着工数は減少することが予想されていますが、それでも経験や知識、技術を磨いて一人親方として独立することで活躍できる場面は数多くあるでしょう。
工務店やハウスメーカーとさまざまな方法で契約を結ぶこともできますし、場合によっては工務店を開業して本格的に独立することもできます。
ただ、大工で儲けるためには個人でひたすら棟数をこなしたり、技術力を高めて単価を高くしたり、競合他社にはない強みを身に付けたりすることが大切です。
内装
技術力を高めることで早期独立が目指せるのが、内装業です。
内装業は壁や天井のビニールクロスからクッションフロアなどさまざまな内装工事を行うものであり、単価が安い工事から高めの工事までさまざまな種類があります。
技術力を高めて信用されるようになれば自然と請け負える工事の数も増えますし、安定して稼げるようになったら従業員を増やして法人化するのも夢ではありません。
設備組み立て
キッチンやユニットバスをはじめとする設備メーカーは、新築でもリフォームでも高い需要があるのがポイントです。
特に設備の規格はほとんど決まっていることから、取り扱う商品に関する知識や技術を身に付けることで安定した仕事を請け負いやすいでしょう。
間取りに左右されるものの、設備を設置するだけの仕事なので業務効率化を図りやすいのもポイントです。
外構
造園業界をはじめとして、駐車場のコンクリートやカーポート、玄関アプローチなどの外構工事も需要が高めです。
単価の設定などの工夫が必要ではありますが、一部の仕事は競合が多いですが、造園業などのこだわりが強く反映される仕事であれば売り上げや利益を上げやすいのがポイントです。
そのためにもクライアントの要望に応えられるように、日本庭園や海外式のガーデニングなどをはじめとする様式やデザインに対応できるだけの技術やデザイン力を身に付けましょう。
富裕層などの顧客から依頼が来るようになれば、大きく稼ぐチャンスになります。
解体
解体業も意外に儲かる業種だと言えます。
日本は空き家率が非常に高く、老朽化による倒壊などを防ぐために事前に解体する仕事が入りやすいのが大きなポイントです。
空き家率が増加するのは人口減少によって空き家を相続しても放置されたり、空き家を有効活用する手段がなかったりすることなどが挙げられます。
空き家を有効活用する方法はありますが、誰もが手軽に実践できる方法ではないのでどうすればいいのか分からず、放置してしまうのでしょう。
そうした空き家を解体するのが解体業の役目なので、上手く仕事が確保できれば大きく稼ぐこともできます。
儲けにくい業種
建設業で儲けにくい業種は、基本的に徐々に請け負う仕事が少なくなっている業種です。
徐々に仕事が少なくなっているということは、その業種が求められる部分がなくなっているということでもあります。
もちろん大きな仕事が舞い込むチャンスもありますが、全体的に見ても将来性は低いでしょう。
建設業に向いている人の特徴

建設業に向いている人の特徴は、以下の通りです。
- 危機管理能力がある
- 計算・計画能力がある
- コミュニケーション能力がある
それでは、建設業に向いている人の特徴についてご説明しましょう。
危機管理能力がある
建設業は基本的に危険と隣り合わせの仕事をほぼ毎日こなさなければならないため、危機管理能力は必須中の必須です。
一つのミスや怠りが即大怪我につながる可能性がある以上、どれだけ危機管理を行っても十分すぎるということはありません。
危機管理を怠れば自分が大怪我をするだけでなく、仲間も危険に晒してしまう可能性もあります。
常に安全対策を怠らず、周囲の危険をいち早く察知して対処できる高い危機管理能力がある人ほど建設業に向いていると言えるでしょう。
計算・計画能力がある
建設業と聞くと体力や力がなければやっていけないイメージがある人も多いかもしれませんが、実際は計算力や計画能力も求められます。
建物の強度や面積の計算、一つの建造物を完成させるのにどの素材をどのくらい必要とするのか、現場の進捗を管理するする際にどのくらいの予算が必要になるのかなど、高い計算力が必要になるでしょう。
また、一つの仕事を請け負った際にどのくらいのスケジュールなら効率良く建造物を完成させられるのか、計画能力も求められます。
特にキャリアアップを目指しているのであれば、計算力や計画能力は必須となるので、高い計算力や計画能力がある人に向いています。
コミュニケーション能力がある
スムーズに作業を進めるためにも、職人や作業員とのコミュニケーション能力は必須です。
建設業は職人や作業員との連携や報告、相談などを行わないと上手く作業を進めることができません。
したがって、職人や作業員などとスムーズに話し合える高いコミュニケーション能力がある人に向いています。
一人親方の年収・職人単価ランキング

一人親方の年収・職人単価ランキングは、以下の通りです。
- 第1位:土木 693万円
- 第2位:防水 604万円
- 第3位:設備 569万円
- 第4位:配管 539万円
- 第5位:内装 529万円
- 第6位:大工 517万円
- 第7位:電工(電気工事士) 506万円
- 第8位:塗装 506万円
- 第9位:左官 467万円
- 第10位:とび 446万円
それでは、一人親方の年収・職人単価ランキングについてご説明しましょう。
第1位:土木 693万円
一人親方の年収・職人単価ランキングにおける1位は、693万円の土木工でした。
1日あたりの賃金は28,900円です。
土木工は基本的に需要がなくならないうえに将来性も高く、比較的大きな規模の工事を請け負うこともあって、大きく稼ぐこともできます。
第2位:防水 604万円
一人親方の年収・職人単価ランキングにおける2位は、604万円の防水工でした。
1日あたりの賃金は25,195円です。
防水工は競合他社がそこまで多くないうえに需要が高いのがポイントです。
特に防水工として独立している一人親方のほとんどは防水施工技能士の資格を取得しているため、独立を目指しているなら真っ先に取得しましょう。
第3位:設備 569万円
一人親方の年収・職人単価ランキングにおける3位は、596万円の設備工でした。
1日あたりの賃金は23,712円です。
一般的な家屋やビルやマンションなどの大型の建物における設備の設置を行います。
防災設備や機械設備といったさまざまな設備の設置やメンテナンスに対応できる人ほど重宝されるでしょう。
また、定期的な設備メンテナンスや交換などの仕事もあるため、一定以上の仕事があるのがポイントです。
第4位:配管 539万円
一人親方の年収・職人単価ランキングにおける4位は、539万円の配管工でした。
1日あたりの賃金は22,487円です。
ガス管や水道管などをはじめとする配管はあらゆる建物にあるので、常に高い需要があるのがポイントです。
配管に関するスキルや技術、知識があれば仕事に困ることはないでしょう。
第5位:内装 529万円
一人親方の年収・職人単価ランキングにおける5位は、529万円の内装工でした。
1日あたりの賃金は22,078円です。
床材や壁紙、ドアをはじめとする建具などを取り扱います。
ちなみに内装工における正社員の平均年収は440万円なので、独立することでそれ以上の年収を稼ぎ出すことができます。
第6位:大工 517万円
一人親方の年収・職人単価ランキングにおける6位は、517万円の大工でした。
1日あたりの賃金は21,546円です。
大工は基本的に木造住宅の設計や施工を行います。
一口にいうと簡単そうに感じられるかもしれませんが、大工として高い年収を稼ぎ出すには木材の加工技術や経験、組み立てなどの幅広い能力が必要です。
大工として活躍するためには、建築大工技能士という国家資格を取得するのがおすすめです。
第7位:電工(電気工事士) 506万円
一人親方の年収・職人単価ランキングにおける7位は、506万円の電気工でした。
1日あたりの賃金は21,091円です。
すべての人が生活する際になくてはならない電気が使えるように、電気の配線やコンセントを設置していきます。
新しく設置する仕事はもちろん、メンテナンスや修理も必要になるうえに電気工事士の資格を取得しなければほとんどの仕事ができません。
したがって、事前に電気工事士の資格を取得することで活躍できるようになります。
第8位:塗装 506万円
一人親方の年収・職人単価ランキングにおける8位は、506万円の塗装工でした。
1日あたりの賃金は21,084円です。
外壁や屋根の塗装を行っていく業務で、自分の仕事がそのまま見た目に反映されるのでやりがいを感じやすいです。
ただ、高所作業が多いので危機管理能力が必要になります。
第9位:左官 467万円
一人親方の年収・職人単価ランキングにおける9位は、467万円の左官工でした。
1日あたりの賃金は19,480円です。
左官工はコテやローラーなどを使って壁や床の仕上げ工事を行います。
資格がなくても仕事はできますが、自分の技術や経験がそのまま色濃く反映される仕事なので、いかに技術が磨けるかどうかが重要です。
第10位:とび 446万円
一人親方の年収・職人単価ランキングにおける10位は、446万円のとび職でした。
1日あたりの賃金は18,615円です。
とび職は未経験から始める人も多く、最下位ながらも建設業における正社員よりも高い年収が稼ぎ出せるのが大きなポイントです。
建設業の個人事業主が年収・職人単価を上げるには

建設業の個人事業主が年収・職人単価を上げる方法は、以下の通りです。
- スキルを磨き、実績を積む
- 下請けから脱却し元請けになる
- 営業戦略をしっかりたてる
- 信頼できるスタッフを集める
- 人脈を大切にする
それでは、建設業の個人事業主が年収・職人単価を上げる方法についてご説明しましょう。
スキルを磨き、実績を積む
個人事業主として年収や単価を上げるためにも、どれだけスキルを磨いて実績が積めるかどうかが重要です。
しっかりとしたスキルや実績があればさまざまな仕事に対応できるようになりますし、それだけ多くの年収を稼ぎ出すことができます。
とはいえ、最初は誰でも未熟なので、会社に所属してじっくりと技術を磨いたり、資格の取得を目指したりするのがおすすめです。
下請けから脱却し元請けになる
下請けと元請けでは得られる利益が大きく違うため、早々に下請けから脱却して元請けを目指しましょう。
ただし、一定以上の金額の工事を請け負う場合は建設業許可が必要なので、事前に建設業許可を取得するのがおすすめです。
また、元請けになるからには自分で仕事を取ってこなければならないため、営業スキルやマーケティングスキルなどが必要です。
営業戦略をしっかりたてる
しっかりと売上を伸ばすためにも、しっかりと営業戦略を立てることが何よりも重要です。
何の戦略もなく年収が上がると思っていると、意外と稼げていないケースもあります。
ただ、営業戦略を立てるのは難しいたえめ、自分が立てた営業戦略が正しいかどうかは分かりません。
もしかしたらなかなか効果が出なかったり、営業スキルやマーケティングスキルが乏しくてまともな営業戦略が立てられなかったり、営業にかける時間がなかったりすることもあるでしょう。
どのようにすればしっかりとした営業戦略が立てられるのか試行錯誤することが大切です。
信頼できるスタッフを集める
個人事業主として一人で得益を出し続けるには限界があります。
そもそも建設業は規模が大きくなるほど人手がなければこなせないため、いずれ信頼できるスタッフを集める必要性があります。
組織を拡大するためにも信頼できるスタッフが集められるかどうかが重要ですが、近年の建設業界は深刻な人手不足の状態です。
なるべく早めに安定してアクセスされる自社ホームページを作成して、24時間365日いつでも人材を募集していることを明記するといった対策が必要不可欠です。
人脈を大切にする
建設業界は横のつながりが非常に重要です。
人からの紹介で案件をもらうことも多く、下積み時代に知り合った人から案件をもらうこともあるでしょう。
積極的に人間関係を広めていくことが大切ですが、いいかげんな仕事をしてしまっては本末転倒です。
高いクオリティを維持しつつ、顧客との質が高いコミュニケーションを心がけましょう。
建設業の個人事業主が年収・職人単価を上げる際の注意点

建設業の個人事業主が年収・職人単価を上げる際の注意点は、以下の通りです。
- 常用契約は違法になる
- 万が一に備えて保険に加入しておく
- 老後への備えを考える
それでは、建設業の個人事業主が年収・職人単価を上げる際の注意点についてご説明しましょう。
常用契約は違法になる
常用契約とは、一定時間内で行った仕事に対して報酬を得る契約のことです。
常用契約は雇用されて働く形に似ていることから、偽装一人親方とみなされて違法行為に該当する可能性があります。
相手と契約を結ぶ場合は常用契約ではなく、請負契約であるかどうかを必ず確認しましょう。
万が一に備えて保険に加入しておく
個人事業主は基本的に労災保険に加入できないのが大きなデメリットです。
しかし、建設業に限っては事故やケガのリスクが高いことから、特定の団体を通すことで労災保険に加入できます。
万が一事故やケガ、病気で仕事ができなくなったときのために、特定の団体を通して労災保険に加入しておきましょう。
老後への備えを考える
個人事業主は雇用されているわけではないため、将来的に国民年金しか受給できません。
国民年金だけだと仕事をやめた後の生活が苦しくなる一方なので、早々に貯蓄を始めるか、NISAなどをはじめとする制度を利用するのがおすすめです。
まとめ

建設業だからといって、すべての業種で儲かるとは限りません。
基本的に需要が高い業種ほど将来性も高いため、独立したらそれだけ多くの年収を稼ぎ出すことができます。
建設業で独立を目指す場合、事前にどれだけの知識や技術、資格の取得、経験の積み重ねなどが重要になってきます。
また、営業スキルやマーケティングスキル、営業戦略、人脈の形成など、独立する際にやることは数多くあるので、しっかりと計画を立てましょう。
もしも建設業への転職を目指しているなら、ガーデンジョブを利用してみてはいかがでしょうか。