「造園業界は独特の専門用語が多くて困っている」

「現場で使われる専門用語をもっと理解したい」

 

そんな疑問や不安を抱えていませんか?

 

造園業界には確かに独特の専門用語が多く存在します。しかし、専門用語を理解することは、円滑な業務遂行に不可欠です。

 

造園業界で使われる用語を理解することは、円滑な業務を行うには不可欠です。

 

本記事では、造園業初心者や入社間もない人が知っておきたい基本的な用語を幅広く紹介。造園の定義から植栽・管理に関する用語、石材や水景施設など、造園に関する様々な分野の用語を解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。




目次

造園用語の基礎知識

造園業界の用語を理解することは、円滑に作業をするには必要不可欠です。

まずは基本知識となる、造園の定義とランドスケープの定義を見ていきましょう。

造園の定義

造園とは、庭園や公園、街路樹など、自然と人工的な要素を組み合わせて美しい景観を創出する技術です。

具体的には、植物や石材などを利用して、公共施設や個人の敷地内の景観を設計、施工、管理することを指します。

造園は環境と調和した空間を作り出すだけでなく、人々の生活の質を向上させる重要な役割を担っています。

ランドスケープの定義

ランドスケープは、英語のlandとscapeを組み合わせた言葉で、風景や景観を意味します。

造園の分野では、自然環境と人工的な要素を調和させた空間デザインを指します。

ランドスケープデザインは、都市計画から個人庭園まで幅広い規模で適用され、環境保全や生態系への配慮も重要な要素となります。

 

造園の用語【植栽・管理】

ここでは、植栽・管理に関する造園用語をご紹介します。

 

植栽

植栽(しょくさい)とは、計画的に植物を配置し植える作業を指します。

単に植物を植えるだけでなく、その場所の環境条件、植物の特性、デザイン意図などを考慮して行います。

観賞用の樹木や花、生垣など様々な植物が使用され、その選択と配置が景観の印象を大きく左右します。

剪定

剪定は、植物の成長や形態を調整するために、枝や葉、花などを切り取る作業です。美観の向上、樹形の維持、生育の促進、病害虫の予防など多様な目的があります。

樹木の種類や季節、目的に応じて適切な方法と時期を選択することが重要。適切な剪定は植物の健康と美しさを長期的に維持する上で欠かせません。

刈込

刈込(かりこみ)とは、主に樹木や低木、生垣などの外形を整える作業です。定期的に行うことで、植物の形状を維持し、密度を高めます。

美観の向上だけでなく、日当たりや通風の改善、病害虫の予防にも効果があります。手作業や機械を使用して行われ、植物の種類や目的に応じて頻度や方法を調整します。

生け垣

生け垣は、敷地の境界線に沿って植えられた低木や中木の列です。

プライバシーの確保や景観の向上に役立ち、常緑樹を用いることで年間を通じて緑を楽しめ、防風や防音効果も期待できます。

定期的な剪定や刈込が必要ですが、美しい外観と機能性を兼ね備えた要素として人気があります。

芝生

芝生は、地面を覆うように生育する草本植物です。庭園や公園の緑化に広く用いられます。美観を向上させるだけでなく、土壌の侵食を防ぎ、地表温度の上昇を抑える効果があります。

定期的な刈り込みや水やり、施肥などの管理が必要ですが、くつろぎの空間を創出する重要な要素となっています。

鉢植え

鉢植えは、鉢に植えてある植物を指します。移動や管理が容易で、室内外の装飾に適しています。季節や用途に応じて植物を変えることができ、限られたスペースでも多様な植物を楽しめます。

適切な水やりや肥料管理、植え替えなどが必要ですが、柔軟な空間演出が可能な要素です。

土寄せ

土寄せは、植物の根元に土を寄せて、安定させたり、水分を逃がさないようにする作業です。特に野菜栽培で重要な技術で、根菜類の生育を促進したり茎の軟化を図ったりします。

また、植物の倒伏を防ぎ、根の保護にも役立ちます。植物の種類や生育段階に応じて、適切な時期と量で行うことが重要です。

開花

開花は、植物が花を咲かせることです。季節や環境、植物の種類によって開花時期や期間が異なり、庭園設計において重要な考慮事項となります。

連続的に花を楽しめるよう、異なる開花時期の植物を組み合わせることも造園の技術の一つです。

枯れ木

枯れ木は、樹木が枯れて倒れた木(生命活動を停止した木)を指します。景観や安全性の観点から適切な処理が必要です。

ただし、生態系の観点からは、枯れ木が昆虫や小動物の住処となることもあるため、状況に応じて保存や活用を検討することもあります。適切な管理と安全性の確保が重要です。

樹高

樹高は、植物の高さのことで、樹木の選定や配置計画に重要な指標となります。成長に伴う樹高の変化を予測し、周囲の環境や他の植物との調和を考慮して選定します。

また、法規制や維持管理の観点からも樹高は重要な要素となり、適切な剪定や管理が必要となります。

株立ち

株立ち(かぶだち)は複数本の幹で構成される樹形です。単幹の樹木に比べてボリューム感があり、庭園や公園で存在感のある植栽として用いられます。

自然な風合いを演出できますが、剪定や管理の方法が単幹とは異なるため、適切な技術が必要です。

単幹

単幹(たんかん)は一本幹で作られる樹形で、整然とした印象を与えるのが特徴です。フォーマルな庭園や街路樹として用いられることが多く、シンボルツリーとしても人気があります。

定期的な剪定により形状を維持し、美しい樹形を保つことが重要です。

植え替え

植え替えは、植物を新しい鉢や土に植え替える作業です。成長や健康維持のために定期的な植え替えが必要となります。

根詰まりの解消や土壌の更新、植物のサイズ調整などを目的として行われます。植物の種類や生育状態に応じて適切な時期と方法を選択することが重要です。

土壌改良

土壌改良は、土の肥沃度や水はけ、通気性を改善するための作業です。植物の健康な生育に不可欠です。有機物の添加やpH調整、排水性の改善などを行い、植物が最適な環境で成長できるようにします。

土壌の状態を定期的に確認し、必要に応じて改良を行うことが重要です。

落葉樹

落葉樹は、季節によって葉を落とす樹木であり、四季の変化を楽しめる特徴があります。

春の新緑、夏の緑陰、秋の紅葉、冬の枝振りと、年間を通じて異なる表情を見せます。落ち葉の処理が必要ですが、自然の循環を感じられる要素として人気があります。

常緑樹

常緑樹は、一年中葉を落とさずに葉を保持する樹木であり、年間を通じて緑を保ちます。四季を通じて安定した景観を楽しめ、プライバシーの確保や防風効果にも優れています。

適切な剪定と管理により美しい樹形を長期的に維持できます。

土壌

土壌は、植物を栽培するための土を指します。この土壌を管理することは植物の健康に直結しますので、とても重要な作業です。

例えば、土壌の種類、pH、栄養分、水はけ、通気性などが植物の生育に大きく影響します。

定期的な土壌診断と必要に応じた改良を行うことで、健康で美しい植物を育てられます。

葉焼け

葉焼けは、植物の葉が日光や乾燥などの環境要因で焼けることを指します。適切な管理で予防できます。

強い日差しや急激な環境変化、水不足などが原因となります。遮光や適切な水やり、植物の配置の工夫などにより予防することが可能です。

地割り

地割りは、庭園の全体的な構成や配置を計画することです。具体的には、設計の初期段階で重要な作業であり、敷地の特性や要望を考慮し、植栽、建築物、水景などの配置を決定します。

機能性と美観のバランスを取りながら、魅力的な空間を創出するための基礎となります。

借景

借景は、庭園外の風景を取り入れて庭園の一部として活用する技法です。遠くの山や建物、空などを庭園のデザインに組み込み、より広がりのある景観を作り出します。

周囲の環境を活かすことで、限られた空間でも開放感のある庭園を作れます。

築山

築山は、人工的に作られた小山です。庭園に立体感と奥行きを与え、平坦な敷地に変化をつけ視線の誘導や空間の区切りとしても機能します。

植栽や石組みと組み合わせることで、自然な景観を演出できます。

自家不和合性

自家不和合性は、同じ個体や同じ品種内での受粉が起こりにくい性質のことです。植物の交配や結実に影響を与えます。

果樹や野菜の栽培において重要な概念で、適切な品種の組み合わせや受粉樹の配置が必要となります。造園においても、実のなる樹木を扱う際に考慮すべき特性です。

萌芽力

萌芽力は、切り株や根から新しい芽を出す能力で、樹木の再生や管理に関わる重要な特性です。

剪定や伐採後の再生、生垣の維持管理などに活用されます。樹種によって萌芽力に差があるため、植栽計画や管理方法を決める際の重要な判断材料となります。

植生遷移

植生遷移は、時間の経過とともに植物群落が変化していく自然の過程です。

具体的には、裸地から始まり、草本類、低木、高木へと変化していく過程を指し、自然風の庭園設計や生態系に配慮した緑地管理において重要な概念となります。

造園技能士

造園技能士とは、造園に関する専門的な知識と技能を持つことを証明する国家資格で、造園工事や管理業務に従事する技術者の能力を評価し認定する制度です。

1級と2級があり、実技試験と学科試験に合格することで取得できます。造園業界での信頼性と専門性を示す重要な資格となっています。

 

造園の用語【石材】

ここからは石材に関する用語をご紹介します。

石貼り

石貼りは、石材を平面に貼り付ける工法です。床面や壁面の装飾に用いられます。自然石や加工石を使用し、空間に高級感や自然の風合いを与えるのが特徴。

防水性や耐久性に優れ、メンテナンスも比較的容易です。デザインや石材の選択により、様々な雰囲気を演出できます。

石積み

石積みは、石を積み上げて構造物を作る技法です。擁壁や花壇の縁取りなどに使用され、自然石や加工石を用い空間に立体感と質感を与えます。

石積みは単なる構造物の構築技術だけでなく、美的センスと高度な技術を要する芸術的な側面も持ち合わせています。

飛び石

飛び石は、庭園内の歩道に不規則に配置された踏み石のことで、日本庭園の特徴的な要素の一つです。歩行者の動きを制御し、景観を楽しむペースを作り出します。

石の選択や配置により、庭園の雰囲気を大きく左右します。機能性と美観を兼ね備えた重要な造園要素となっています。

 

造園用語【水景施設】

ここからは水景施設に関する用語をご紹介します。

噴水

噴水は、水を上方に噴き上げる装置で、公園や庭園の装飾として用いられます。視覚的な美しさだけでなく、水音による聴覚的効果も重要な要素です。

規模や形状、噴出パターンなどにより様々な演出が可能で、空間に動きと生命感を与えます。適切な維持管理が必要ですが、人々を引き付ける魅力的な要素となります。

池は、庭園内に設けられた人工的な水域のことで、景観の一部として重要な役割を果たします。

水生植物や魚を飼育することで、生態系の豊かさを演出することも可能。周囲の植栽や石組みと調和させることで、自然感あふれる空間を創出できます。

水質管理や防水対策が重要ですが、庭園に深みと潤いを与えるために重要です。

流れ

流れは、人工的に作られた小川です。自然な景観を演出し、水の音で心地よい空間を創出します。

緩やかな曲線を描くことで自然な印象を与え、石や植物を配置することでより豊かな表情を作り出します。

水の循環システムを設けることで、持続可能な水景施設となります。適切な設計と管理により、生き生きとした庭園空間を演出できます。

 

造園の用語【構造物】

ここからは造園の構造物に関する用語をご紹介します。

パーゴラ

パーゴラは、庭園や公園に設置される柱と梁で構成された骨組みです。つる性植物を這わせて日陰を作ります。

木材や金属など様々な素材で作られ、デザインも多様。夏の日差しを和らげ、くつろぎの空間を演出します。

植物の成長とともに変化する景観を楽しむことができ、庭園に立体感と季節感を与えるために重要です。

テラス

テラスは、建物に隣接して設けられた平坦な屋外空間のことで、くつろぎや憩いの場として利用されます。

庭園と建物をつなぐ中間的な空間として機能し、屋外での生活を豊かにします。材質や形状、周囲の植栽などにより様々な雰囲気を演出することが可能です。

適切な排水設計と維持管理により、快適な屋外リビングスペースとなります。

デッキ

デッキは、木材や合成素材で作られた高床式の屋外床で、庭園やバルコニーに設置されます。

地面との段差を利用して視点の変化を作り出し、庭園を新たな角度から楽しむことができます。

耐久性と美観のバランスを考慮して素材を選択し、定期的なメンテナンスを行うことで長期間使用できます。

 

造園の用語【庭園様式に関する用語】

ここからは庭園様式に関する用語をご紹介します。

和風庭園

和風庭園は、日本の伝統的な庭園様式です。自然の景観を模した石組みや植栽が特徴です。

例えば、枯山水、池泉回遊式、露地など様々な形式があり、それぞれに独特の美意識と哲学が反映されています。

四季の移ろいを重視し、控えめながら深い味わいのある空間を作り出します。伝統的な技法と現代的なニーズのバランスを取ることが求められます。

洋風庭園

洋風庭園は、西洋の庭園様式を取り入れた庭です。幾何学的なデザインや花壇が特徴的で、フランス式庭園やイギリス式庭園など様々なスタイルがあります。

整形式の植栽配置や噴水、彫像などの装飾的要素を用いて、華やかで格調高い空間を演出します。日本の気候風土に適応させつつ、西洋的な美意識を表現することが求められます。

枯山水

枯山水は、水を用いずに石や砂利で水の流れや山水を表現する日本庭園の様式です。禅の思想を反映し、簡素ながら深い精神性を持つ庭園として知られています。

白砂や砂利を用いて水面を表現したり、石を配置して山や島を表したりと、観る人の想像力を刺激するような空間を創出します。

高度な技術と美的感覚が要求される、日本庭園の精髄とも言える様式です。

 

まとめ:造園用語を覚えたら実際に使ってみよう

造園は技術と芸術の融合であり、専門知識と創造性の両方が求められる分野です。

造園の基本用語を理解し適切に使用することで、コミュニケーションの向上と業務効率の改善が期待できます。

今回ご紹介した造園用語は頻繁に使われるので、ぜひ現場で使ってみてくださいね。


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氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期か ら植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。 公園の設備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植 栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 ダーチー

工場に勤務しながらWebライターをしているダーチーと申します。これまで、建設業や製造業、物流業、飲食店のアルバイトまで経験しました。