造園業や外構業は比較的初期投資が少ない為、一人親方として独立する方が多くいらっしゃいます。
独立して、職人が事業を開始する際、たとえ一人親方(個人事業主)だとしても付けておくと便利なのが屋号です。
しかし、屋号とは何か、どんな屋号にするのか迷う人も多いのではないでしょうか。
この記事では造園業や外構業で独立する際に屋号を付けるか考えている方のために、屋号について、屋号の付け方のコツ、屋号を付ける際の注意点をお伝えしていきます。
愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期か ら植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。 公園の設備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植 栽工事に現場代理人として携わる。
目次
屋号とは何か?
まずは屋号とは何かについてお伝えします。
屋号とは、個人事業主や一人親方が事業を開始するときに使用する名称のことです。
会社でいうところの、会社名にあたります。
事業を開始するときに税務署に提出する開業届、青色申告承認申請書、確定申告書、請求書、納品書といった書類に屋号は使われます。
また、屋号の申請は簡単で、開業届の記入欄に記載して税務署に提出するだけです。
屋号は必須ではない
造園業や外構業に限らず、個人事業主や一人親方が事業を開始するときに屋号を付けるのは義務ではなく、必ず付けなければならないものでもありません。
開業届や確定申告の用紙に、屋号を記載する欄がありますが空欄でも提出はでき、屋号なしの本名でも事業はできます。
造園業や外構業で独立するなら屋号を付けるのがおすすめ
法律上は屋号なしでも開業はできるので必須ではないですが、造園業や外構業の職人が事業を開始し一人親方になるのなら屋号を付けておいて損はありません。
では、なぜ屋号を付けたほうがいいのか具体的に見ていきましょう。
どんな事業をやっているのか分かりやすい
独立すると、名刺を作りますよね。
他にも独立して作業を依頼される際には見積書を要求されますし、依頼された案件の報酬を請求する時には請求書を作ります。
そこには当然、一人親方だとしても代表者名や連絡先などが記載されますが、そこに屋号が無い場合は個人名のみでの記載になってしまい。
特に悪くはありませんが、受け取る側の印象や分かりやすさとしてはないよりはあった方が良いでしょう。
また、他にも屋号を付けると、どんな事業をしているのかまわりにアピールしやすくなります、取引先に覚えてもらいやすくなります。
屋号なしの個人名で一人親方をやっている場合、何の事業をやっている人なのか一目では判断できません。
どんな事業をしているのか分かりやすい屋号にすれば、顧客も仕事を頼みやすくなるでしょう。
信頼が得られる
個人名よりも屋号のほうがビジネスとして行っていることが伝えられるので、信頼感が上がるというメリットがあります。
特に、初めて仕事を受注する際は、職人としての腕があっても事業の実績が無いので信頼してもらいにくいです。
一人親方の職人が仕事を受注するのには信頼を獲得することが大事ですので、印象に残る屋号はセルフブランディングにもなりますね。
屋号で銀行口座が作れる
屋号を使って銀行口座を開設することができます。
例えば、造園業や外構業であると、一般の個人のお客様から直接作業を受ける場合があります。
その場合、請求元や振込先が個人名であると本当に払ったことになるのかと不安になる人もいるかもしれません。
他にもメリットとして、屋号で銀行口座を開設するとプライベートの口座と分けて明確に区別することができます。取引先からの振り込みなどが分かりやすくなるので、資金管理がしやすくなる利点があります。
また、確定申告のときに計算がしやすいというメリットもあるので、職人が事業を開始するときは屋号を使って銀行口座を開設するのがおすすめです。
造園業や外構業での屋号の付け方のコツ
ここまで、造園業や外構業で独立するなら屋号を付けるのがおすすめという話をしてきました。
とはいえ「どんな屋号を付ければいいの?」と疑問に感じる人も多いですよね。
そこで次は、屋号の付け方のコツを紹介します。
基本的には好きな文字でOK
屋号は長さや文字などに決まりはありません。
漢字、ひらがな、カタカナ、アルファベット、数字まで使用できます。
自分の好きな言葉や事業を表す文字を使って屋号を自由に付けることができます。
ただし、一般的でない表現や英語を使用すると覚えてもらえないことや、ホームページを作った際に検索しにくいといったことが考えられます。
書類や名刺に記載することも考えて、覚えやすい屋号にすると良いでしょう!
読みやすい、長すぎない屋号にする
難しい漢字や長い屋号は覚えにくいので、使わないほうが良いでしょう。
自分が納得する屋号でも、覚えてもらわなければ意味がありません。
書類に記載するときも手間になるので短くシンプルな屋号がおすすめです。
事業内容が分かる屋号にしよう
屋号は個人事業主である自分を表現するものでもあります。
どんな事業を行っているか分かるように、シンプルな屋号にすると良いでしょう。
例えば造園業の職人なら「〇〇造園」「〇〇ガーデン」、外構業なら「○○建設」「○○エクステリア」などにすれば、何の事業をしているかすぐに分かります。
屋号を認識してもらえれば、取引先も継続して仕事を頼みやすいですね!
屋号を付ける際の注意点
自由に好きな文字を使えるとはいえ、注意しなければならないこともあります。
ここでは、屋号を付ける際に気をつけることをご紹介します。
「会社」「法人」という表現はNG
法人化すると「○○株式会社」などと「会社」と表現しますが、屋号には使用できません。
「○○」の中に「会社」と含むと、「○○会社株式会社」とよく分からなくなってしまいます。誤解を招くような表記は使えないということですね。
他に「会社」以外にも、使用できないない文字があります。
会社法で「会社でない者は、その名称又は商号中に、会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない」という決まりがあるからです。
使用できない主な文字の一覧は以下です。
- 会社
- 法人
- 銀行
- 金庫
- 保険
これらが入らないように屋号を付けましょう!
商標登録されている名称
商標登録されている名称の使用は避けるべきです。
商標とは、サービス名やブランド名のことです。
登記済みの名称を同一市町村で使用すると、不正の目的でなくても権利侵害になります。
また、周りに迷惑が掛かったり、損害賠償請求や差し止め請求される可能性があります。
ですので、屋号を付ける際は慎重に決める必要があります。
インターネットで検索するなどして、他の人が使っていないか調べておくと良いですね!
登録商標はこちらの特許情報プラットフォームで調べることができます。
商標登録することも考えておく
自分の屋号を他の人に使われたくない場合は商標登録しておくのも良いでしょう。
商標登録しておくと、他人に自分の屋号が使われた場合に損害賠償請求や差し止め請求をすることができます。
まとめ:造園や外構職人は屋号を付けると便利!【注意点を守って分かりやすい名称に】
造園業や外構業で個人事業を始めるなら、屋号を付けておくと様々な場面で便利なのでおすすめです。
職人が屋号を付けることで得られるメリットは、信頼感が増し仕事が受注しやすい、事業用の銀行口座が作れるという点です。
屋号は覚えてもらわなければ意味がありません。
屋号を付ける際は何の事業をしているのか分かる屋号にし、シンプルで覚えやすい名称にするのがコツです。
書類に名称を書くときのことを考えておくと、後々楽になります。
ただし、「会社」「法人」、または「商標登録されている名称」は使わないようにしましょう。
その際には必ずインターネットで検索して商標登録されていないか、同じ屋号を使っている個人事業主がいないかを確認しましょう。
屋号は、確定申告書、名刺、請求書などで使用されます。
事業の内容にあった屋号を付けられれば、信頼の獲得や継続した仕事の受注に繋がります。
屋号を申請する際は、忘れずに開業届に記載しましょう。
注意事項を守り、覚えやすい屋号を付けてみてください。