「園芸業界の用語は難しくて理解できない」
「園芸業界の用語を知り仕事に活かしたい」

 

こんなお悩みをお持ちではないでしょうか。

 

実際、園芸には専門的な用語が数多く存在し、初心者にとっては壁となることがあります。

 

しかし園芸用語を理解することは、園芸作業の効率を上げ植物の健康的な成長を促すために非常に重要です。

 

この記事では、園芸の基礎知識から植物の生育、繁殖に関する用語まで、幅広く解説しています。

 

園芸初心者から経験者まで、園芸に関わる全ての方にとって有益な情報が詰まっていますので、ぜひ最後までご覧ください。




目次

園芸業界の基礎知識

園芸業界の用語を理解するには、園芸とはなにかや役割、似ている業界との違いを知っておくことが重要です。

まず最初に園芸業界の基礎知識をご紹介しますのでご覧ください。

園芸業界とは?

園芸業界は、植物の栽培や販売、デザインに関わる多様な職種が存在する分野です。

具体的には、個人や法人の庭、公園、商業施設などの緑化やメンテナンスを行う業種であり、都市化や高齢化に伴い需要が拡大しています

植物を育てる技術だけでなく、デザイン力や顧客対応力も求められる業界でもあります。

近年は環境保護や都市緑化の観点からも注目されており、社会的な重要性が高まっています。

造園業界との違い

園芸は植物そのものに焦点を当てる一方、造園はより広範囲な環境設計と施工を含む分野です。

園芸業界は主に個人の趣味や小規模な植物栽培に関わり、植物の育成やガーデニング用品の販売などが中心。

対して造園業界は、大規模な庭園設計や公共の緑地整備などを扱い、空間設計や土木工事、植栽など総合的な技術が必要となります。

園芸職人としての役割

園芸職人は、植物の栽培や管理に関する広範な知識を持ち、花や観葉植物など多様な植物を扱います。

ガーデナーが時代に応じた技術やデザイン感覚を持ち、美観を重視した庭作りを行うのに対し、園芸職人はより専門的な植物管理技術に特化しています。

庭師との違いは、庭師が特定の技術に特化しているのに対し園芸職人はより広範な植物管理技術を持っている点です。

園芸業界の基本的な用語

ここからは、園芸業界の基本的な用語を解説します。

園芸用語を理解することで、園芸作業や植物の管理がより効果的に行えるようになるので参考にしてみてください。

一年草

一年草は、1年で生活環を終える植物を指します。

種から発芽し、成長して花を咲かせ、種子を残して枯れるまでの過程を1年以内に終えるのが特徴です。

マリーゴールドやヒマワリなどがこれに該当し、短期間で美しい花を楽しめる特徴があります。

二年草

二年草は、2年で生活環を終える植物です。

1年目は葉を茂らせて栄養を蓄え、2年目に花を咲かせて種子を残します。

パンジーやキンギョソウなどが代表的で、長期間にわたって観賞価値の高い植物として人気があります。

多年草

多年草は、3年以上生存する植物を指します。

毎年花を咲かせ、地上部が枯れても地下部で越冬し、翌年また成長します。

ギボウシやアジサイなどが該当し、一度植えれば長年にわたって楽しめる特徴があります。

宿根草

宿根草は、地上部は枯れるが地下部で越冬する多年草のことです。

冬になると地上部が枯れますが、根や地下茎で生き続け、春になると再び芽を出します。

エキナセアやアスターなどが代表的で、手入れが比較的簡単な植物として人気があります。

日なた

日なたとは、1日6時間以上直射日光が当たる場所を指します。

植物は十分な日光を浴びることで健康に育ち、豊かな花を咲かせたり実をつけたりします。

半日陰

半日陰は、直射日光が1日3〜4時間程度当たる場所を指します。

朝日や夕日が当たる場所や、木漏れ日が差す場所などが該当し、シェードガーデンの植物や一部の観葉植物がこの環境を好みます。

日陰

日陰は、直射日光がほとんど当たらない場所を指します。

建物の北側や大きな木の下などが該当し、シダ類やホスタなど、日陰を好む植物もたくさんあります。

pH

pHは、土壌の酸性度を示す指標です。

0から14の数値で表され、7が中性、7未満が酸性、7より大きいとアルカリ性を示します。

多くの植物は6.0から6.5のやや酸性を好みますが、植物によって適したpHは異なります。

培養土

培養土は、植物の生育に適した人工的に調整された土のことです。

一般的な土に比べて排水性や通気性が良く、植物の根が伸びやすいように作られています。また、適度な肥料分も含まれているため、植物の初期成長を助けます。

腐葉土

腐葉土は、落ち葉などが分解されてできた有機質土壌です。

土壌改良材として広く使用され、土の保水性や通気性を高める効果があります。また、微生物の活動を促進し、植物の根の発達を助ける働きもあります。

園芸作業の基本用語

ここからは、園芸作業で使用される主要な用語を解説します。

作業の理解を深め、より効果的な植物の管理が可能になりますのでご覧ください。

播種

播種は、種をまくことを指します。

適切な時期に適切な方法で種をまくことで、健康な苗を育てることができます。種の大きさや特性に応じて、土の深さや間隔を調整する必要があります。

間引き

間引きは、密生した苗を適度な間隔に整理することです。

植物が健康に成長するために必要な空間を確保し、栄養や光の競合を防ぐことが目的です。

適切な間引きにより、残った苗がより強く育ちやすくなります。

植え替え

植え替えは、植物を別の鉢や場所に移すことです。

植物が大きくなりすぎたり、土が劣化したりした場合に行います。新しい土や大きな鉢に移すことで、植物の成長を促進し健康を維持できます。

剪定

剪定は、枝を切って樹形を整えることです。

植物の健康維持や美しい形状の保持、果実の収穫量増加などを目的に行います。

適切な剪定により、植物の成長バランスを整え病気の予防にもつながります。

摘芯

摘芯は、生長点を摘み取り、わき芽の発生を促すことです。

植物をより枝分かれさせたり、コンパクトに育てたりする際に行います。花壇の植物や野菜の栽培で多く用いられる技術です。

元肥

元肥は、植え付け前に与える肥料のことです。

植物の初期成長を支える重要な栄養源となります。土壌に十分にすき込み、植物の根が届く深さまで行き渡るようにします。

追肥

追肥は、生育期間中に追加で与える肥料のことです。

植物の成長段階や状態に応じて適切なタイミングで与えることで、健康な成長を促進し、豊かな花や実をつけるのを助ける効果が期待できます。

液肥

液肥は、水に溶かして与える肥料のことです。

速効性があり、植物にすぐに吸収されるため、急な栄養補給が必要な場合に適しています。葉面散布にも使用でき、効果的な栄養補給が可能です。

葉面散布

葉面散布は、葉に直接肥料を吹きかけることです。

根からの吸収が難しい栄養素を補給したり、病害虫の予防や対策を行ったりする際に用います。早朝や夕方など、葉が濡れても乾きやすい時間帯に行います。

潅水

潅水は、植物に水を与えることです。

植物の種類や生育段階、季節、天候などに応じて適切な量と頻度で行います。根元にゆっくりと水を与え、土壌全体に水が行き渡るようにします。

殺菌剤

殺菌剤は、病原菌を殺す薬剤です。

植物の病気を予防したり治療したりするために使用します。使用する際は、適切な濃度と使用方法を守り、環境への影響も考慮する必要があります。

殺虫剤

殺虫剤は、害虫を駆除する薬剤です。

植物を食害から守るために使用しますが、益虫にも影響を与える可能性があるため、使用には注意が必要です。可能な限り、環境に優しい方法を選択することが望ましいとされています。

忌避剤

忌避剤は、害虫を寄せ付けない薬剤です。

匂いや味で害虫を遠ざけるため、直接的な殺虫効果はありませんが、環境への影響が比較的少ない防除方法です。植物や周辺環境に応じて適切な種類を選択します。

防除

防除は、病害虫の発生を防ぐことです。

予防的な措置から、発生時の対策まで幅広い活動を含みます。適切な栽培環境の維持や抵抗性品種の選択など、総合的なアプローチが重要です。

園芸用具と資材に関する用語

次に園芸作業に必要な道具や資材の用語を紹介します。

用具や資材の適切な使用法を理解することで、効率的で効果的な園芸作業が可能になりますので覚えておきましょう。

移植ごて

移植ごては、植物を移植する際に使用する小型のシャベルです。

先端が尖っており、土を掘ったり、植物の根を傷つけずに掘り起こしたりするのに適しています。

サイズや形状の異なる様々な種類があるので、用途に応じて選択することが大切です。

剪定ばさみ

剪定ばさみは、枝を切るための専用はさみです。

植物の種類や枝の太さに応じて、適切な大きさや形状のものを選びます。刃の手入れを定期的に行うことで切り口をきれいに保ち、植物へのダメージを最小限に抑えられます。

じょうろ

じょうろは、水やりに使用する容器です。

散水口の形状によって水の出方が異なり、細かい霧状の水を出せるものは、種まきや苗の水やりに適しています。

容量や重さ、持ちやすさなども考慮して選ぶことが大切です。

熊手

熊手は、落ち葉や雑草を集めるための道具です。

地面を傷つけずに効率よく作業ができます。金属製や樹脂製など、材質によって特性が異なるため、用途に応じて選択します。

柄の長さも作業効率に影響するので注意が必要です。

鎌は、草刈りや収穫に使用する刃物です。

刃の形状や大きさによって用途が異なり、使用する際は安全に十分注意し、適切な姿勢で作業を行うことが重要です。

定期的に刃を研ぐことで、効率的な作業が可能になります。

プランター

プランターは、植物を育てるための箱型容器です。

サイズや材質、デザインなど多様な種類があり、栽培する植物や設置場所に応じて選びます。

排水穴の有無や保水性なども考慮し、植物の生育環境に適したものを選択する必要があります。

ハンギングバスケット

ハンギングバスケットは、吊り下げて使用する植物用容器です。

垂直空間を活用して植栽が可能で、視線の高さに花を飾ることができます。軽量で丈夫な素材が使われており、風通しや排水性が良い設計になっています。

鉢は、植物を育てるための容器の総称です。

陶器製、プラスチック製、金属製などさまざまな材質があり、植物の種類や栽培環境に応じて選びます。

排水穴があるものは根腐れを防ぎ、植物の健康な成長を促します。また、デザイン性も高く、インテリアやエクステリアに調和するものを選ぶことができます。

ポット

ポットは、小型の植木鉢です。

苗の育成や小型植物の栽培に適しています。軽量で扱いやすく、移動や植え替えが容易です。

材質や形状によって保水性や通気性が異なるため、育てる植物に適したものを選びます。ポットは育苗から定植までの一時的な使用が一般的です。

支柱

支柱は、植物を支えるための棒です。

成長するにつれて倒れやすくなる植物やつる性植物に使用します。木製、金属製、プラスチック製などさまざまな材質があります。

支柱は植物の成長に合わせて高さを調整し、しっかりと固定することで安定した生育をサポートできます。

誘引ひも

誘引ひもは、つる性植物を支柱に固定するためのひもです。

柔軟で植物を傷つけない素材が使われています。適度な緩みを持たせて結ぶことで、植物の成長に伴う伸縮にも対応できます。

誘引ひもは見た目にも影響するため、色や素材にも注意して選ぶことが重要です。

マルチ

マルチは、土の表面を覆う資材です。

雑草防止や土壌温度の調整、水分保持など多くの効果があります。プラスチックフィルムや有機マルチ(わら、バークチップなど)など種類が豊富で、それぞれ特性が異なります。

防虫ネット

防虫ネットは、害虫の侵入を防ぐネット状の資材です。

物理的に害虫から植物を守るため、有機栽培でも広く利用されています。目の細かさや耐久性などが異なるため、防ぎたい害虫に応じて選択する必要があります。

また、通気性も考慮しながら設置することが重要です。

植物の生育と繁殖に関する用語

植物の成長過程や繁殖方法に関する用語を解説します。

植物の生態について深く知ることができ、生育管理や繁殖作業がより効果的できるようになりますので、ぜひご覧ください。

発芽

発芽とは種子から芽が出る現象です。

発芽には水分と適切な温度、光が重要となります。発芽率は種子の品質や保存状態によって異なるため、新鮮で健康な種子を選ぶことが大切です。

開花

開花とは花が咲く現象です。

開花時期は品種によって異なるので、タイミングによって庭全体の景観を計画的にデザインすることが可能です。

結実

結実とは果実がなる現象です。

結実には受粉と受精が必要で、その後果実として成長します。結実には適切な栄養と環境条件の確保が重要。育て方によって収穫量や果実品質も大きく影響されます。

休眠

休眠とは生育を一時的に停止する状態です。

この期間中、植物は外部環境から身を守りながら生存します。休眠期には水や肥料を控えることで自然なサイクルを維持し、その後の成長期への準備を整えます。

挿し木

挿し木とは茎の一部を切り取って発根させる方法です。

挿し木は多くの植物で利用可能で、新しい個体を効率的に増やす手段として広く用いられています。

適切な環境と管理によって、高い成功率で新しい苗木を得られるようになります。

株分け

株分けとは根株ごと分割して増やす方法です。

多年草などでよく使われ、新しい株として再び植えることで増殖させます。株分けは春か秋に行うことが多く、その際には健康な部分だけを選んで分割します。

接ぎ木

接ぎ木とは異なる植物の一部を接合させる方法です。特定品種の特性(例えば病気耐性)を他品種に付与するためによく使われます。

接ぎ木には高度な技術と知識が必要ですが、優れた特性を持つ新しい個体を得られるのがメリットです。

取り木

取り木とは枝を曲げて土に埋め、発根させる方法です。

取り木を行うと、親株から独立した新しい個体として育てられるようになります。

特定条件下でのみ成功しやすいため、環境設定と管理には注意が必要です。

まとめ:園芸業界の用語を学んで現場で活躍しよう!

園芸で作業効率を上げるには、用語の理解が重要です。

特に、一年草から多年草といったそれぞれの植物の特性や、生育過程、繁殖方法はしっかり覚えておくようにしましょう。

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氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期か ら植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。 公園の設備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植 栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 ダーチー

工場に勤務しながらWebライターをしているダーチーと申します。これまで、建設業や製造業、物流業、飲食店のアルバイトまで経験しました。