「園芸農家の仕事内容って具体的にどんなことをするの?」
「園芸農家に向いている人ってどんな人なの?」
と疑問に思ったことはありませんか?
園芸農家は、野菜や果物、観葉植物、庭木などの園芸植物を栽培し、市場に提供する重要な役割を担っています。
その仕事内容は、土壌準備から育苗、植え付け、育成管理、収穫、選別、出荷まで多岐にわたります。
本記事では、園芸農家の具体的な仕事内容や必要なスキル、向いている人の特徴、なるための方法、さらには年収やキャリアアップの可能性まで詳しく解説します。
園芸農家に興味がある方や、農業分野でのキャリアを考えている方にとって参考になる情報が満載ですのでぜひ最後までご覧ください。
目次
園芸農家の仕事内容

園芸農家は、園芸植物を栽培し市場に提供する仕事です。
都市部の消費者向けへの出荷を主な目的としています。
園芸植物は主に下記を指します。
- 野菜
- 果物
- 観葉植物
- 庭木
食用、美しさや香りを楽しむためのもの、景観を整えるものまで、様々な園芸植物があります。
園芸農家の主な仕事内容は下記のとおり。
- 土壌準備・育苗
- 植え付け・育成管理
- 収穫・選別
- 出荷
詳しくみていきます。
土壌準備
土壌を耕して植物の成長に必要な環境を整えます。
具体的には下記の作業を行います。
- 除草と石、ゴミなどの除去(作物の生育が悪くならないようにする)
- 土の掘り起こし(土壌を柔らかくして空気や水が通る隙間を作る)
- 肥料の混ぜ込み(土壌に必要な栄養素を補給する)
- 畝の作り(土壌の水はけと通気性を向上させる)
- 良質な種子の選定
この工程を通じて、土壌の健康を維持し、植物の生育をサポートしていきます。
種子を選定したらセルトレイやトレイで苗を育て、必要な葉数が生えそろうまで待ちます。
植え付け
育った植物を、生育する場所に植え付けていきます。
【植え付けの手順】
- 植え付ける場所に穴を開ける
- 苗を取り出し植え付ける
- 水やりを行い、土と根がなじむようにする
植え付けは基本的に晴天の午前中に行い、鉢と植え穴に十分に水やりをします。
また、苗を傷めないように慎重に植え付けしなければなりません。
育成管理
植物の育成管理では下記を行います。
作業名 | ポイント |
水やり | 土が乾いたら水やりを行います。 マルチフィルム(薄いプラスチックフィルム)を使用して水分を保ちます。 |
施肥 | 成長段階に応じて、窒素、リン、カリウムなどの肥料を選びます。 |
整枝と支柱立て | 苗に花が咲いたら不要な枝を切り取って、株を充実させます。 植物が大きくなってきたら支柱を立てます。 |
病害虫対策 | 異なる作物を交代して栽培し、病原菌や害虫の数を減らします。 水はけを良くすることで、病気の原因となる湿気を減らします。 |
日光と風通しの管理 | 植物の種類に応じて適切な日当たりと風通しを確保します。 密植を避け、株間をとって植えることで日当たりと風通しを良くします。 |
温度と湿度の管理 | マルチフィルムを使用し、土壌の保温、冷却、水分の保全、雑草の抑制、病害虫の防除を行います。 |
育成管理は長い期間を要します。作物の品質に直結するため、非常に重要な工程です。
収穫・出荷準備
育った作物の収穫と選別を行います。
収穫・選別の手順の流れは下記のとおり。
- 収穫時期ごとに手作業または農機で、植物・作物を収獲
- 収獲した植物・作物の外観を確認し、傷や汚れがないかチェック
- 品種ごと、大きさ、見た目の美しさ別に選別
- 選別した植物・作物を包装材で包み、傷つかないようにする
収穫時期を誤ると品質が低下したり、出荷できなくなる場合もあります。そのため、作物ごとの収穫時期を把握しておかなければなりません。
包装材の選定は、運搬中に傷がつかないように適切なものを選びます。
例えば、箱、ネット、パレット積みなどがあります。また傷防止のために緩衝材を入れることもあります。
出荷
事前に出荷先へ連絡を入れておき、収穫した農作物を出荷業者に渡します。
出荷された農作物は中間卸に届けられ、保管または加工されて商売業者や消費者に販売されます。
園芸農家は、品質不良や出荷漏れ、納期遅れが発生しないように気を付けて出荷しなければなりません。
そのため、出荷作業の一部を自動化、出荷情報のデータ化などを行い、品質の向上を図っています。
園芸農家の魅力

園芸農家の仕事には、自然と密接に関わる魅力があります。
植物の成長を間近で見守り、育てる喜びを日々感じられるでしょう。
また、地元コミュニティへの貢献も大きな魅力の一つ。新鮮で安全な農産物を提供することで、地域の食文化や健康に貢献できます。
さらに、園芸農業は常に進化しており、新しい技術や栽培方法に挑戦する機会が豊富です。
品種改良や効率的な栽培技術の開発など、創造性を発揮できる場面も多くあります。
園芸農家に向いてる人
「園芸農家に向いてるのはどんな人だろう?」
園芸農家に向いてるのは下記に当てはまる人です。
- コツコツと作業を続けられる人
- 自然が好きな人
- 責任感がある人
- 丁寧に作業できる人
詳しく見てきます。
コツコツと作業を続けられる人
コツコツと作業を続けられる人は園芸農家向きです。
園芸農家の仕事は、地道な作業が大部分。短期間で結果が出るものではないからです。
例えば、土づくりから収穫、肥料やり、雑草・害虫の除去など、根気よく続ける必要があります。
また、新規品種開発では10年以上かかることもあり、コツコツと努力を積み重ねる姿勢が不可欠です。
自然が好きな人
園芸農家の仕事は屋外での作業が多く、自然に囲まれて過ごします。
四季の移り変わりや天候の変化を直接体験しながら働くため、自然が好きな人にとって魅力的な職業です。
逆に室内で作業をしたい方は、園芸農家には向かないと言えるでしょう。
責任感がある人
園芸農家の仕事は、責任を持って世話を続ける必要があります。
例えば、施設栽培では、温度や湿度、光量の調整など、施設の管理も重要な仕事です。
常に気を配り、適切に管理できる責任感が必要とされます。
丁寧に作業できる人
丁寧に作業できる人は園芸農家に向いています。受粉、植え込み、収穫、選別など、丁寧さを求められる作業が多くあるからです。
作物を傷つけずに扱う必要があるため、繊細で丁寧な作業が不可欠です。
特に、花きや果物などは、傷や汚れがつきやすく、ちょっとしたミスで価値が大きく下がってしまいます。
したがって、丁寧な仕事ができる人は作物の品質と価値を維持することができます。
園芸農家になるには?

「園芸農家の仕事内容や向いてる人はわかった。じゃあどうすれば園芸農家になれるの?」
園芸農家になるためには、基礎知識の習得、実務経験の蓄積、必要に応じて資格の取得が重要です。
詳しく見ていきましょう。
基礎知識を習得する
園芸農家として成功するためには、まず基礎知識を習得することが重要。
農業大学や専門学校では、植物学、土壌科学、病害虫管理など、必要な知識を体系的に学べます。
また、インターンシップや実習に参加することで、実践的な経験を積むことができます。
最新の農業技術や法規制に関する知識も重要です。農業は常に進化しており、新しい栽培方法や技術が次々と登場するからです。
継続的な学習を通じて、最新情報を常にアップデートしていく必要があります。
実務経験を積む
園芸農家として成功するためには、実践的なスキルの習得が不可欠。
現場での実務経験を通じて、植物の育成管理、病害虫対策、収穫技術など、実践的なノウハウを身につけることができます。
先輩農家からのノウハウ継承も重要。経験豊富な農家の下で働くことで、長年の経験に基づく貴重な知識や技術を学べます。
また、多様な作物に取り組むことで、幅広い知識と技術を習得できます。
資格を取得する
園芸農家として専門性を証明し、キャリアアップにつなげるためには、関連する資格の取得が有効です。
農業の知識と技術を身につけることで仕事の質が向上し、顧客の信頼を得やすくなります。
資格取得は、自身の知識やスキルを客観的に評価する機会にもなります。
また、資格取得の過程で学ぶ新しい知識や技術は、日々の業務に直接活かすことができます。
園芸農家に求められる資格

園芸農家に必須の資格はありませんが、関連する資格を取得することで専門性を高め、キャリアアップにつなげることができます。
園芸農業に役立つ主な資格は下記のとおり。
- 日本農業技術検定
- 農業機械士
- 危険物取扱者乙種4類
- 園芸インストラクター
1つずつ見ていきましょう。
日本農業技術検定
日本農業技術検定は、日本農業技術検定協会が主催する検定資格です。農業現場への新規就農や、関連企業への就職を目指す方のために必要な知識を習得できます。
具体的には、農作業の入門知識から高度な農業知識・技能まで、幅広いレベルの内容をカバーしています。
この資格を取得することで、農業の基礎から応用まで体系的に学ぶことができ、園芸農家としての専門性を証明することができます。
農業機械士
農業機械士は、農業機械に関する重要な知識と技術を習得した人に与えられる資格です。
主に下記知識や技術を習得できます。
- 農業機械を安全に使用する方法
- トラクター、コンバインなどの農業機械の構造と操作方法
- 農業機械の点検、整備、修理の方法
資格を取得するには、農業大学校などで行われる研修を受講する必要があります。
研修修了後、農業機械士技能検定試験を受けます。試験では、学科と実技の両方が評価されます。
危険物取扱者乙種4類
危険物取扱者乙種第4類は、特定の危険物を安全に取り扱うための国家資格です。
ハウス栽培などでボイラー設備を使用する場合、重油を扱うためこの資格が必要です。
試験は筆記試験のみで、下記3つの科目があります。
- 危険物に関する法令
- 基礎的な物理・化学
- 危険物の性質、火災予防、消化の方法
特別な受験資格はないため、誰でもチャレンジできる資格です。
園芸インストラクター
園芸インストラクターは、日本インストラクター協会が認定する民間資格です。この資格では、ガーデンの設計と施工、菜園からハーブ、植物の管理まで幅広い知識を学ぶことができます。
園芸インストラクターの資格は、主にインストラクターとしての活動を想定していますが、園芸農家にとっても必要な知識を得られます。
例えば、植物の生理や栽培技術、病害虫対策など、園芸農家の日常業務に直結する内容を学ぶことができます。
園芸農家の年収とキャリアアップ

園芸農家の年収は、栽培する作物の種類や規模、経営手法によって大きく異なります。
詳しく見ていきましょう。
園芸農家の年収
厚生労働省のjobtagによると、園芸農家に含まれる職であるハウス野菜栽培者、果樹栽培者、花き栽培者の年収は、平均で374.4万円となっています。
ただし、この数字はあくまで平均値であり、実際の収入は個々の農家の状況によって大きく変動します。
例えば、大規模な農園を経営し、効率的な生産システムを導入している農家では、年収1,000万円を超えるケースもあります。
一方で、小規模な農家や新規就農者の場合、年収100万円〜200万円程度となる可能性もあります。
また、園芸農家の収入は、季節や天候、市場の需要など、様々な要因に影響されます。
特に、出荷時期が年に数回に限られる作物を栽培している場合、その時期の収入で一年の生活や経費を賄う必要があります。
そのため、計画的な資金管理が重要となります。
キャリアアップの可能性
農業技術者としてのキャリアアップも可能です。
経験を積み、専門知識を深めることで、農業コンサルタントとして独立したり、農業教育者として転身したりできます。
より安定した収入や、新たな挑戦の機会を提供する可能性がある職業と言ってよいでしょう。
まとめ:園芸農家は作物の育成から市場への供給まで行う魅力的な職業

園芸農家は、植物の育成から市場への供給まで幅広い業務を担う、自然と密接に関わる職業です。
専門知識と技術、体力が求められますが、植物を育てる喜びや地域貢献など、多くの魅力があります。
興味のある方は、ぜひ本記事を参考に転職を考えてみてください。
なお、GARDEN-JOBは造園・園芸・外構・土木職人専門の転職求人サイトで、関西、東海、関東エリアの求人情報を掲載しています。
最大5万円の採用お祝い金や、企業とのメッセージのやりとり、応募履歴の確認など便利な機能が利用できます。
無料で登録できますので、お仕事をお探しの方は、ぜひGARDEN-JOBをご活用ください。