「工事請負契約書の記入例を知りたい」
「工事請負契約書はなぜ作成するの?」
こんな疑問にお答えします。
本記事では、工事請負契約書とは何か、記入例や注意点についてまとめています。
工事請負契約書を初めて作成する方や、書き方を忘れた方などはぜひ本記事を参考にしてみてください。
目次
工事請負契約書とは?
発注者と請負人の間で、工事請負契約を締結する際に作成される書類のことです。
簡単に言えば「工事に関する約束をまとめた書類」と言ったところですね。
本章では、工事請負契約書についてもう少し具体的に見ていきます。
工事請負契約書の内容
具体的な工事請負契約書の主な内容は下記のとおりです。
- 発注者の名前と請負人の名前、住所、連絡先
- 工事の場所、いつまでに、いくらで行うのか
- 支払い方法
- トラブルが発生したときの責任の所在
- その他、工事に関する約束
内容は当事者が自由に決められ、簡単な契約書から細かい内容を記載した契約書まで様々です。
工事請負契約書の必要性
工事請負契約書は、トラブル防止、責任の明確化、円滑な工事進行を行うために必要とされます。
【①トラブル防止に繋がる】
工事の内容や工期、請負代金など、契約内容を事前に明確にしておくことで、発注者と請負人の間で認識違いが生じることを防ぎ、トラブルを未然に防ぐことができます。
【②責任の明確化ができる】
工事請負契約書に請負人の責任範囲を明確に記載することで、責任の明確化ができます。
例えば建設工事では、工事中に第三者に損害を与えた、建設中の建物の一部や機材を破壊したなどの事故が発生した場合、どこまで請負者が責任を負うのかという点が問題になります。
請負契約書にどこまで責任があるかを記載することで、トラブル発生時にも対応をスムーズに進めることが可能です。
【③円滑な工事進行に繋がる】
工期、支払い方法、検査方法などを明確に記載することで、工事関係者間のコミュニケーションの円滑化やスムーズな工事進行が期待できます。
書面による交付が必要な16項目
工事請負契約書の内容は自由に作成できるとはいえ、実際には建設業法で定められている、書面による交付が必要な16項目の条項を必ず記載する必要があります。
(建設工事の請負契約の内容)第十九条 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
一 工事内容
二 請負代金の額
三 工事着手の時期及び工事完成の時期
四 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容
五 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
六 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
七 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
八 価格等(物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第二条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
九 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
十 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
十一 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
十二 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
十三 工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
十四 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
十五 契約に関する紛争の解決方法
十六 その他国土交通省令で定める事項
契約の締結に際しては、上記の条項を書面に記載し、署名または記名押印をして相互に交付する必要があります。
また、五、十、十三は一定の行為の定めをする場合のみ記載が必要です。
その他に記載する条項
16項目以外にも、当事者の合意によって条項を定めることができます。
【その他の条項に記載する内容の例】
- 現場代理人の選定に関する条項
- 住宅ローンの審査に通らず、資金調達できない場合、契約解除を認める条項
- 当事者および役員等が、暴力団員に該当しないことなどを相互に表明保証する条項
- 代金不払いや損害賠償請求などのトラブルが発生した場合、どこの裁判所で裁判を行うかの条項
16項目以外にも記載することで、双方の認識のズレを防げますので、必ず記載すると良いでしょう。
工事標準請負契約約款
工事請負契約書を作成する際には、工事標準請負契約約款を添付する必要があります。
国土交通省に設置された中央建設業審議会が、建設業法に基づいて公表している約款です。
具体的には、工事請負契約では網羅できない事項が記載されたものになります。
建設工事に関する標準的な契約条件が定められており、依頼主との間でトラブルを起こさないために重要なものです。
また、契約条件が一方にだけ有利に定められてしまわないように、国土交通省が定めたものを添付することが重要です。
(参考資料 国土交通省 建設工事標準請負契約約款について)
工事請負契約書の記入例
なお工事請負契約書に決まった書籍はありません。
上記の工事請負契約書は、中国地方整備局の雛形を参考に作成しています。
あくまでも例ですので、実際は工事内容や契約に合ったものを作成してください。
作成時の注意点
- 当事者が誰であるか明確に記載する
- 工事の種類、範囲、期間、場所、目的を明確にする
- 追加工事代金の請求に関する取り決めを記載する
- 工事延期の違約金に関する取り決めを記載する
- 損害賠償責任に関する取り決めをを記載する
テンプレートを使っていれば大きなトラブルになることは避けられますが、わからない場合は専門家に相談するのが良いでしょう。
まとめ:工事請負契約書はトラブル防止に必須!適切に作成しよう
工事請負契約書は、トラブル防止、責任の明確化、円滑な工事進行を行うには必須の書類です。
工事請負契約書は、適切な内容を記載することが重要です。
ぜひ、今回お伝えした内容を参考にしてみてくださいね。
また、弁護士などの専門家に相談して工事請負契約書を作成することも重要です。
インターネットのテンプレートなどを使用して適切に作成しましょう。