「造園技能士の仕事内容は?」
「造園技能士になるにはどんな勉強をしたらいいのかな?」
「造園技能士の将来性についても知っておきたい」
こんな疑問やお悩みをお持ちではないでしょうか?
造園技能士は、庭園や公園といった緑地スペースの設計、施工、管理を行う専門職で、1級、2級、3級に分かれています。
造園技能士になるには、造園技能検定に合格する必要があり、資格を取得することで、造園に関する高い技術と知識を持っている証明になります。
造園技能士は、造園業界でのキャリアアップや技術向上の重要なステップとなりますので、各等級の特性を理解し、自身のキャリアプランに合わせて挑戦することをおすすめします。
この記事では、造園技能士の具体的な仕事内容や試験内容、勉強方法について詳しく解説しています。
造園技能士のキャリアプランや将来性についても触れていますので、ぜひ資格取得の参考にしてみてください。
目次
造園技能士の仕事内容
造園技能士の主な業務は下記のとおりです。
- 庭園や公園の設計・施工
- 植栽計画の立案と実施
- 樹木の剪定や管理
- 石組みや水景施設の設置
- 外構工事の実施
- 環境保全と生態系への配慮
1つずつ詳しく見ていきましょう。
庭園や公園の設計・施工
造園技能士は、クライアントの要望や環境条件を考慮しながら、庭園や公園の設計を行います。
たとえば、地域の気候条件や土壌の特性を踏まえて適切な植栽を選択したり、バリアフリー設計を取り入れて高齢者や障害者にも使いやすい空間を創出したりします。
設計図面の作成から実際の施工まで、一貫して携わることが多く、緻密な計画が求められます。
また、地域の特性や気候条件を考慮して美しい景観を作りつつ、機能的で持続可能な空間を提供を行わなければなりません。
造園技能士は、季節ごとに異なる花や木々を組み合わせ、一年を通じて楽しめる庭園や公園を作り出すのに貢献しています。
植栽計画の立案と実施
造園技能士は、植物の剪定や配置といった植栽計画を立案し、植え付け作業まで行います。
適切な植物選びや配置計画が重要で、季節ごとに変化する美しさを楽しむための知識が必要です。
土壌や日照、風向きなどを調査し植栽に適した環境かを調べ、必要に応じて土壌を改良。使用目的や環境に応じた植物の選定を行い、計画どおりに植栽していきます。
このような植栽基盤の整備は、植物の健全な成長を促すために欠かせない重要な作業です。
また、植栽後の成長管理や維持も担当し、5年10年という長期的な視野での計画を立てることも造園技能士の重要な作業です。
樹木の剪定や管理
樹木の剪定には、形を整える、美観を保つ、樹木の健康を維持する、日照や風通しを改善する、害虫や病気の予防などの目的があります。
一般的に、剪定は年間を通じて主に2つの時期に行われます。
- 冬季剪定:春の成長に備えて行う剪定
- 夏季剪定:春から夏にかけて伸びた枝葉を整える剪定
また、樹木の種類によっても剪定の時期が変わってきます。
具体的には、下記の時期に剪定を行うのが一般的です。
【常緑針葉樹】
春の芽吹き前の3月から4月が最適。この時期に剪定することで、新芽の成長を促進し、樹形を整えやすくなります。
【常緑広葉樹】
春の新芽が固まる3月下旬から4月下旬、または梅雨入り前の5月下旬から6月。樹木の健康維持と美しい樹形の形成に効果的です。
【落葉広葉樹】
冬の落葉期である12月から2月が最適。葉が落ちた状態で剪定することで樹木の全体的な構造が見やすく、効率的に作業を進められます。
石組みや水景施設の設置
造園技能士の伝統的な仕事として、日本庭園や現代風の庭園において、石や水を使った装飾があります。
美しい景観作りだけでなく、機能性や耐久性の確保も必要。歩行路の確保、池や滝、噴水作りなど、美的、機能的、文化的で多様な目的を持って行われます。
たとえば、石組みでは、単に石を置くだけではなく、自然の景観を模倣し、調和のとれた美しさを作り出すことが重要。飛び石や敷石を設置する際は、歩きやすさと美しさのバランスを考慮しなければなりません
このように、自然な美しさと安定性を両立させた配置にしなければならないので、造園に関する深い知識と高い技術力が不可欠です。
外構工事の実施
造園技能士の仕事は、庭園の設計や施工だけでなく、建物周辺の外構工事も重要な業務の一つです。外構工事は、建物の外観を美しく整えるだけでなく、居住者や利用者の安全性と快適性を向上させる目的があります。
具体的には以下のような作業を行います。
- フェンスや塀の設置:プライバシーの確保や境界線の明確化
- 駐車場の舗装:機能性と美観の両立
- 照明設備の設置:安全性の向上と夜間の景観演出
外構工事は建物全体の美観を高めるだけでなく、居住者や利用者の安全性と快適性を向上させる重要な役割を果たしています。
造園技能士は、専門知識と技術を活かし、安全で快適な生活空間の創出に貢献しています。
環境保全と生態系への配慮
現代の造園技能士には、環境への配慮も求められます。
【在来種の活用】
- 地域の生態系を守るため、その土地本来の植物を使用
- 外来種の過度な使用を避け、地域の自然環境との調和を図る
【ビオトープの創出】
- 小規模な生態系を人工的に作り出し、生物多様性を促進
- 都市部でも自然とのふれあいの場を提供
【雨水利用システムの導入】
- 持続可能な水資源管理を実現
- 植物の灌水や庭園の維持に活用
造園技能士はこのような取り組みにより、単に美しい空間を作るだけでなく、環境保全や生態系の維持にも貢献しています。
自然と人間の調和のとれた空間づくりが、現代の造園技能士に求められる重要な役割となっています。
造園技能士になるには?【学科と実技に合格】
造園技能士になるためには、学科試験と実技試験の両方に合格する必要があります。
造園技能士は1級、2級、3級に分かれていますが、ここからはそれぞれの等級の受験資格や試験内容について解説します。
受験資格
それぞれの等級の受験資格は下記のとおり。
- 1級:7年以上の実務経験、または2級取得後2年以上の実務経験
- 2級:2年以上の実務経験(専門高校等の在校生で、3級取得者は実務経験不要)
- 3級:実務経験不要
職業訓練歴、学歴によっても変わります。また、今後の受験資格が変わることもあるので、実際に受験する際は厚生労働省のホームページを必ず確認するようにしましょう。
(厚生労働省ホームページ 技能検定試験の受検資格要件が大幅に緩和されました)
試験内容
造園技能士試験は、実技試験と学科試験で構成されています。
【実技試験】
実技試験は、造園に必要な技術を要しているかを図る試験になります。具体的には、下記の内容で実技試験を行います。
- 3級:造園工事作業(地割り、庭木等の選定、造園工事の施工、玉掛け)
- 2級:造園工事作業(平面図の作成、地割り、庭木・庭石等の選定、造園工事の施工、玉掛け)
- 1級:造園工事作業(見取図・平面図及び断面図の作成、地割り、庭木・庭石等の選定、造園工事の施工、玉掛け、積算)
【学科試験】
正誤法による問題と、4肢択一式問題が合わせて50問出題されます。
出題内容は下記のとおり。
- 庭園及び公園
- 施工法
- 材料
- 設計図書
- 関係法規
- 安全衛生
- 測量(1級、2級のみ出題)
また、試験内容に関しては年々更新される可能性があるため、最新の情報を確認するようにすることが重要です。また、合格基準についても年度によって変動する可能性があるので注意してください。
造園技能士の勉強方法と学習期間【独学は可能?】
造園技能士の資格は独学でも取得可能です。ただし、計画的な学習が不可欠であり、効率的に試験に合格するためには、自分に合った学習方法を見つけることが重要です。
ここで、具体的な学習方法と、おおよその学習期間について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
学習期間
造園技能士の試験準備には、6ヶ月から1年半程度の学習期間が必要になることがあります。
確実に合格するためには、過去問題の演習や模擬試験を通じて、知識を定着させつつ試験形式にも慣れることが重要です。
ただし、学習期間は個人の能力や環境によって異なるため、自分に合ったペースで進めることが大切となります。
参考書や問題集の活用
造園技能士の基礎知識や重要な単語については、参考書や公式テキストを中心とした学習をおすすめします。
また、過去問題集を解き、出題傾向を把握しておくのも重要です。実際の試験でどのような問題が出題されるのかを知ることで、難易度の把握や自信の理解度をチェックできるからです。
この2つのテキストを組み合わせることで、効率的な学習が可能になると言えます。
実技試験の練習
実技試験は、造園技能士試験の中でも特に重要な部分です。
まずは実技課題を何度も繰り返し練習し、内容を体に覚えさせていきましょう。慣れてきたら時間を計りながら練習することで、本番の時間配分の参考にもなります。
可能であれば、実際の造園現場で経験を積むのも効果的です。様々な植物や道具に触れることで、実践的なスキルが身につきます。
上手くいかない箇所は、先輩技能士からアドバイスをもらうことも重要です。また、造園技能士の講習会に参加することで、実際の試験会場と同じ環境で練習ができます。
なお、1級造園技能士、2級造園技能士の詳しい試験内容や試験対策、おすすめ問題集については、下記の記事で解説しています。
合格率や詳しい試験日程も分かりますので、それぞれの等級の取得に向けて役立ててください。
造園技能士のキャリア形成と将来性
造園技能士になると、どのようなキャリア形成ができるのかとても気になるポイントですよね。
造園技能士の将来性と合わせて解説するので、あなたのキャリアプランの参考にしてみてください。
造園会社での評価アップ・キャリアアップ
3級造園技能士は、基礎的な知識と技術を持っていることを証明する資格であり、就職や業務において一定の評価を得られる場合があります。
しかし3級だけだと、給料アップや昇進においては、難しいと言えるでしょう。
一方で1級・2級の取得者は、より高度な技術を習得していることから、会社内でも貴重な戦力と見なされるので、昇進や給料アップできる可能性が高まります。
特に1級取得者は、管理職や指導的立場に立つ機会も増えていきます。転職にも有利になり、大手企業や造園会社以外の企業に転職できる可能性もあるでしょう。
造園技能士の将来性
従来の個人邸宅向けの仕事は減少傾向にありますが、新たな需要や環境への関心の高まりにより造園業界の仕事の幅は広がっています。
現代の造園業は、屋内空間や高層ビルの屋上などの人工的な環境での造園が可能だからです。
そのため、個人宅の庭園整備から、文化施設、医療・教育機関、商業・観光施設、産業施設、集合住宅や高層ビルに至るまで、様々な工事現場で造園作業が必要とされています。
さらに、都市化の進展に伴い公共空間における緑化の重要性も増加しています。
たとえば、都市公園の設計と管理、街路樹による都市景観の向上、高速道路沿いのグリーンベルト整備など、都市環境の改善と自然との調和を図る取り組みが増えています。
環境保護や持続可能な開発という観点から考えても、今後も一定の需要が続くと考えられます。
まとめ:適切な勉強方法で造園技能士を取得しよう
造園技能士は、庭園や公園の設計・施工、植栽計画、樹木管理、石組みや水景施設の設置、外構工事、環境保全など、幅広い業務を担うために必要となる重要な資格です。
資格取得には学科試験と実技試験の両方に合格する必要があり、独学でも取得可能ですが、計画的な学習が不可欠です。
公式テキストや参考書を活用した基礎知識の習得、過去問題集による出題傾向の把握、そして実技試験に向けて反復練習を行いましょう。
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2級造園技能士のスキルを活かしてキャリアアップできる職場を探そう!