造園工事を成功に導くために欠かせないのが、2級造園施工管理技士の資格です。この資格の合格率は、第一次検定と第二次検定で異なり、どちらも簡単ではありません。
しかし、努力と正しい勉強法を実践することで合格率を高められます。
本記事では、2級造園施工管理技士試験の詳細な試験内容と、効果的な勉強方法について解説しています。
また、令和6年度の具体的な試験日程も紹介しているので、これから挑戦を考えている方はぜひご覧ください。

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期か ら植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。 公園の設備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植 栽工事に現場代理人として携わる。
目次
2級造園施工管理技士の合格率は?

2級造園施工管理技士の試験は、造園に関する専門的な知識と技術が必要とされる資格試験です。
合格率については、第一次検定と第二次検定で異なりますが、どちらも高い水準の理解と準備が求められます。
検定ごとの合格率について詳しく見ていきましょう。
「第一次検定」の合格率
第一次検定(学科試験)の合格率は、おおむね50%前後です。
年度 | 合格率 |
令和5年度(2023年) | 51.5% |
令和4年度(2022年) | 56.7% |
令和3年度(2021年) | 49.8% |
令和2年度(2020年) | 58.3% |
令和元年度(2019年) | 48.90% |
過去5年間の平均値は53.43%で、約半数の方が合格していることが分かります。
合格率から考えても、「第1次検定」はそこまで高難易度ではありません。
とはいえ、造園施工管理に関する幅広い知識が問われるので、受験者は多岐にわたる分野を十分に理解している必要があります。
合格するには過去問の徹底的な分析と苦手分野の克服が鍵となるでしょう。
「第二次検定」の合格率
第二次検定の合格率は、おおむね30 %〜40%前後です。
年度 | 合格率 |
令和5年度(2023年) | 52.4% |
令和4年度(2022年) | 40.6% |
令和3年度(2021年) | 42.6% |
令和2年度(2020年) | 32.5% |
令和元年度(2019年) | 27.5% |
より専門的な知識が問われることから、第一次試験に比べやや低い合格率となっており、令和元年、2年の合格率が極端に低くなっていることが分かります。
しかし、令和3年以降は合格率が40%を超えているので、以前より取得しやすくなったと言えるかもしれません。
この合格率から見ると、「第二次検定」の難易度は中程度と言えるでしょう。
しかし、年度によって合格率が変動していることから、試験の難易度も毎年変わる可能性がありますので、計画的な対策と十分な準備が必要不可欠となります。
2級造園施工管理技士の試験内容と日程

2級造園施工管理技士の試験は、専門知識と実務スキルを問う内容となっており、年に複数回実施されます。
ここでは、具体的な試験内容と日程について説明します。
「第一次検定試験」の出題分野
第一次検定では、下記の9つの出題分野から問題が出題されますが、その内容は造園原論から施工管理、さらには関連法規に至るまで幅広くなっています。
【出題分野】
- 造園言論
- 造園材料
- 植栽
- 造園施設
- 土木工学
- 関連工事
- 測量・設計図書
- 施工管理
- 法規
上記の中から、土木工学36問、施工管理法4問が出題されます。
計40問中、24問以上の正解が合格ライン。
試験時間は2時間10分、回答方法はマークシート方式(四肢択一)です。
出題分野が広いことから、受験者は、土壌や肥料、樹木の種類といった基本的な知識から、安全管理や品質管理などの実務に関わる内容まで習得している必要があります。
全て四肢択一式の問題ですが、広い範囲からの出題に対応するためには、事前の準備が重要です。
「第二次検定試験」の出題分野
第二次検定の出題分野は、第一次検定と変わりありません。
科目は「施工管理法」のみで構成されており、出題形式は記述式です。
具体的には、「経験記述」と「記述問題」の二部分に分かれています。
- 経験記述:過去に手掛けた具体的な案件について記述
- 記述問題:では植栽工事や工事数量表などの専門知識を記述
合格基準は全体の60%以上の得点となっています。
合格するためには、単に知識を暗記するのではなく、その知識をどのように実務に活かすかが重要になってくるでしょう。
2級造園施工管理技士の試験日程
2級造園施工管理技士の試験は年2回、前期と後期に分けて実施され、第一次検定の前期試験が6月に、後期試験が11月に行われます。
第二次検定も第一次検定の後期と同じ日に実施されることが多いです。
下記は令和6年度の2級造園施工管理技士の試験日程です。
試験区分 | 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
第一次検定(前期) | 令和6年6月2日(日) | 令和6年3月6日(水)~3月21日(木) | 令和6年7月2日(火) |
第一次検定(後期) | 令和6年11月17日(日) | 令和6年7月9日(火)~7月23日(火) | 令和7年1月6日(月) |
第二次検定 | 令和6年11月17日(日) | 令和6年7月9日(火)~7月23日(火) | 令和7年3月5日(水) |
毎年、同じ時期に開催しているとはいえ、社会情勢などの理由により変更になることも考えられます。
申し込み期間や試験の具体的な日付は、関連機関のホームページで事前にしっかりと確認し準備を整えることが大切です。
2級造園施工管理技士の試験地

2級造園施工管理技士検定の試験は、その重要性から全国複数の地区で実施されています。
第一次検定、第二次検定の試験地をご紹介しますので、参考にしてみてください。
第一次検定の試験地
第一次検定においては、季節によって試験地が異なり、前期では10の地区、後期では14の地区で試験が行われます。
試験区分 | 試験会場 |
第一次検定(前期) | 札幌、仙台、東京、新潟、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、那覇 |
第一次検定(後期) | 札幌、青森、仙台、宇都宮、東京、新潟、金沢、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、鹿児島、那覇 |
第二次検定の試験会場
第二次検定の試験地は13地区です。
試験区分 | 試験会場 |
二次検定 | 札幌、青森、仙台、東京、新潟、金沢、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、鹿児島、那覇 |
2級造園施工管理技士の勉強方法

2級造園施工管理技士の試験に合格するためには、効果的な勉強方法を選択することが重要です。
もちろん勉強方法は1つではなく、複数組み合わせることでさらに効果を実感できます。
ここでは、主に3つの勉強方法を紹介しますのでご覧ください。
独学で過去問を中心に学ぶ
独学での勉強は、過去問を中心に行う方法が有効です。最低でも過去5年間の過去問を3周以上解き、試験の傾向と対策を把握しましょう。
特に間違えやすい問題や苦手分野は繰り返し学習し、基礎から応用までの知識を確実に身につけることが大切です。
参考書を使った基礎学習と過去問題の定着を行うことで、自分一人でも効果的に学習を進めることが可能です。
通信講座を利用する
通信講座を利用することで、専門的な知識や解説を得ながら学習を進められます。カリキュラムが組まれているため、無駄なく効率的に学びたい分野をカバーできます。
また、講師からのフィードバックや模擬試験を通じて、自分の実力を客覑的に把握し、試験に向けての準備を進めることができます。
費用は発生しますが、その分、サポートや質の高い教材が提供されるため、多くの受験者にとってメリットが大きい選択肢です。
学習アプリも活用する
近年ではスマートフォンアプリを利用した勉強も広まっています。過去問を解くアプリや用語集を閲覧できるアプリが多くあるので、いつでもどこでも学習を行うことができるのが大きなメリットです。
例えば、仕事の移動時間や休憩時間など、ちょっとした空き時間に気軽にアプリを開けるため効率的に学習することが可能です。
ただし、アプリの学習だけでは合格は難しいでしょう。参考書や書籍での学習と併せて学習アプリも用いて、更に理解を深めるのが効率的な勉強方法と言えます。
2級造園施工管理技士を取得するメリット

2級造園施工管理技士の資格を持つことで、資格手当の支給や高い求人価値などのメリットを得られ、造園業界での経済的な安定と職業的な満足度が向上するでしょう。
もう少し詳しく解説していきますので、ご覧ください。
キャリアアップの機会が増える
2級造園施工管理技士の資格を取得することは、キャリアアップに直結します。
この資格によって、造園工事の現場で中心的な役割を果たせるようになり、管理職として働く機会が増えるからです。
さらに、社内での評価も高まり、昇進や昇格のチャンスが格段に広がることが期待されます。
資格を活かして、より複雑で大規模な工事の管理を任されることもあるかもしれません。
このように、技術的な成長と共に職業的なステップアップも望めるため、自身のキャリアに大きなプラスとなります。
給料アップする可能性がある
2級造園施工管理技士の資格を持っていることで、給料アップできる可能性が高まります。
資格を持つことによる資格手当の支給はもちろん、施工管理者としての専門性や技術を高めることで、より高額な給料を提示される場合が多くなります。
また、工事現場での重要なポジションを任されるようになれば、その責任と役割に見合った給料を得ることが可能です。
このように、技術力とともに経済的な報酬も得られるため、モチベーションの向上にも繋がります。
1級造園施工管理技士も目指せる
1級造園施工管理技士を受験するためには、まず2級資格を取得し、その上で必要な実務経験を積む必要があります。
この1級資格は、より大規模で複雑な造園プロジェクトの施工管理を担うことができるようになり、キャリアアップだけでなく責任のあるポジションへと進むことが可能になります。
また、1級資格を持つことで、監理技術者や専任技術者として更に専門性を発揮することが期待され、工事の品質や効率を大幅に向上させることが求められるようになります。
つまり、2級造園施工管理技士資格は、将来的に1級造園施工管理技士として活躍するための基盤を築くためのものであり、積極的に挑戦することでさらなる成長が見込まれます。
転職の際に有利になる
2級造園施工管理技士の資格は、転職市場においても非常に有利です。施工管理の資格は、専門性の高い国家資格として認知されているからです。
また、専門的なスキルが評価されやすく、より条件の良い職場を見つけやすくなるため、職業選択の自由度が高まります。
転職時においても有利な立場に立てることが多く、キャリアの安定感を保つことが可能です。
まとめ:2級造園施工管理技士の合格率を知ったらさっそく挑戦しよう

本記事では、2級造園施工管理技士の試験について詳細に解説しました。
お伝えした通り、一次検定、二次検定共に40%〜50%程度の合格率となっています。
合格率から見て、2級造園施工管理技士はある程度の難易度がありますが適切な方法での対策により合格が見込めます。
具体的には、過去問題を重点的に解くこと、専門的な通信講座を活用すること、またスマートフォンアプリを駆使して隙間時間を利用した学習を行うことが有効です。
各受験者が状況に応じた学習計画を立て試験に臨む姿勢が重要なので、効率的な学習と計画的な準備を進め、2級造園施工管理技士としての資格取得を目指しましょう。
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