今現在、建設業は深刻な人手不足に陥っていることをご存知でしょうか?

建設業界は何年も前から従業員の高齢化、加速化する少子化、技術を承継する人がいないなど、さまざまな要因によって人手不足が加速化しているのが問題です。

2024年問題や2025年問題なども挙がっていますが、会社が考える離職理由と従業員が感じる離職理由にもズレがあります。

とはいえ、建設業の人手不足を改善する方法は多くあります。

それでは、建設業界が直面する課題、人手不足が進む原因、会社が考える離職理由と従業員が感じる離職理由のズレ、人手不足を改善する方法をご説明しましょう。

氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期か ら植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。 公園の設備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植 栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 中里 涼子

ライター歴8年以上の中里 涼子です。 引っ越しや不動産投資、美容、医療、クレジットカード、ビジネス、ペット、株式投資、食品、健康、占い、住宅、宝くじ、防犯、リフォーム・リノベーション、ダイエットなどの多種多様なジャンルの記事を執筆しております。




目次

【深刻化する人手不足】建築業界が直面する課題

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建築業界が直面する課題は、以下の通りです。

  • 中小企業の約7割が「人手不足」を実感
  • 時間外労働の上限規制|2024年問題
  • 団塊の世代が後期高齢者へ|2025年問題

それでは、建築業界が直面する課題についてご説明しましょう。

中小企業の約7割が「人手不足」を実感

実は中小企業の約7割が人手不足を実感していることをご存知でしょうか?

日本商工会議所全国の中小企業を対象に「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」を実施したところ、全体の約7割が人手不足だと回答していました。

また、そのうちの約6割が深刻な人手不足であり、今後の事業継続に不安を感じていたり、事業に支障が出たりしているとのことです。

つまり、このまま人手不足が一向に解消されない場合、人手不足を理由とした廃業もやむなしという状況になりかねないと言えるでしょう。

時間外労働の上限規制|2024年問題

政府が推進する働き方改革により、2019年4月1日以降は労働者の時間外労働において月45時間、年360時間の上限が設けられています。

これにより、何か特別な事情がない限り上限を超える時間外労働ができなくなりました。

これは建設業界にとっても大きな痛手で、時間外労働の上限規制があると労働者1人あたりの作業量が減るため、総じて工期などに間に合わせるのが厳しくなります。

このまま仕事が思うように進まない事態が進んだ場合、企業の利益が減少すると共に労働者の給与も減少することになりかねません。

これは建設業界の2024年問題と言われ、給与が少なくなれば離職率が上がり、人手不足と利益の減少によって廃業に追い込まれることになるでしょう。

団塊の世代が後期高齢者へ|2025年問題

2025年には団塊の世代が後期高齢者となり、総じて退職や定年によって労働人口が急激に減少する可能性が高いです。

労働人口が不足した分だけ建設業界も人手不足が解消されないどころかさらに深刻化し、廃業率も高まります。

建設業の人手不足が進む原因とは?

建設業の人手不足が進む原因は、以下の通りです。

  • 高齢化が進んでいる
  • 給与水準が比較的低い
  • 需給のミスマッチと生産性
  • 人材が大手や都市部に集中

それでは、建設業の人手不足が進む原因についてご説明しましょう。

高齢化が進んでいる

建設業の人手不足が加速化している大きな原因の一つとして挙げられるのが、労働者の高齢化が吸うsンでいることです。

国土交通省が2021年10月にまとめた「最近の建設業を巡る状況について【報告】」によると、2020年における建設業の労働者数は492万人で、ピークだった1997年の685万人と比べると約28%も減少しています。

基本的に建設業はネガティブなイメージが多いことでも知られています。

たとえば労働者の質が悪い、態度が悪い、口が悪い、きつい、汚い、危険など、体育会系の集まりだったり長時間労働だったりと、とにかく悪いイメージが定着していると言えるでしょう。

これでは若い人が敬遠してしまうので、高齢化が進んでも働き続ける悪循環になってしまいます。

給与水準が比較的低い

建設業が敬遠されているのは、辛く厳しい労働環境であるにもかかわらず給与水準が比較的低いことが挙げられます。

もちろん資格を取得したり勤続年数が長くなったりすれば自ずと給与も上がるかもしれませんが、そこまで耐えて働き続ける人は一部の人だけなのかもしれません。

また、給与水準が低いのは天候によって給与が安定しないからです。

建設業は基本的に屋外で作業しますが、悪天候になると建材などが濡れて作業にならないため、作業を中止して延期になったり欠勤扱いになったりします。

これによって意図せず仕事量が減るので、給与もその分少なくなるのが問題です。

一般的な月給制の仕事よりも給与水準が低いとなると、若者から敬遠されやすくなるでしょう。

需給のミスマッチと生産性

これまで建設業の人手不足が深刻化していることについて説明しましたが、厚生労働省による雇用動向調査によると、少子化が進行しているにもかかわらず毎年5,000人程度増加しているようです。

つまり、実際は人手不足の状態ではないと言えますが、それでも人手不足が叫ばれているのは需要と供給のバランスがミスマッチしていて生産性が上がらないからです。

日本は地震大国なので、地震をはじめとする災害対策を行う人が増えています。

したがって建設投資自体は増えているものの、高齢化や人手不足、技術を継承する人がいないことによる廃業などさまざまな理由によって年々建設業者が減少しています。

また、需要と供給のミスマッチ以外にも、事務作業の最適化ができていないこおによる生産性の低下も原因です。

事務作業のデジタル化が進んでいないので未だにアナログ業務を行っている建設業者が多く、上場企業でさえアナログに頼っているケースもあるほどです。

こうした需要と供給のミスマッチと共に生産性の低下が人手不足を加速化させていると言えるでしょう。

人材が大手や都市部に集中

地方の建設業者にとって頭が痛い話となるのが、貴重な人材が大手や都市部に集中していることです。

若手は寮や育成環境が整っていない地方よりも、遠くても都市部に行ったり大手に就職したりして労働環境が整ったところで働きたいと考える傾向にあります。

つまり、地方の建設業者はやっと就職してくれる人材が入社してきたと思ったらすぐに転職されてしまうことになるでしょう。

毎年建設会社に就職する人材が増えても、地方や中小企業には回ってこないのが現状です。

会社が考える「離職理由」と従業員が感じる離職理由のずれ

会社と従業員が考え、感じている離職理由にずれが生じているのも問題の一つです。

国土交通省が行った「建設業の働き方として目指していくべき方向性」によると、会社側は若手が定着しない理由として作業がきついことを挙げていますが、若手は雇用が不安定であることを挙げています。

このように、会社が考える離職理由と従業員が感じている離職理由にはずれがあります。

実際はどうなのでしょうか。

給与水準は低くない

建設業はそんなに給与水準が低いのか気になるところですが、実際はそこまで低くないどころか飲食業や運輸業など他の産業より給与水準が高い傾向にあります。

むしろ安定していると言われている地方公務員や地方銀行員といった職業の給与水準が減少している傾向にあるので、相対的に見ると給与水準が上がっていることになります。

雇用の不安定さ

雇用が不安定であることには変わらない点もあります。

働き方改革を推進していたとしても高所作業や危険な作業をすることも多く、時間外労働の上限規制があったとしても残業が多いのも拍車をかけているでしょう。

だからこそ就職したときに後悔して退職するケースが後を絶ちません。

建設業の人手不足を改善する方法

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建設業の人手不足を改善する方法は、以下の通りです。

  • 働きやすい環境づくり
  • 業界のイメージを向上させる
  • 他社との差別化
  • 生産性を向上させる

それでは、建設業の人手不足を改善する方法についてご説明しましょう。

働きやすい環境づくり

人手不足を改善するためにも、労働者にとって働きやすい環境作りが何よりも重要です。

たとえば労働者の肉体的・精神的な負担を減らす施策を講じたり、事務所や仮設トイレの衛生面を改善したり、アナログ業務をデジタル化させて最適化したりといった方法が挙げられます。

また、どんな人でも柔軟に働けるようにフレックスタイム制や時短勤務制を取り入れたりするのもおすすめです。

業界のイメージを向上させる

建設業に対して悪いイメージを持っている若手が多い以上、建設業は悪いイメージを払拭することが重要です。

今の建設業は肉体的にも精神的にも過酷な労働環境で、天候に左右されることもあってか休日が安定しない、長時間労働が多いといったイメージも先行しています。

これらのイメージを払拭するためにも、働き方改革をはじめとしてイベントを開催したり建設現場に触れ合う機会を増やしたりすることが大切です。

他社との差別化

よりスムーズに人材を確保するためにも、他社との差別化が必要不可欠です。

同じ条件の建設会社があった場合、自社が選ばれるのは運次第なのでスムーズに人材を確保することができません。

そこで他社にはない自社の独自性を出すことがカギです。

他社よりも給与水準を高くしたり、福利厚生を充実させたりと、方法はいくらでもあります。

まずは他社の調査を行い、差別化できる点を探しましょう。

生産性を向上させる

人手不足を改善するには、生産性を向上させる施策が重要です。

今までアナログ業務が主体だった場合、デジタル化による最適化を行うことによって無駄な作業をすべて省くことができます。

これによって時間がかかっていた事務作業が短時間で終わるため、余った時間を他の業務に使えるのがポイントです。

他にも現場にカメラを導入して遠隔で確認できるようにしたり、ロボットを導入して人力の作業を減らすことで肉体的負担を減らしたり、ICTを活用するといった方法が挙げられます。

建設業も最新技術を取り入れることでさまざまな変化が生まれるので、検討してみましょう。

まとめ

確かに建設業には未だにネガティブなイメージがありますが、悪いイメージを払拭できる方法を実践することで自ずと人手不足を改善することができます。

今は高齢化・少子化・深刻な人手不足と課題は多いですが、今からでも遅くないのでしっかりと人手不足を改善する方法を実践してみてはいかがでしょうか。

もしも建設業界で働くために資格の取得を目指しているのであれば、是非とも以下のサイトを利用してみてはいかがでしょうか。

ガーデンジョブ