「女性だけど建設業の職人に憧れがあるのでやってみたい。でも男性の仕事って感じがするし、やっぱり無理かな?」
「実際に建設業で働いてる女性はどれくらいいるのかな?」

「女性向きの職人はあるのかな?」

 

こんなお悩みに答える記事です。

 

男性の職場というイメージが強い建設業界ですが、近年では女性も職人として活躍する場が増えています。

 

技術革新や働き方改革、多様な制度の導入によって、女性が建設業界で働きやすい環境が整いつつあるからです。

 

また、女性ならではの視点や能力が建設業界にもたらすメリットも注目されています。

 

この記事では、女性が建設業の職人になれる理由、活躍することで得られるメリット、そして直面する課題とその解決策について詳しく解説します。

 

女性に向いている具体的な職種もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。




目次

女性も建設業の職人になれる3つの理由

建設業の職人というと、男性をイメージするかもしれません。

しかし、女性でも建設業の職人として活躍できる時代になってきました。

その理由は下記のとおり。

  • 技術革新による肉体労働の軽減
  • 多様な働き方の導入
  • 労働時間の減少

詳しく見ていきましょう。

技術革新による肉体労働の軽減

建設機械の進化や新技術の導入により、肉体労働の負担が大幅に軽減されています。

ブルドーザーやバックホウなどの建設機械の作業員であれば、男性より力の劣る女性でも十分に作業ができます。

ごく最近では、装着することで身体的負荷を減らすパワーアシストスーツの導入も注目されています。

また、ドローンを活用した測量や点検作業により危険な作業が減少し、AIやIoTの活用で、作業の効率化や安全性の向上が図られています。

(参考情報:Buid App News 建設業向けパワーアシストスーツを国交省が現場レポート|作業負担軽減へ

このような技術革新と効率化の取り組みにより、女性が建設業の職人として働きやすい環境が整備されつつあります。

体力差を補う新技術の普及や、時間の有限性を意識した生産性の向上により、女性の特性を活かした働き方が可能になってきました。

多様な働き方の導入

建設業でもフレックスタイム制を導入する企業が増えています。

特に現場管理を行う社員を対象に、コアタイムのないフレックスタイム制度を導入する事例が見られます。

また、短時間勤務の可能性も広がっています。

例えば、ある大手建設会社では育児の短時間勤務制度を3歳から6歳に延長。

また、ライフイベントに応じて休暇を取得できる制度を導入しています。

(参考情報:PR TIMES 建設業の働き方改革を推進。育児短時間勤務制度の取得可能期間を3歳から6歳までに延長。新制度「ファミリーサポート休暇」を導入開始。

こうした取り組みにより、子育て家庭でも安心して働ける環境が整いつつあります。

女性が仕事と家庭の両立を図りやすくなり、長期的なキャリア形成が可能になってきたと言えるでしょう。

労働時間の減少

建設業では、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されました。

具体的には、原則として月45時間、年360時間を上限とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間を超えないこととされています。

(参考情報:厚生労働省 建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制 (旧時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務

適切な労働時間管理が不可欠となったことで、多くの建設会社が業務の効率化や人員配置の見直しを行い、労働時間の削減に取り組んでいます。

よって、育児や介護とのバランスを取りやすくなってきています。

育児休業からの復帰率上昇も期待でき、女性が長く働き続けられる環境が整いつつあります。

建設業界における女性の現状と割合

「とはいえ、建設業は女性が少ないのでは?」と思われるかもしれません。

確かに女性の割合はまだ少ないですが、建設業界における女性の就業者数と比率は年々増加傾向にあります。

詳しく見ていきます。

女性就業者数の推移

画像出典:一般社団法人日本建設業連合会 建設業デジタルハンドブック



2012年には全体の13.9%だった女性就業者数が、2023年には全体の18.2%を占めています。

特に20代の若い世代を中心に、建設業界で活躍する女性が着実に増えています。

この背景には、建設業界の魅力が若い女性に認知されるようになったことや、企業側の受け入れ態勢の整備が進んだことがあります。

近年の建設業界におけるインターンシップの充実や、女性向けの職場見学会の開催など、建設業界に興味を持つ女性を増やす取り組みのおかげと言ってよいでしょう。

建設業界で女性が働くメリット

「でもわざわざ女性が建設業で働くメリットってあるの?」

このように思う方も多いのではないでしょうか。


女性が建設業界で働くことには、多くのメリットがあります。

  • 手に職をつけて安定したキャリアを築ける
  • 体を動かすことで健康的な生活を送れる
  • 成果が目に見える達成感を味わえる

特に、働く側の女性にとっての魅力的なポイントを3つ挙げて詳しく説明しますのでご覧ください。

手に職をつけて安定したキャリアを築ける

建設業界では、資格や技術を身につけることで長期的に安定したキャリアを築くことが可能です。

例えば、施工管理技士や配管技能士といった資格を取得することで、専門性が高まり、年齢や性別に関係なく活躍できる場が広がります。

建設業界は、技能や経験が評価される業界であるため、一度身につけたスキルは一生の財産になります。

特に女性の場合、育児や介護などで一時的に仕事を離れても、再び現場に復帰しやすい点も大きな魅力です。

体を動かすことで健康的な生活を送れる

建設業界の仕事は体を動かす機会が多いため、自然と健康的な生活習慣を維持できます。

デスクワーク中心の仕事とは異なり、日常的に体を使うことで運動不足を解消できるだけでなく、ストレス発散にもつながります。

活動量が多いため、食べても太りにくい体質作りや、メリハリのある体型の維持も期待できます。

建設業は体力と根気が必要ではありますが、自分のペースで無理なく働ける環境が整っている企業も増えてきています。

成果が目に見える達成感を味わえる

建設業界の仕事は、自分が携わった成果が形として残るため、大きな達成感を得られます。

例えば、自分が関わった建物やインフラを見るたびに「自分の仕事が社会に貢献している」と実感できるでしょう。

顧客から直接感謝の言葉をもらえる機会も多く、自分の仕事への誇りややりがいにつながります。

このような達成感は他の職種では味わえない魅力であり、女性にとっても大きなモチベーションとなります。

女性職人の悩み【建設業の課題と取り組み】

建設業界で女性が活躍する機会が増えている一方で、まだまだ課題も存在します。

そのため国土交通省では、女性の悩みを解消し、健全な環境で建設業に従事できるようにあらゆる取り組みを行っています。

  • 女性用設備の整備
  • 偏見の解消とハラスメント防止
  • 産休・育休制度の充実

主な課題と、その解決に向けた取り組みを見ていきましょう。

女性用設備の整備

多くの現場で女性用トイレや更衣室が不足しているのが現状です。

そのため、国土交通省は快適トイレの設置を推奨し、女性専用作業員施設設置経費助成などの支援を行っています。

具体的には、「快適トイレ」と呼ばれる水洗式で洋式の仮設トイレの設置が進められています。

快適トイレとは以下の設備が整ったトイレを指します。

  • 洋式便座
  • 水洗機能
  • 匂い逆流防止機能
  • 二重ロック
  • 照明設備
  • 衣類がけ等のフックまたは荷物置き場


正直、これまでの建設業のトイレは男性から見ても快適に使用できるとは言い難い設備でした。

快適トイレの設置により、「建設業のトイレは汚い」といったイメージも改善され、女性職人の増加が期待されます。

また、女性専用の更衣室やシャワールームの設置も徐々に増えています。

偏見の解消とハラスメント防止

男性中心の業界における女性への偏見やハラスメントを防ぐため、ハラスメント研修を実施する企業が増えています。

具体的な取り組みとしては、全社員を対象としたハラスメント防止研修の実施や、相談窓口の設置などが挙げられます。

ハラスメントに対する正しい認識を持つ社員が増えることで、作業員が業務に集中しやすくなり、女性や若手の活躍が期待できます。

また、女性社員のネットワーク構築を支援する取り組みも行われています。

産休・育休制度の充実

産休・育休に対する理解と制度整備が不十分な現状があります。

企業は復職支援や多様な働き方の導入を進め、国も「両立支援等助成金」などで支援しています。

具体的な取り組みとしては、育児休業の取得促進や、短時間勤務制度の導入などが挙げられます。

また、育児休業からの復帰支援プログラムを実施する企業も増えています。

女性に向いている建設業の職人6選!

建設業界には様々な職種がありますが、中でも女性の特性を活かせる職種があります。

  • 左官職人
  • 内装職人
  • 塗装工
  • 大工
  • 鉄筋工
  • 造園職人

本記事では上記6つを取り上げますので、建設業の職人になりたい女性はぜひ参考にしてみてください。

ただし、ここでは一般的な女性の特徴を踏まえて、向いてる職人をお話します。
必ずしもすべての女性に当てはまるわけではないことをご理解ください。

左官職人

漆喰やモルタルを壁に塗る左官職人は、繊細な技術とデザイン性が重視される職種です。女性の器用さと美的センスが活かせる仕事です。

左官工の仕事は、単に壁を塗るだけでなく、模様や質感を作り出す芸術的な側面もあります。

女性ならではの感性や色彩感覚を活かし、独創的な壁面を作り出すことができます。

また、最近では環境に配慮した自然素材を使用した左官技術も注目されており、女性の細やかな感性が活かされる場面が増えています。

内装職人

内装工は、デザイン性や使いやすさなど、女性ならではの視点が活かせる職種です。顧客のニーズを細やかに反映した空間づくりが可能です。

内装工の仕事には、壁紙の貼り付けや床材の施工、家具の設置など、様々な作業が含まれます。

女性ならではの感性や色彩感覚を活かし、居心地の良い空間を創造することができます。

また、最近では環境に配慮した内装材料の使用や、高齢者や障害者にも使いやすいユニバーサルデザインの導入など、社会のニーズに合わせた提案ができる点も女性の強みとなっています。

塗装工

塗装工は、色彩感覚や細やかな作業が求められる職種なので、女性特有の繊細さと美的センスが発揮できる仕事です。

塗装工の仕事には、建物の外壁や内装の塗装、家具や工芸品の塗装など、様々な対象があります。

女性は一般的に細かい作業を得意とする傾向があり、塗装の仕上がりの美しさにつながります

男性には無い、美的センスを持つことや丁寧な仕事ができる点も向いている1つの理由と言ってよいでしょう。

大工

女性の大工職人は、細やかな作業や丁寧な仕上げに長けていると評価されています。


木材を使った繊細な加工や、顧客の要望に沿った細部へのこだわりなど、女性ならではの感性と器用さが活かせる職種です。

大工の仕事には、住宅の建築や改修、家具の製作など、幅広い分野があります。女性ならではの視点で、使いやすさや美しさを兼ね備えた作品を作り出すことができます。

鉄筋工

鉄筋工は、建物の骨組みを作る重要な役割を担っており、正確さと細やかさが求められる職種です。

女性の持つ繊細さと集中力が、精密な鉄筋の組み立てや配置に適していると言えます。

鉄筋工の仕事には、図面を読み取り、正確に鉄筋を切断・加工し、組み立てる作業などがあります。

女性ならではの細やかな作業能力や注意力を活かせれば、高品質な鉄筋の組み立てができます。

また、チームワークを重視する現場では、女性のコミュニケーション能力も大きな強みになります。

他の職種との連携や、作業の進捗管理において、女性ならではの調整力を発揮することができます。

さらに、最近では3Dモデリングソフトを使用した鉄筋の配筋設計など、IT技術を活用した業務も増えています。

こうした新しい技術への適応力も、女性の強みとなる可能性があります。

造園職人

造園の仕事では、繊細な作業が求められる場面が多くあります。

例えば、植物の剪定や移植、石の配置など、一つ一つの作業に丁寧さが求められます。

女性は一般的に手先が器用で、細部にまで気を配ることに長けているため、造園作業において能力を十分に発揮できます。

細やかな作業を通じて、植物の美しさを最大限に引き出し、人工と自然の調和を図れるでしょう。

また、造園は単なる作業ではなく、美的センスが問われるクリエイティブな仕事でもあります。

女性は、色彩感覚や空間認識能力に優れていることが多く、庭全体のデザインや植物の配置において、その感性を活かせる可能性があります。

例えば、季節ごとの花の色合いを考慮したり、庭の奥行きを強調するような植物の配置を考えたりすることで、より魅力的な庭を作り出せます。

造園職人の詳しい仕事内容は下記の記事でも解説しています。造園職人になる方法や資格、年収までわかるので興味のある方はぜひご覧ください。

まとめ:女性も建設業の職人として十分に活躍できる!興味があるなら今すぐチャレンジしてみよう!

建設業界における女性の活躍は着実に広がっており、その割合は増加傾向にあります。

女性の参入は労働力の確保だけでなく、女性ならではの感性やコミュニケーション能力などにより、建設業界に新たな価値をもたらす可能性があります。

一方で、女性用設備の整備や偏見の解消、産休・育休制度の充実など、まだ課題も残されています。しかし、これらの課題解決に向けた取り組みも着実に進んでいます。

建設業界で活躍したいとお考えの女性は、ぜひチャレンジしてみてください。

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氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期か ら植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。 公園の設備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植 栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 ダーチー

工場に勤務しながらWebライターをしているダーチーと申します。これまで、建設業や製造業、物流業、飲食店のアルバイトまで経験しました。