造園工とは？仕事内容から資格取得まで徹底解説

造園工とは

造園工は、庭園や公園などの緑地空間を設計・施工・管理する専門家です。
自然と人工の調和、美しい景観の創出など、重要な役割を担っています。

技術と芸術性を兼ね備えた職業として活躍している造園工の概要を見ていきます。

造園工の主な仕事内容

造園工の仕事は下記の流れに沿って行われます。

【設計と計画】

• 造園の注文を受けた後、注文者の要望に基づいて図面を作成
• 土地の測量や地割（じわり）を行い、施工計画を作成
• 公共工事の場合、設計は役所や設計会社が行うこともある

【地盤整備と工事】

• 人力やブルドーザーなどの建設機械を使用して、地盤を整備（切土、盛土、除草、客土など）
• 給水・排水や照明灯のための地下配管やケーブル線を敷設（これは専門の業者に委託されることが多い）

【園路と景観作り】

• 園路の位置を決め、滝、流れ、池を作るために土を掘り下げたり築山（つきやま）を造る
• 樹木の植栽に適した時期を考慮して、工期・工程を計画
• 石を敷いたり組んだりした後、樹木を植える

【工作物と植栽】

• 植栽と同時に、竹垣や東屋（あずまや）などの工作物の工事を行う
• 芝や下草、草花の植え込みをし、整地、清掃などの仕上げを行う

【メンテナンス】

• 定期的に樹木の剪定、刈込、芝の手入れ、病虫害の防除、施肥、土壌改良などを行う

造園工は設計や施工だけでなく、完成した庭や緑地をよい状態に保つメンテナンス作業まで行います。

近年、造園工の仕事は、新規の庭園作りよりも維持管理の仕事が多くなっています。

すべての造園工が、設計・施工・維持管理まで行うというよりは、それぞれの専門職に分かれて業務を担当します。

作業範囲は、個人宅の庭から公園、企業のオフィス外縁、街路樹など、多岐にわたります。

必要なスキルと資質

造園工は、外で体を動かす仕事が多く、体力と技術が求められます。自然と人々の生活環境を美しく保つために、多様なスキルと努力が必要な職業です。

具体的には下記のスキルや資質が求められます。

• 植物や自然に関する深い知識
• デザインセンスと空間把握能力
• 体力と忍耐力
• コミュニケーション能力

さまざまな植物の特性や生育条件を理解することで、適切な植栽と維持管理が可能になります。

例えば、樹木の種類や草花の季節ごとの変化を知ることで、最適な植え込み計画を立てられます。

美しい庭園や公園を作るためには、空間をイメージし、水、樹木などを効果的に配置する能力が求められます。

造園工の仕事は外で体を動かすことが多く、重労働が伴います。例えば、土を掘ったり、重い石を運んだりする作業など、体力と忍耐力が不可欠です。

また、造園工は肉体労働だけではありません。注文者や他の職人と連携して作業を行うことが多いため、コミュニケーション能力が重要です。

造園工の魅力

庭園や公園、緑地を創造するため、植物や自然環境と触れ合う機会が多く、自然愛好者や外で身体を動かすのが好きな人には特に魅力的と言えます。

また、美しい庭園や公園を想像することで、お客さんや住民から感謝され、地域社会の環境作りにも大きく貢献できます。

環境保護や防災対策にも役立つ技術を取り入れることで、持続可能な社会の実現にも寄与できる点も魅力です。

造園工のきついところ

造園工の仕事は、天候に大きく影響を受けます。雨天や極端な高温・低温の日には、作業が難しくなることがあります。

例えば、雨天で地盤が軟弱になると、重機械の作業が危険になる場合があります。

春と秋は植栽や剪定の仕事が多く、冬は雪かきや除雪、夏は灌漑や病虫害防除の仕事が増えるため、柔軟に対応する必要があります。

造園工の仕事は重い石を運んだり、土を掘ったりする作業が必要となるため、体力と忍耐力が求められるでしょう。

造園工になるためのステップ

「どうすれば造園工になれるの？」

造園工になるには、造園工事を行っている会社に就職すればOKです。

ここで詳しくお伝えするので、参考にしてみてください。

造園工事会社に就職

まずは、造園施工会社に就職するのが良いでしょう。造園工の仕事は、専門的な知識と技術が必要ですが、未経験からでも始められるからです。

就職後、実際に仕事をしながら知識と技術を習得します。実践的な経験を積むことで、効率的にスキルを磨くことができます。

先輩の指導を受けることで、実践的な技術を効率的に学べるのもメリット。

経験豊富な先輩から直接教えを受けることは、技術の習得に非常に役立つので、わからないことは積極的に質問すると良いでしょう。

資格を取得する

造園施工会社で働きながら、資格取得を目指しましょう。

特に、造園施工管理技士などの重要な資格を取得することで、キャリアアップが期待できます。

造園施工管理技士などの資格を取得すると、より重要な現場を任される機会が増えます。また、施工管理職に就くことも可能になります。

資格を取得することで、技術と経験が認められるので年収アップも期待できます。

積極的に資格を取得し、企業からの評価を上げていきましょう。

造園工の資格

ここからは、造園工の専門性を証明できる各種資格をご紹介します。

資格取得により、仕事の幅が広がり収入アップも期待できるので、ぜひ参考にしてみてください。

造園施工管理技士

造園施工管理技士は、公園や庭園、緑地などの設計や植栽に関わる国家資格のひとつ。設計や施工管理の道に進むなら必須の資格です。

具体的には、造園施工管理技士を取得することで下記の知識を習得できます。

• 造園計画の策定
• 施工管理と品質管理
• 植栽計画と植物の管理

造園施工管理技士は、大規模な造園工事の現場管理に必須の資格でもあります。

資格を取得できれば、公園工事、広場工事、道路緑化工事、墓園や住宅団地、各種施設の造園工事など、幅広い工事現場で活躍できます。

また、造園施工管理技士には2級と1級があり、それぞれ受験資格や難易度が異なります。

詳しくは下記の記事で解説しているので、気になる方は合わせてご覧ください。

造園施工管理技士の受験資格や実務経験とは｜最短で資格取得する方法

造園技能士

造園技能士は、庭に関する知識と技能を検定する国家資格です。庭木や緑地部分など、造園工事の手入れをメインで行う場合は造園技能士を取得すると良いでしょう。

具体的には、庭園や公園の設計・施工、植栽計画、樹木管理、石組みや水景施設の設置、外構工事、環境保全など、幅広い業務を担うことができます。

一般家庭の庭づくりや維持管理だけでなく、大規模な公共工事でも必要とされる技能なので、資格取得の優先度は高いと言えます。

試験は実技と学科の両方で行われ、実際の作業能力と知識を評価します。

なお、造園技能士については下記の記事でも詳しく解説しています。難易度や取得方法、将来性まで分かりますのでぜひご覧ください。

造園技能士とは？仕事内容や資格概要を解説【独学も可能】

街路樹剪定士

街路樹剪定士は、街路樹の手入れを行うための資格です。主に街路樹の健康と美観を守り育てることを目的としています。

具体的には、下記のスキルが身につきます。

• 樹木の生理・生態
• 街路樹に関する基本事項
• 選定技術
• 害虫防除
• 基盤整備
• 安全衛生監理

街路樹の剪定や維持管理には、高い専門知識技能が求められますので、現場で活躍できる職人を目指すのであれば、街路樹剪定士を取得するメリットは高いでしょう。

樹木医

樹木医は、樹木に関する深い知識と技術を持つ専門家です。樹木の健康を守り、病気になった樹木を治療する重要な役割を担っています。

樹木医の主な仕事は、街路樹や公園の樹木の病気を診断し、治療を行うこと。樹木が健康を維持するために、病気や虫害、環境汚染に対する対策を講じます。

樹勢回復、樹木の保護管理に係る専門家になりたい方は取得しておきたい資格です。

なお、樹木医の受験資格や難易度、勉強方法などは下記の記事で詳しく解説しています。興味のある方はぜひご覧ください。

樹木医の難易度と受験資格！合格率と勉強方法を知り試験対策しよう！

造園工の年収と待遇

造園工の年収は、経験や取得した資格、勤務先によって大きく異なります。

ここでは、一般的な年収の目安とキャリアアップの可能性について説明します。

年収の目安

厚生労働省jobtagによると、造園工の年収は374.4万円です。

40代後半が年収のピークで、約450万円ほどになることが多いです50代からは徐々に下がっていく傾向にあります。

日本人の平均年収（約461万円）と比べると、造園工の年収はやや低いですが、複数の資格を取得することでさらに高年収を目指すことが可能です。

（参考サイト　厚生労働省jobtag）

キャリアアップの可能性

経験を積むことで、設計部門や管理職への昇進が期待できます。

例えば、造園施工管理技士の資格を取得することで、現場の監督や管理者として働くことができます。

技術力と経験を積んだ後、独立して自身の造園会社を設立することも可能です。

また、専門知識を活かしコンサルタントや講師としての活動もできるでしょう。

特に、造園施工管理技士や街路樹剪定士、樹木医などの資格を持つと、専門的なアドバイスを提供する機会が増えます。

まとめ：造園工は自然と人工の調和を図る重要な職業

造園工は、庭園や公園などの緑地空間を設計・施工・管理する専門家で、自然と人工の調和を図る重要な役割を担っています。

仕事内容は設計・計画から地盤整備、園路と景観作り、植栽、メンテナンスまで多岐にわたり、植物や自然に関する深い知識、デザインセンス、体力、コミュニケーション能力が求められます。

造園工になるには造園施工会社に就職し、経験を積みながら資格取得を目指すことが一般的。造園施工管理技士や造園技能士などの資格を取得することでキャリアアップや収入アップが期待できます。

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