女性で造園業に就職したり転職したりしたい人も多いのではないでしょうか。

しかし、造園業は体力的な問題で男性の方が活躍しやすいと思う人も多いかもしれません。

ですが、実際は女性でも問題なく働ける業界になりつつあるので、今から就職や転職を目指すのは十分アリです。

造園業の業務の中にはデジタル化が実現できるものも多いため、十分活躍できると言えます。

それでは、造園業で女性が働くのは厳しいのか、リアルな状況についてご説明しましょう。




目次

体力が必要な造園業。女性が現場で働くために意識したいポイント

女性が造園業の現場で働くために意識したいポイントは、以下の通りです。

  • 造園業のきついと言われる仕事内容
  • 女性が男性と同じように働けるのか
  • 体力仕事の女性のためのリカバリー方法
  • 造園業では監理技術者になれば楽になる?
  • 造園業もデジタル化が可能に?どんな業務がデジタル化できる?

それでは、女性が造園業の現場で働くために意識したいポイントについてご説明しましょう。

造園業のきついと言われる仕事内容

造園業は単に庭の手入れをする仕事ではなく、設計から施工、維持管理まで幅広い業務があります。

庭園や公園のデザインを考えて施工を行い、完成後は定期的なメンテナンスを行うことで美しい景観を保たなければなりません。

作業内容によっては重労働になることもあるだけでなく、現場作業では体力的な負担が大きくなります。

たとえば、施工の段階で植木を運ぶ作業や土木工事が含まれます。

樹木や石材、土などの資材を運搬する必要がありますし、ときには一袋20~30kgほどの土を運ぶこともあります。

これを何度も繰り返すことでかなりの体力を消耗するため、力の弱い人ほど厳しいと感じる場面も出てくるでしょう。

また、造園業はほとんどの作業が屋外で行われるため、季節や天候の影響を受けやすいのも大変なポイントです。夏場は強い日差しの下で作業をするため、熱中症のリスクが高くなりますし、冬場は寒さと戦いながらの作業になります。さらに、雨の日でも業務が続くことがあるため、暑さ・寒さに適応する力や体調管理が求められます。

ほかにも、剪定やメンテナンス作業では、長時間中腰やしゃがんだ状態を維持することが多いため、腰や膝に負担がかかります。特に剪定作業は、細かい調整が求められるため、長時間の作業によって手や腕の疲労が蓄積しやすくなります。高い木を剪定する場合には、高所作業車や脚立を使用するため、高所での作業に慣れていない人は不安を感じることもあるでしょう。

女性が男性と同じように働けるのか

「造園業は男性向きの仕事」というイメージがありますが、実際には女性が得意とする業務も多く、工夫次第で活躍できる場面はたくさんあります。

たとえば、庭や公園のデザインやプランニングの分野では色彩感覚や細やかな視点が求められますし、植栽の配置を考えたり、四季折々の風景を意識したデザインを作成したりする作業は女性ならではの感性を活かすことができるでしょう。

また、剪定やメンテナンスの仕事も繊細な作業が求められるため、女性が得意とする分野の一つです。

植物の健康を維持しながら樹形を整えたり、害虫や病気の予防を行ったりする作業には細かい気配りが必要です。

さらに、庭の管理や植物の成長を見守る仕事は女性にとってやりがいのある仕事だと言えるでしょう。

ただし、重労働を伴う作業は男性と同じ方法で取り組むと身体に負担がかかりすぎることもあります。

したがって、機械を活用したり作業をチームで分担したり、重いものを持つときの身体の使い方を工夫するなどの対策を取ることが重要です。

体力仕事の女性のためのリカバリー方法

造園業を長く続けるには日々の身体のケアが欠かせないので、筋力をつけることが大切です。

特に腕や脚、腰回りの筋肉を強化することで作業時の負担が軽減できるため、ジムに通ったり、ヨガやストレッチを取り入れたりして適度に身体を鍛える習慣をつけるのがおすすめです。

また、食事の面でも工夫が必要です。

タンパク質や鉄分をしっかり摂取することで筋肉の回復を助け、疲れにくい身体を作ることができます。

特に忙しい現場だと食事を適当に済ませてしまいがちですが、バランスの取れた食事を心がけることで、日々の体調を整えることができます。

さらに、作業後のリカバリーも重要です。

湯船にしっかり浸かって筋肉をほぐしたり、ストレッチをして身体のこわばりを解消したりすることで、翌日の疲労を軽減できます。

特に適切な睡眠を取ることも体力回復には欠かせないので意識しましょう。

造園業では監理技術者になれば楽になる?

造園業で長く働きたい場合、1級か2級の造園施工管理技士の資格を取得することで、施工管理の仕事にシフトすることができます。

施工管理者として働く場合、現場での肉体労働から作業工程の管理や安全管理、品質管理といった業務に移行することができるのがポイントです。

監理技術者になると現場作業よりも計画や指導が中心となるため、体力的な負担を減らしながら長く働くことができるでしょう。

もちろんその分の責任を負うことになるので、常に気を張って働くことになります。

造園業もデジタル化が可能に?どんな業務がデジタル化できる?

造園業は伝統的な職人技が重要な業界ですが、近年ではデジタル技術の導入が進んでいることから作業の効率化が図られているのがポイントです。

これまで体力勝負の側面が強かった現場作業も、デジタルツールを活用することで負担が軽減されて性別を問わず働きやすい環境が整いつつあります。

特に女性は力仕事の負担を減らし、より専門的なスキルを活かすチャンスが広がるという大きなメリットがあります。

デジタル化できる業務は、以下の通りです。

  • 設計・プランニング業務
  • ドローンを活用した現場調査
  • 植栽管理アプリの導入
  • 設計業務や植栽管理のデータ分析
  • 顧客との打ち合わせ

実際に造園業で働いてる女性はどれくらいいるの?

国や地域によって異なりますが、日本国内のデータを見ると造園業に従事する女性の割合は全体の5~10%程度とされています。

これは建設業界全体の女性比率とほぼ同じ水準であり、決して多いとは言えません。

しかし、20~30年前と比べると確実に増加傾向にあるうえ、都市部では女性の造園技術者が増えているという報告もあります。

また、造園業の中でも設計・デザイン、管理・メンテナンス、都市緑化プロジェクトなど、肉体的な負担が比較的少ない分野では、より女性の活躍が目立つようになってきています。

女性が造園業に向いている理由

女性が造園業に向いている理由は、以下の通りです。

① 造園業の認知度向上と働き方の多様

かつては庭師=力仕事という印象が強く、女性が就職先として選ぶことが少なかった業界でした。

しかし、近年では都市緑化や環境保全の重要性が高まり、造園業が社会にとって不可欠な仕事であることが広く認識されるようになりました。

それに伴い、「力仕事だけではない」という理解も広まり、女性が関わりやすい分野として注目されるようになっています。

また、昔は親方の下で長年修行を積むというスタイルが主流でしたが、現在では専門学校や大学で造園を学び、資格を取得して就職するケースが増えています。

このように、造園業への入り口が多様化したことも女性の進出を後押しする要因となっています。

② デジタル技術の導入で、肉体的負担が軽減

造園業では、これまで現場作業の多くが手作業に頼っていました。

しかし、最近では機械化が進み、体力に頼らず作業を行える環境が整いつつあります。

たとえば、植栽管理アプリやCADを活用した設計業務、ドローンを使った現場調査など、デジタル技術を駆使することで女性も活躍しやすくなっています。

また、電動工具の普及により、従来よりも少ない力で剪定や掘削作業を行うことができるようになりました。

これにより、「力仕事が大変だから…」と敬遠していた女性も造園業にチャレンジしやすくなっているのが大きなポイントです。

③ ライフスタイルに合わせた働き方が可能に

造園業は個人のスキルを活かしやすい職業でもあります。

独立してフリーランスとして働く女性や、小規模なガーデニングデザイン会社を立ち上げる人も増えています。

また、庭園デザインや都市緑化の分野では在宅ワークやフレックスタイムを導入する企業もあり、ライフスタイルに合わせた働き方ができる環境が広がっています。

向いている女性の特徴

造園業は体力仕事のイメージが強いので、「女性でもできるの?」と疑問を持つ人も多いかもしれません。

しかし、実際にはさまざまな業務があるため、体力だけでなく観察力やデザインセンス、コミュニケーション能力などが求められる場面も多いのが特徴です。

造園業に向いている特徴は、以下の通りです。

① 自然や植物が好きな人

造園業は庭や公園、緑地などの自然環境を扱う仕事なので、植物の成長を間近で見守りながら美しい景観を作り出すことが求められます。

したがって、もともと植物が好きな人やガーデニングや家庭菜園を楽しんでいる人にはぴったりの仕事だと言えるでしょう。

また、植物にはそれぞれの特性があるので、適した土壌や水やりの頻度、日当たりの条件などを考えながら管理する必要があります。

そうした知識を学ぶことに興味がある人であれば、仕事をしながらスキルを磨いてどんどん成長していけるでしょう。

② 身体を動かすのが好きな人

造園業には植栽や剪定、石組み作業など、実際に手を動かす仕事が多いので、デスクワークよりも身体を動かして働くことが好きな人には向いているでしょう。

もちろん力仕事が多いですが、最近では電動工具や機械の活用が進んで身体への負担を減らす工夫もされています。

また、作業を効率よく進める技術を身につければ、体力だけでなく知識や経験で仕事をこなすことも可能です。

「運動は苦手だけど、外で働くのが好き」という人も、無理のない範囲で関われる仕事があるので自分に合ったポジションを見つけやすいのがポイントです。

③ 細かい作業やデザインが得意な人

造園業には庭園や公園を美しく整えるデザインセンスが求められる場面が多くあります。

植栽の配置や色の組み合わせ、石や木のバランスなどを考えながら作業をするため、細かい作業が得意な人やデザインセンスを活かしたい人に適した仕事です。

特に住宅の庭や商業施設のエントランス部分など、見た目の美しさが重視される場面では女性ならではの繊細な感覚が活かされることが多いです。

実際に庭園デザイナーやランドスケーププランナーとして活躍している女性も増えています。

④ コツコツと努力を続けられる人

造園業は短期間で成果が見える仕事ではありません。

植物は時間をかけて成長するため、完成までに何年もかかるプロジェクトもあるので、一つ一つの作業を丁寧に積み重ね、長い目で見て成果を楽しめる人に向いています。

また、剪定や植栽の技術は一朝一夕で身につくものではなく、経験を積みながら習得していく必要があるため、学ぶ意欲があり、地道に努力を続けられる人ほど成長しやすい業界です。

「時間をかけてじっくり取り組むのが好き」「手間を惜しまずに作業できる」といったタイプの人なら、やりがいを感じながら働くことができるでしょう。

⑤ 人と話すのが好きな人、コミュニケーションが得意な人

造園業は現場作業だけでなく、お客様との打ち合わせやスタッフ同士の連携も重要な仕事です。

特に庭づくりや都市緑化のプロジェクトでは、依頼主の希望をしっかりヒアリングし、それを形にすることが求められます。

したがって、人と話すことが好きな人や相手の意見をくみ取るのが得意な人は、造園業で大いに活躍できるでしょう。

また、女性ならではの視点で「このスペースにはどんな植物が合うか」「どんなデザインが生活しやすいか」といったアドバイスをすることで、顧客満足度を高めることができます。

個人の住宅庭園や商業施設の造園では細やかな気配りが求められるため、女性の活躍が期待される分野です。

⑥ 新しいことを学ぶのが好きな人

造園業では植物の種類や育成方法、剪定技術、さらには土壌管理やデザイン理論など、幅広い知識が必要です。

また、最近ではCADを使った設計やドローンを活用した現場調査など、新しい技術もどんどん導入されています。

このことから、新しいことを学ぶのが好きな人や好奇心旺盛な人にとっては、とても面白い業界と言えるでしょう。

「植物のことをもっと知りたい」「最新の技術を使って造園業をやってみたい」と考える人にはぴったりの仕事です。

まとめ

結論から言えば、造園業は女性が活躍できる分野です。

もちろん体力づくりや長く働くための工夫などは必要ですが、それでも男性に負けないくらい役立つ人材として働くことはできます。

これを機に造園業への就職や転職を検討している人は、是非ともガーデンジョブを利用してみてはいかがでしょうか。

ガーデンジョブ




氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期か ら植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。 公園の設備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植 栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 中里 涼子

ライター歴8年以上の中里 涼子です。 引っ越しや不動産投資、美容、医療、クレジットカード、ビジネス、ペット、株式投資、食品、健康、占い、住宅、宝くじ、防犯、リフォーム・リノベーション、ダイエットなどの多種多様なジャンルの記事を執筆しております。