よく「造園業はやめておけ」と言われていますが、やめとけと言われる理由は数多くあります。

年収や作業環境や天候などさまざまな理由がありますが、そもそも造園業に向いてない人と向いている人には多くの特徴があります。

造園業でもしっかりとやりがいを持って働いている人は数多いですし、何より将来性が明かるいので今からぞ円業に就職したり転職したりするのも遅くありません。

それでは、造園業はやめとけと言われている理由、造園業に向いていない人と向いている人の特徴、造園業のやりがい、将来性の明るさ、造園業への転職で失敗しないポイントについてご説明しましょう。




目次

「造園業はやめとけ」と言われる7つの理由

「造園業はやめとけ」と言われる理由は、以下の通りです。

  • 年収が決して良くないから
  • 作業場所が危険な場合があるから
  • 労働環境が厳しい
  • 天候に左右されやすいから
  • 花粉や虫に悩まされることが多い
  • 技術の習得に時間がかかり、キャリアアップが遅い
  • 競争が激しく、経営が難しい

それでは、「造園業はやめとけ」と言われる7つの理由についてご説明しましょう。

年収が決して良くないから

結論から言えば、造園業の平均年収はそこまで高いとは言えません。

厚生労働省によると、造園業の平均年収は約360万円程度とされてます。

労働者全体の平均年収が約458万円程度と考えると、造園業の平均年収は低いと言わざると得ません。

ちなみにこの平均年収は若手はもちろんベテランの年収も含まれているため、それを踏まえるとかなり低いです。

いくらやりがいを持って働いたり楽しく働いたりできるといっても平均年収が低いとモチベーションが維持しにくいので、造園業はやめておけと言われるのでしょう。

作業場所が危険な場合があるから

基本的に造園業は庭の草木の剪定などを行いますが、数十メートル以上の高さの高所作業を行うこともあります。

脚立を使って高所に上がり、クライアントの要望に応じて伸びた木の枝などをカットするひつようせいがあるでしょう。

ただ、慣れたベテランの人ならまだしも、まだ高所作業に慣れていない人の場合はバランスを崩してしまうと大怪我をする危険性があります。

それだけでなく、送電線近くの木々の剪定を行うこともあるので、万が一送電線に触れてしまうと感電してしまう危険性があるでしょう。

こういった危険と隣り合わせの職業なので、危険だからやめておけと言われるケースが多いようです。

労働環境が厳しい

次に造園業は労働環境が厳しいことでも知られています。

というのも、造園業は基本的に屋外で作業をするため、天候の影響を強く受けます。

たとえば夏場なら日差しが強く照り付ける炎天下の中で作業しなければなりませんし、冬場は手がかじかむほどの極寒の中で作業しなければなりません。

下手をすれば熱中症になる可能性もあれば、極寒の中で手が寒さで言うことを効かなくて作業にならないこともあるでしょう。

天候に左右されやすいから

造園業の仕事は屋外で行うことが多い以上、天候に左右されやすいです。

問題なのは雨の中で作業ができない点です。

雨の日は作業ができないので、雨が降ってきたら作業が中止になります。

そればかりか仕事がキャンセルになったり延期になったり、梅雨の時期はほとんど作業できません。

特に冬の季節は植物そのものが成長しにくいので、仕事が少なくなるでしょう。

こうなると季節や天候によって仕事量も大きく左右されることから、年収が増減しやすいのもやめておけと言われる理由です。

花粉や虫に悩まされることが多い

造園業は屋外で草木や花を扱う仕事なので、花粉や虫に悩まされることが多いのも理由です。

虫が苦手な人はそれだけで作業が滞ることがありますし、だからといって作業を止めることもできません。

また、杉の木などをはじめとする木を扱うときは花粉にも気を付けなければなりません。

花粉症の人はまったく作業ができなくなる可能性が高いだけでなく、造園業に就職・転職したのをきっかけに花粉症になることもあります。

技術の習得に時間がかかり、キャリアアップが遅い

造園業は総じて高度な技術や知識を習得する必要性があります。

その量はあまりにも多く、習得に時間がかかるのでキャリアアップするのも遅くなります。

植物の選定や技術、育成、剪定、土木作業やデザインなどをはじめとするさまざまな技術や知識を学ばなければならず、一朝一夕で身に付くものではないので実践経験が必要不可欠です。

樹種ごとの特性はもちろん美観と健康のバランス、季節の変化に応じた技術習得も必要です。

さらに最新の設計ソフトウェアを難なく扱えるようになること、新種の植物の勉強も必要になるなど、とにかく学ぶことばかりで多忙を極めるでしょう。

もちろんその間も働くことになりますが、若いうちや経験を積んでないうちは軽い作業しか任されてもらえないので給与も安めになります。

これらの苦労を経てキャリアアップを目指していきますが、若者が参入しにくいうえに途中であきらめて退職するケースもあります。

これらが造園業はやめておけと言われる理由です。

競争が激しく、経営が難しい

意外にも造園業界は非常に競争が激しいため、軌道に乗るまではもちろん順調に経営していたとしても一切油断ができないのがやめておけと言われる理由です。

造園業界は作業に必要な道具と知識や技術があれば参入できるので、比較的手軽に造園業として開業するケースが多いです。

ただし、比較的参入しやすいがゆえに個人事業主や小規模の中小企業などが次々と造園業に手を出してくるため、自然と他社との競争が激化します。

競合他社との競争がガキ化すると市場が分散されてしまい、総じて1社あたりの仕事量も減っていくでしょう。

また、造園業は天候や季節などの要因によって仕事量が大きく変動するため、冬場を中心に急に仕事量が減少する可能性も高いです。

加えて公共事業への依存度が高いことから、非常に激しい価格競争に勝たないと仕事すら確保できません。

仕事を確保するために採算を度外視した低価格入札を行う必要性があるため、総利益が大きく下がる可能性もあります。

その他にも大手企業が造園業に参入するだけで仕事が奪われる可能性が高いですし、顧客のニーズの多様化、人材確保の難しさなど、さまざまな観点から造園業に参入するのは非常に厳しい壁が多いと言えるでしょう。

造園業に向いていない人の特徴

造園業に向いていない人の特徴は、以下の通りです。

  • 植物に関心がない人
  • デザインに対するセンスがない人
  • 室内での仕事を希望する人

それでは、造園業に向いていない人の特徴についてご説明しましょう。

植物に関心がない人

そもそも造園業は植物と密接に関わる職業なので、植物に関する興味がない人は造園業に向いていません。

クライアントが求める依頼内容に対応するためには植物に対する興味や知識、新種の植物に対する理解などが必要なので、関心がないと長続きしない上にベストな作業を突き詰めることも難しくなります。

デザインに対するセンスがない人

造園業の業務を平たくいうと庭づくりなので、個人宅や大型施設、神社仏閣などをはじめとする公共事業のさまざまな場所を担当していきます。

さまざまなクライアントの要望に応えるには、クライアントが満足できるようにするためのデザインセンスが必要不可欠です。

デザインセンスに自信がない人には向いていないでしょう。

室内での仕事を希望する人

造園業は基本的に屋外の作業となるので、室内での仕事を希望する人には向いていません。

屋外での作業ともなると熱中症になるレベルの炎天下であっても、冬場の極寒で手がかじかんで作業にならないようなときでも関係なく作業しなければなりません。

こんな過酷な環境下で働きたくないという人はやめた方が良いでしょう。

やめとけと言われる造園業に向いている人の特徴

やめとけと言われる造園業に向いている人の特徴は、以下の通りです。

  • 植物に興味がある人
  • 体力に自信がある人
  • コミュニケーション能力に長けている人
  • デザインに興味がある人

それでは、やめとけと言われる造園業に向いている人の特徴についてご説明しましょう。

植物に興味がある人

植物に対して非常に大きな興味を持っている人ほど造園業が向いていると言えるでしょう。

常に植物に触れあえる労働環境なので、クライアントの要望通りに庭作りができることから非常に楽しく働くことができます。

さまざまな植物に対してどんな剪定をすればいいのか、どんな植物を組み合わせればいいのかなど、植物に関する興味があるからこそ長く続けられる職業でもあります。

体力に自信がある人

造園業は基本的に屋外で作業するので、長時間立ちっぱなしでも長時間中腰で作業しても高い質を維持できるほどの体力に自信がある人に向いています。

体力に自信がないとクライアントが定める納期に間に合わせることが難しくなりますが、体力がある人であれば作業に集中できるうえに高い質が維持できるでしょう。

コミュニケーション能力に長けている人

造園業は基本的にクライアントとのヒアリングを通し、その内容に応じた庭づくりを行う必要性があります。

したがって、クライアントと問題なくやり取りができる高いコミュニケーション能力が求められます。

コミュニケーション能力がないと、クライアントが何を求めているのか分からないまま作業することになりかねません。

コミュニケーション能力に長けている人であれば、ヒアリング中にクライアントに質問や提案をしながら最上の庭づくりを突き詰めることができますし、相手が何を望んでいるのか引き出すこともできます。

希望に沿った庭づくりをするためにも、優れたコミュニケーション能力がある人におすすめです。

デザインに興味がある人

造園業は単なる草木の剪定や庭のお手入れを行うものではなく、庭園のデザインなどを考えていくのも仕事の一つです。

庭園全体のバランスを考えつつ、クライアントの要望に応えられるようなデザインセンスは必要不可欠です。

やめとけと言われる造園業のやりがい

やめとけと言われる造園業のやりがいは、以下の通りです。

  • 自然との触れ合いと癒し
  • 資格取得で仕事の幅が広がる
  • 植物の知識とスキルの習得
  • 独立をするとマイペースに働ける
  • 長きに渡って働ける

それでは、やめとけと言われる造園業のやりがいについてご説明しましょう。

自然との触れ合いと癒し

造園業は草木や庭づくりなど植物や花などに触れながら作業するため、自然との触れ合えること、そして自然に囲まれることによる癒しが感じられるのがやりがいになります。

季節の変化に応じて植物や花が見せる景色は非常に大きく違うので、四季折々の変化が間近で感じられるでしょう。

自然と触れ合うことは心身のリフレッシュにもつながりますし、自然と一体化しているような気分になって精神的な癒しも感じられます。

労働環境は確かに過酷かもしれませんが、自然と触れ合うことで日常の中で溜まったストレスを軽減させ、疲れを癒してくれる環境に身を置けるのが造園業ならではの大きなポイントです。

資格取得で仕事の幅が広がる

造園業で働くにあたって仕事の幅を広げたい、収入を上げたいという人は資格の取得が必要不可欠です。

造園技能士や造園施工管理技士、樹木医といったさまざまな資格がありますが、その中でも造園技能士と造園施工管理技士は国家資格です。

国家資格を取得しているということは、植物や花などをはじめとする造園に関する優れた知識や技術を持っていることの証明になります。

資格を取得することで信頼される職人として認められるため、仕事の幅が広げられるでしょう。

植物の知識とスキルの習得

造園業は常に植物と密接にかかわっていく仕事なので、自然と植物や造園に関するスキルが習得できます。

植物と関わり続けるうちに植物の魅力に気づき、自分の趣味になる可能性もあるでしょう。

また、植物や造園に関するスキルが身に付くことで、今以上に植物の扱い方や育て方などが分かるようになります。

独立をするとマイペースに働ける

基本的に造園業として働く場合、会社に就職・転職して働くことになります。

しかし、造園業として知識や技術、経験を積んだ後に独立して活動することもできます。

独立した場合、自分自身で請け負う依頼と断る依頼を分けることができるのでマイペースに働けるのがポイントです。

将来的に自分のペースで働きたいという人にはおすすめです。

長きに渡って働ける

造園業として長く働けるというよりも、造園業で働いたときに身に付いた知識やスキル、技術や経験は他の職業でも活かすことができます。

代表的な職業としてあげられるのは植木屋ですが、今まで培った経験やスキルを活かすことで長きに渡って働けるのは大きなポイントです。

造園業の将来性が明るいと言える理由

造園業の将来性が明るいと言える理由は、以下の通りです。

  • 公共事業における造園作業はなくならない
  • 定期的に依頼をしてくる取引先も少なくない

それでは、造園業の将来性が明るいと言える理由についてご説明しましょう。

公共事業における造園作業はなくならない

公共事業において造園作業がなくなることはないと断言できるでしょう。

公共事業は街の美観を保つ義務があるため、造園作業によって公園や道路、歩道といった場所の植木の剪定などを行う必要性があります。

植物が街から消えることは内ので、造園業の将来性は安定していると言えます。

定期的に依頼をしてくる取引先も少なくない

造園業者の将来性が明るいと言えるのは、行政機関以外にも定期的に依頼してくれる取引先も少なくないからです。

寺院や病院や料亭、ホテルやテーマパーク、動物園など、植物の植栽や剪定作業を必要とする取引先は数多いです。

場合によっては植栽や剪定作業を行う頻度が高いこともあるため、仕事が気に入られれば継続して依頼してくれることも少なくありません。

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造園業への転職で失敗しないための3つのポイント

造園業への転職で失敗しないための3つのポイント

  • 業界の特徴を理解しておく
  • 造園業に向く人と向かない人を把握しておく
  • 会社選びで失敗しないようにする

それでは、造園業への転職で失敗しないための3つのポイントについてご説明しましょう。

業界の特徴を理解しておく

転職で失敗しないようにするためにも、造園業界の特徴を理解することが大切です。

特徴を理解せずに転職してしまうと、後から後悔する可能性があります。

ここまでご説明したように、なぜ造園業はやめておけと言われるのか理解した上で、造園業に転職するのかどうかじっくりと考えましょう。

造園業に向く人と向かない人を把握しておく

上記でご説明したように、造園業に向いている人と向いていない人にはさまざまな特徴があります。

室内で仕事がしたい人や花粉・虫が苦手な人などは造園業に向いていませんし、植物に興味があり、コミュニケーション能力に長けているような人であれば造園業に向いているでしょう。

自分が造園業に向いているのか、さまざまな特徴を把握したうえで判断することが大切です。

会社選びで失敗しないようにする

競争が激しいと言われているほど造園業を経営している会社は数多くあります。

会社によって給与水準や待遇、働きやすさなどさまざまな観点が大きく違うため、会社選びで失敗しないようにしましょう。

必ず複数の会社を比較して、自分にとって働きやすい環境かどうか判断することが重要です。

まとめ

造園業界で働くのはやめておけと言われる理由は多くありますが、しっかりと会社選びを行い、造園業に向いている人と向いていない人の特徴を把握し、造園業界の特徴を知ることで無理なく働くことができると言えるでしょう。

造園業界がどのような労働環境なのか、どうすれば即戦力として働けるのか、どんなことに気を付ければいいのかなど、事前に把握できることは把握して対策すれば就職・転職した後に後悔するのを防ぐことができます。

もしも造園業界で働くために資格の取得を目指しているのであれば、是非とも以下のサイトを利用してみてはいかがでしょうか。

ガーデンジョブ




氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期か ら植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。 公園の設備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植 栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 中里 涼子

ライター歴8年以上の中里 涼子です。 リフォーム・リノベーション、住宅、不動産投資などのジャンルで記事を執筆しています。 わかりやすく実用的な記事作成を得意としています。現場の声やリアルなユーザー体験を丁寧に掬い取ることを大切にしています。