「建設業の職人ってどんな仕事をしているの?」

「職人の種類や魅力について知りたい」

 

そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

 

建設業の職人は、建物やインフラを支える重要な役割を担っています。

 

本記事では、建設業の職人の定義から種類、仕事内容、魅力まで詳しく解説します。

 

未経験からでも職人になれる可能性や、女性の活躍についても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。




目次

建設業の職人とは?

建設業の職人とは、工事現場で直接作業を行うプロの技術者を指します。

建設業界では、職人や現場作業員と呼ぶことが多く、両者に明確な違いはありません。

職人は、建設工事の様々な工程で重要な役割を果たします。

具体的には、下記のような建設工事に関わります。

  • 基礎工事
  • 躯体工事
  • 外装工事
  • 内装工事
  • 設備工事
  • 外構工事

それぞれの工程で専門的な技術や知識が必要とされるため、職人はさらに細かく分類されます。

建物やインフラの品質に直結するため、高度な技術と経験が求められます。

また、チームワークも重要で、他の職種の職人たちと協力しながら工事を進めていかなければなりません。

職人の種類

建設業の職人には多くの種類があり、それぞれが専門的な技術を持っています。

以下は主な職人の種類です。

  • 土工
  • とび職
  • 佐官工
  • 塗装工
  • 鉄筋工
  • 型枠大工
  • 鍛治職人
  • 外構職人
  • 内装職人
  • 配管工
  • 電気工事士

1つずつ詳しく解説していきます。

土工

土工の仕事は、基礎工事や土地造成、掘削、運搬などです。土木作業員とも呼ばれます。

建設現場の最初の段階で重要な役割を果たします。

具体的には、土木工事の基礎となる作業を行い、建物や道路の土台を整えます。重機の操作技術も必要とされ、現場の安全管理にも気を配る必要があります。

下記の記事では土工の詳しい仕事内容をご紹介しています。給料やキャリアアップ方法まで分かるので、興味のある方はぜひ参考にしてみてください。

とび職

とび職は高所作業を専門とする職人です。

足場の組み立てや解体、鉄骨の組み立てなどを行います。

高所での作業が多いため、安全意識が特に重要。建設現場の安全を確保する重要な役割を担っており、他の職人が安心して作業できる環境を整えます。

下記の記事ではとび職について詳しく解説しています。仕事内容や必要資格などが分かりますので、ぜひご覧ください。

左官工

左官工は、壁や床の仕上げ、サイディングやタイル張りなどが主な作業内容です。

モルタルや漆喰を使って外壁・内壁の仕上げを行います。

技術と経験が必要な職人で、建物の美観・耐久性・断熱性などに大きく影響します。

伝統的な技法から最新の技術まで幅広い知識が求められ、芸術的な感性も必要とされます。

建物の外観を決定づける重要な役割を果たし、耐久性や断熱性にも配慮しながら作業を行わなければなりません。

ちなみに下記の記事では左官の年収をご紹介しています。どのくらい稼げるのか気になる方はぜひこちらも合わせてご覧ください。

塗装工

塗装工は建物に塗料を塗る職人です。

建物を美しく見せるだででなく、保護する役割もあります。

例えば、建物を雨風から守ったり、錆や劣化を防いだり、防水性能をアップさせたりする役割もあります。

色彩感覚や塗料の知識が重要。塗り方しだいで、建物の外観や内装の美しさを左右する重要な工程です。

鉄筋工

鉄筋工は鉄筋を加工しコンクリート内に設置する職人です。コンクリート構造物の強度を確保する重要な役割を担います。

コンクリートだけでは強度が弱いので、鉄筋を入れることで建物全体が強くなります。

例えば、ビルや橋を作る際は、設計図を見て鉄の棒を正確な長さに切ったり、必要な形に曲げたりします。

そして、鉄筋を組み立てて、コンクリートを流し込む前の骨組みを作ります。

図面を読み取る能力や正確な加工技術が必要で、建物の安全性に直結する仕事です。

型枠大工

型枠大工は、コンクリートを流し込むための「型」を作る職人です。建物の基礎や壁の形を決定づける重要な役割を担っています。

型枠大工が必要な理由は、コンクリートに正確な形と強度を与えるためです。

コンクリートは液体状で注入されるため、固まる前に適切な型で形を作らなければ、建物の強さと安全性が保てません。

設計図を読み取り、木材やスチールなどの材料を使って精密な型を組み立て、この型にコンクリートを流し込むことで、建物の骨格が形成されていきます。

学校やショッピングモールなどの直線的な壁、正確な角度、滑らかな表面は、型枠大工の技術によって実現されていると言っても良いでしょう。

溶接工

溶接工は、建物を強くて安全なものにするために、金属を熱で溶かしてくっつける職人です。

建物の骨組みとなる鉄骨や金属部品を正確に接合することで、建物全体の構造を強固にし、安全性を高めていきます。

正しく溶接するには、設計図の理解、準備、品質チェックが重要になります。

建物の強度と安全性を確保する重要な役割を担い、大規模な建築物から細かい部品まで、幅広い場面で活躍しています。

外構職人

外構職人は、庭や外部の構造物を作る職人です。

例えば、庭に木や花を植えたり、レンガや石で歩道を作ったり、フェンスを立てたり、駐車場を作ったりと、幅広い仕事を担当します。

建物の外側の空間は、見た目の良さと実用性の両方が大切なので、外構職人は、この両方のバランスを取りながら作業をします。

そのため、植物の育て方や、どんな材料がどんな場所に合うかなど、幅広い知識が必要になります。

また、お客さんの希望を聞いて、それを実現するためのアイデアを考える力も大切です。

外構職人の詳しい仕事内容は下記の記事で解説しています。外構職人に向いてる人や資格まで分かりますので、興味のある方はこちらも合わせてご覧ください。

内装職人

内装職人は室内を美しく快適に仕上げる職人。壁紙や床材の施工などが主な仕事です。

具体的には、壁紙の貼り付け、フローリングやカーペットの敷き詰め、照明器具の取り付けや仕上げなどを行います。

曲がりやずれがないように施工する必要があるため、美的センスと細かい作業技術、集中力が求められます。

居住空間の快適さや雰囲気に大きく影響する、重要な職人です。

配管工

配管工は水道や排水管などの設置を行う職人です。

扱う配管の種類には主に下記があります。

  • 給水・排水管
  • ガス管
  • 空調設備の配管
  • 消火設備の配管

 

配管工の仕事は、建物の設計図を読み解くところから始まります。その後、適切な材料を選び、管を切断したり、曲げたり、接合したりして、正確に配管を行います。

時には狭い場所での作業や、重い材料を扱うこともあるため、技術力と体力が必要になる仕事です。

電気工事士

電気工事士は電気設備の設置・保守を行う職人。配線工事や電気機器の取り付けが主な仕事内容です。

例えば、壁や天井の中に電線を通しコンセントやスイッチを取り付けたり、天井や壁に照明を設置したりします。

建物の電気系統全体を管理するため、電気に関する専門知識と安全管理能力が求められます。

職人のきついところ

職人の仕事には魅力がある一方で、下記のような厳しい面もあります。

  • 身体的負担が大きい
  • 技術の習得が難しい
  • 常に危険と隣り合わせ
  • 高い品質を求められる

詳しく解説します。

身体的負担が大きい

職人の仕事は身体的負担が大きいことが特徴です。

長時間の立ち仕事や重労働が続くことが多く、体力的な消耗が激しいです。

特に屋外での作業が多い職種では、天候の影響を受けやすく、夏場の暑さや冬場の寒さに耐える必要があります。

また、重い資材を運んだり、不自然な姿勢での作業が多いため、腰痛などの職業病のリスクも高くなります。

技術の習得が難しい

職人の技術を習得するには長年の修練が必要で、簡単には習得できません。

各職種で求められる専門的な技術や知識は非常に深く、一朝一夕では身につきません。

基本的な技術を習得するだけでも数年かかることが多く、熟練職人になるには10年以上の経験が必要とされることも。

常に新しい技術や材料が登場するため、継続的な学習も求められます。

常に危険と隣り合わせ

建設現場では常に事故のリスクがあります。

高所作業や重機操作など、危険を伴う作業が多く、一瞬の不注意が大きな事故につながる可能性があるからです。

安全管理には細心の注意を払う必要があり、常に緊張感を持って作業に臨まなければなりません。

また、粉塵や有害物質にさらされるリスクもあり、長期的な健康への影響も懸念されます。

高い品質を求められる

職人の仕事は高い品質が求められます。

建物の安全性や使い勝手に直結するため、妥協が許されない完璧さが要求されるからです。

この高い要求は大きなプレッシャーとなり、精神的なストレスになることがあります。

また、納期の厳守も求められるため、時間的なプレッシャーも大きいです。

職人の魅力

職人の仕事には厳しい面もありますが、同時に下記のような多くの魅力があります。

  • 技術の追求ができる
  • 達成感が大きい
  • やりがいを感じられやすい
  • 社会貢献できる
  • 手に職がつく
  • 需要が安定している

1つずつ解説します。

技術の追求ができる

職人の仕事の大きな魅力の一つは、技術を追求できること。

経験を積むことで技術を高められ、常に新しい技術や知識を学び自己成長できます。

職人の世界では、自分の技術を磨くことが、そのまま仕事の価値や評価にもつながります。

また、新しい材料や工法が次々と登場するため、常に最新技術を学び続けたい人にはとても魅力的な職業と言えるでしょう。

達成感が大きい

職人の仕事は、大きな達成感を得られることが魅力です。

自分の手で建物を作り上げる喜び、仲間と協力して工事を完成させることの喜びが大きく、達成感を得られやすいです。

特に大規模な工事現場に携わった場合、その達成感は何物にも代えがたいものになります。

やりがいを感じられやすい

職人の仕事は、やりがいを感じられやすいことも魅力です。

完成した建物や構造物を通じて、自分の仕事の価値を実感できます。

長い時間をかけて作り上げた建物や製品が完成した時、依頼主や利用者から感謝される時、自分の技術が社会に貢献していると実感できる時などに、大きなやりがいを感じることができます。

また、自分の作品が長く残ることも、仕事へのモチベーションを高める要因になります。

社会貢献できる

職人の仕事は社会貢献度が高いことも魅力の一つです。

人々の生活を支える住宅やインフラを作ることで、直接的に社会に貢献できます。

例えば、快適な住宅を建てることで人々の生活の質を向上させたり、橋や道路を建設することで地域の発展に寄与したりすることができます。

また、歴史的建造物の修復や保存にも携わることができ、文化財の保護にも貢献できます。

手に職がつく

職人の仕事の大きな魅力は、専門的な技術を身につけられることです。

「手に職をつける」ということは、将来の安定につながります。

専門的な技術を持っていることで、転職、独立、フリーランスとしても活躍できる可能性が広がります。

技術を磨けば磨くほど、自分の価値が高まっていくことを実感できるのも、職人の仕事の魅力と言えるでしょう。

需要が安定している

近年の建設業は人手不足であることから、職人の需要が安定しているのも魅力です。

未経験でも入職しやすい環境があり、会社規模にもよりますが、継続的に仕事を得られる可能性が高いです。

また、建物やインフラの維持管理の需要も高まっており、長期的な視点でも職人の需要は安定していると言えます。

技術を持っていれば、景気の変動に左右されにくい職業の一つと言えるでしょう。

職人Q&Aコーナー

ここからは、職人の仕事に関して、よくある質問にお答えします。

職人の給料はどれくらいですか?ぶっちゃけ稼げますか?


回答:厚生労働省jobtagによると建設・土木作業員の年収は411.1万円程度とされています。

(参考情報:厚生労働省jobtag

職人もこの数値に近いと考えられます。

ただし、職種や経験によって大きく異なり、儲けやすい職人と儲けにくい職人があります。

熟練した職人や独立して仕事をする場合は、さらに高収入になることもあります。

特に技術力の高い職人や、特殊な技能を持つ職人は高い報酬を得られる可能性があります。

また、残業手当や資格手当、現場手当などが付くこともあり、実際の収入は基本給よりも高くなることが多いです。

下記の記事では、稼ぎやすい職人を紹介しています。職人の単価ランキングや単価を上げる方法も分かりますので、興味のある方はぜひご覧ください。

職人になるにはどんな資格が必要ですか?


回答:職種によって異なります。

多くの職人では、技能講習や特定の資格が求められます。

例えば、電気工事士は第一種・第二種電気工事士の資格が必要。

とび職の場合は高所作業の安全講習修了証が、配管工は配管技能士の資格が求められることがあります。

このような資格は、職人としての基本的な知識や技能を証明するものであり、安全で質の高い仕事を行うために重要です。

ただし、職人見習いとして入職することは可能です。

職人の仕事は危険が多いと聞きますが、安全対策はどうなっていますか?


回答:建設業界では、安全対策に非常に力を入れています。

具体的には、安全教育や最新の安全装備の導入、労働安全衛生法に基づく厳格な安全管理が行われています。

現場では、ヘルメット、安全帯、防護服など、様々な安全装備の着用が義務付けられています。

また、定期的な安全講習や、作業前のミーティングなどを通じて、常に安全意識を高める取り組みが行われています。

このような対策により、事故のリスクを最小限に抑える努力が続けられています。

AIに仕事を奪われないですか?

回答:完全には奪われません。

AIの進化は目覚ましいものがありますが、職人の仕事をAIが完全に代替することは難しいと考えられています。

職人の仕事は、高度な技術、創造性、細かな調整が必要だから。

今後、さらにAIが発達したとしても、職人の技術は不可欠でしょう。

むしろ、AIは職人の作業をサポートする道具として活用されつつあります。例えば、設計、作業の効率化、品質管理などの面でAIが活用されています。

AIと人間の職人が協力することで、より高品質で効率的な仕事が可能になると期待されています。

女性でも職人になれますか?


回答:なれます。

近年、建設業界でも女性の活躍が目立つようになってきており、女性職人も徐々に増加しています。

例えば、建築、左官、塗装など、様々な職種で女性が活躍するようになってきました。

女性ならではの細やかな感性や丁寧な仕事ぶりが評価され、特に内装や仕上げの分野では高い評価を受けることもあるでしょう。

また、重機の操作など、従来は男性が多かった分野でも、技術の進歩により女性でも十分に活躍できるようになっています。

建設業界全体でも、多様性の考え方や働き方改革により、女性が働きやすい環境づくりが進められています。

まとめ:建設業の職人は未経験からスタートできる!

建設業の職人は、未経験者でも入職可能な職種です。

技術や知識は働きながら習得していくことができるため、興味がある方にとっては魅力的な転職先となる可能性があります。

ただし、身体的負担や危険性、技術習得の難しさなど、課題もあることを認識しておく必要があります。

職人の仕事には、多くの魅力があり、手に職をつけることで将来的な安定性も期待できます。ぜひあなたもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期か ら植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。 公園の設備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植 栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 ダーチー

工場に勤務しながらWebライターをしているダーチーと申します。これまで、建設業や製造業、物流業、飲食店のアルバイトまで経験しました。