「刈払機を使用するのは資格がいるの?」

「刈払機取扱作業者安全衛生教育ってなんだろう?」

 

こんな疑問をお持ちではないでしょうか。

 

刈払機は造園や土木工事など、様々な現場で欠かせない道具です。しかし、その使用には危険が伴い、適切な知識と技能が必要不可欠です。

 

本記事では、「刈払機取扱作業者安全衛生教育」の内容や受講方法、受講するメリットについて詳しく解説します。

刈払機を業務で使用する方、使用を検討している方はぜひ最後までお読みください。




目次





刈払機の資格!刈払機取扱作業者安全衛生教育の概要

刈払機は、草刈りや雑草の除去を効率的に行うための園芸機器です。回転する刃やナイロンコードを使用して、広範囲の草を素早く刈り取ることができます。

主に庭園、農地、公園、道路脇などの維持管理に使用され、手作業での草刈りに比べて大幅に作業効率を向上させられます。

この刈払機を安全に取り扱うための、知識と技術を習得するための教育として、「刈払機取扱作業者安全衛生教育」があります。

この教育は、作業者の安全確保と作業効率の向上に不可欠です。

それでは、「刈払機取扱作業者安全衛生教育」について詳しく見ていきましょう。

刈払機取扱作業者安全衛生教育とは?

刈払機取扱作業者安全衛生教育は、刈払機を使用する作業者の安全を確保するための、基本的な知識と技能を習得することが目的です。


刈払機は山林だけでなく道路、河川、田畑、公園などの幅広い場所で使用されていますが、取扱い方法を間違えたり、点検や整備不足などから事故を引き起こし、最悪の場合は死亡災害に至ったケースもあります。


こうしたことから、労働安全衛生法により、刈払機を使用する業務に従事する作業者に対して、事業者が安全衛生教育を実施することが義務付けられています。

この教育は、「刈払機取扱作業者に対する安全衛生教育について(平成12年2月16日基発第66号)」に基づいて実施されています。

講習が必要な人とは?

対価が発生する仕事として草刈機を使用する場合は、刈払機取扱作業者安全衛生教育を受講する必要があります。

林業、建設業、農業、道路工事など、業種を問わず、現場で刈払機を使用する作業者は受講が義務付けられています。


個人や自治会などで私有地の草刈りを自身で行う場合は資格は不要。ただし、安全のために自主的に受講することをお勧めします。

受講するメリット

刈払機取扱作業者安全衛生教育を受講するメリットは主に下記の4つです。

  • 作業の安全性の向上
  • 振動障害のリスク軽減
  • 作業効率の向上
  • 仕事の幅の拡大


前述のとおり、刈払機は様々な現場で幅広く使用されています。

教育を通じて正しい使用方法や点検・整備の知識を身につけることで、安全に作業でき作業効率の向上にもつながります。


特に振動障害のリスクは軽視されがちです。振動障害は長期間にわたって徐々に進行するため、初期症状が軽視されやすいからです。


そのため、多くの作業者が振動障害のリスクや症状について十分な知識を持っていないことが多く、他の労働災害と比べて外見から症状が判断しにくいことあります。

また、修了証は刈払機を適切に扱う知識とスキルを持っていることの証明となり、作業者としての価値を高めることにもつながります。

したがってより重要な仕事を任されたり、転職に有利になる可能性もあります。

受講資格

年齢や学歴に関する特別な制限はありません。


刈払機を業務で使用する予定がある方であれば、誰でも受講することができますが、実際の業務従事については18歳以上が望ましいとされています。

受講費用

受講費用は講習機関や受講形態によって異なりますが、一般的には9,000円から15,000円程度の範囲内です。

例えば、ある機関では教材費込みの受講料金が、9,515円(税込)となっています。

受講する際は、必ず実施機関のホームページなどで確認することが大事です。

刈払機取扱作業者安全衛生教育の内容

刈払機取扱作業者安全衛生教育の内容を、学科、実技に分けて解説しますのでご覧ください。

学科講習(計5時間)

刈払機取扱作業者安全衛生教育の学科講習は、以下の内容で構成されています。

講習内容時間主な内容
刈払機に関する知識1時間刈払機の種類、特徴、基本的な操作方法について学ぶ。
刈払機を使用する作業に関する知識1時間作業計画、危険予知、安全な作業手順について理解を深める。
刈払機の点検及び整備に関する知識0.5時間日常点検の方法や簡単な故障の対処法を学ぶ。
振動障害及びその予防に関する知識2時間振動障害のメカニズム、症状、予防策について詳しく学ぶ。
関係法令0.5時間労働安全衛生法など、関連する法律についての理解を深める。

学科講習では、刈払機の基本的な知識から安全な作業方法、点検整備、そして最も重要視されている振動障害とその予防に至るまで、幅広い内容をカバーしていることが分かります。

特に振動障害に2時間もの時間を割いていることから、この問題の重要性が強く認識されていると言えます。

この学科講習の構成から、安全性と健康管理が非常に重視されていることが読み取れます。同時に、刈払機の効率的な使用方法や適切な整備方法も学ぶことで、作業効率の向上も図られています。

実技講習(計1時間)

実技講習では、刈払機の作業等について実践的に学びます。

講習内容時間主な内容
刈払機の作業等1時間始業前点検、正しい始動方法、基本的な操作技術、安全な作業姿勢、適切な保護具の着用、刃の交換実習などを実施。

実技講習では、学科で学んだ知識を実際の機器を用いて実践的に学びます。

始業前点検から基本的な操作技術、安全な作業姿勢、適切な保護具の着用、さらには刃の交換実習まで行うことから、実際の作業現場で必要となるスキルを総合的に習得できる内容と言えます。

刈払機取扱作業者安全衛生教育の受講方法

受講方法は主に3つ。

  • 講習機関での対面受講
  • 自社内での実施
  • Web講座での受講(学科のみ)

それぞれ解説します。

講習機関での対面受講

登録された専門機関で直接受講する方法です。この方法の最大の利点は、専門の指導員から直接指導を受けられること。受講者は不明点を気軽に質問できるので、効果的に技術を学べます。

他の受講者との交流の機会もあり、情報交換やモチベーションアップにもつながります。

主な実施機関は下記のとおり。

全国に支部があるので、最寄りの実施機関で受講するのも良いでしょう。

自社内での特別教育実施

企業が自社内で講習を実施し、従業員に受講させる方法です。この方法の最大の利点は、自社の作業環境や特殊な条件に即した内容で教育を行えること。従業員は自社の実際の作業環境に直接関連した知識や技能を習得できます。

また、複数の従業員を同時に教育できる点も魅力。社内の過去の災害事例などを交えて説明できるのもメリットです。

ただし、この方法の実施には、適切な講師の確保や必要な設備の準備など、一定の条件を満たす必要があります。

Web講座での受講(学科のみ)

この方法は学科講習のみを対象としており、インターネットを利用して受講します。

最大の利点は、時間や場所の制約が少なく、受講者が自分のペースで学習できること。特に、業務の都合で講習に参加しづらい方にとって有効な選択肢でしょう。

しかし、パソコンやネット回線など、インターネット環境を構築する必要があるので注意してください。

主な実施期間は下記のとおり。


刈払機取扱作業者安全衛生教育の受講の注意点

刈払機安全衛生教育の注意点は下記のとおり。

  • 持ち物や必要書類を確認する
  • 真面目に受講する
  • 修了証を大切に保管する
  • 継続的に学習する

それぞれ見ていきましょう。

持ち物や必要書類を確認する

講習に必要な持ち物や必要書類を確認することは、スムーズな受講のために非常に重要。受講前に実施機関のWebサイトを確認し、必要な持ち物リストを入手しておきましょう。

一般的に、筆記用具、身分証明書、作業服、安全靴などが必要となります。実技講習がある場合は、保護メガネ、手袋、ヘルメットなども必要になることがあります。

事前に十分な準備をすることで、当日のスムーズな受講が可能となるので、忘れ物には気をつけましょう。

真面目に受講する

刈払機取扱作業者安全衛生教育は、試験がなく受講資格もないため、誰でも取りやすい資格です。だからといって、適当に受講しないようにしましょう。

当たり前ですが、真面目に受講することが大切。

講習中は、講師の説明に集中し、メモを取るなど積極的に学習に取り組むことが大切。質問がある場合は遠慮せずに手を挙げ、疑問点をその場で解消することも重要です。

また、他の受講者の質問にも耳を傾けることで、自分では気づかなかった視点や情報を得ることができます。

実技講習では、指導員の動きを注意深く観察し、自分で実践する際には細心の注意を払って安全に取り組みましょう。

講習で学んだ内容を単に暗記するだけでなく、なぜそのような方法が安全なのか、どのようなリスクがあるのかを深く理解することが重要です。

修了証を大切に保管する

受講後に発行される修了証は非常に重要な書類です。この修了証は、刈払機を使用する業務に従事する際に必要となる場合があるため、大切に保管しましょう。

また、紛失や破損をしてしまうと再発行が必要です。耐久性のあるファイルやケースなどに入れて保管することをお勧めします。

必要に応じて提示できるよう保管場所を明確にし、すぐに取り出せるようにしておくことが重要です。

知識・技能を実践に活かす

教育で学んだことを実践で実行しなければ、なんの意味もありません。教育で学んだ安全な作業方法や点検・整備の知識を日々の業務で実践することが非常に重要です。

学んだ知識や技術を実践に移すことで、より深い理解と技能の定着にもつながります。特に、作業前の点検や適切な保護具の着用、正しい作業姿勢の維持などは、毎回の作業で意識的に実践するよう心がけましょう。

また、同僚や後輩に対しても、学んだ知識や技能を共有することで、職場全体の安全意識を高められます。日々の実践を通じて、安全で効率的な作業を習慣化することが大切です。

継続的な学習

刈払機の新しい技術や安全対策について、常に最新の情報を収集するよう心がけることが重要。技術の進歩は速く、新しい安全機能や効率的な作業方法が開発されることがあります。

安全衛生に関する法令は改正されることがあるため、最新の規制に注意を払う必要があります。情報収集の方法としては、機器メーカーのウェブサイトや教育実施機関の発行する資料などを定期的にチェックすることが有効です。

継続的な学習を通じて、常に最新かつ最適な作業方法を実践しましょう。

また、刈払機安全衛生教育には法定の更新制度はないですが、技術の進歩や法令の変更に対応するため、数年ごとに自主的に再受講することが推奨されています。

刈払機初心者のためのQ&A

ここからは、刈払機の作業に慣れていない初心者が疑問に思うことを、Q&A形式でお答えしていきます。

「刈払機取扱作業者安全衛生教育の他に、刈払機の資格や講習はあるの?」

【回答】刈払機関連の資格には「チェーンソー作業従事者特別教育」があります。

チェーンソー作業従事者特別教育は、労働安全衛生法に基づいて定められた重要な安全教育の一つで、チェーンソーを使用する作業に従事する労働者の安全を確保し、作業に関連する事故や災害を防止することを目的としています。


特別教育の内容は、チェーンソーの構造や取り扱い方法、安全装置の使用法、作業に関する安全対策、関係法令など。具体的には、チェーンソーの基本的な操作技術、キックバックなどの危険な状況への対処法、適切な保護具の使用方法、作業現場のリスク評価などが学習項目です。


多くの場合、森林整備や造園作業などでは、チェーンソーと刈払機を併用することが一般的です。例えば、刈払機で下草を刈り取った後、チェーンソーで小径木を伐採するといった作業の流れがよく見られます。

「刈払機の種類はどんなものがあるの?どれを使えばいいか分かりません」

【回答】刈払機の種類は、主に下記3つに分けられます。

  • エンジン式刈払機
  • バッテリー式刈払機
  • 電動式刈払機

使用用途と特徴を、1つずつ見ていきましょう。

エンジン式刈払機

エンジン式刈払機は高出力で、長時間の連続作業が可能。燃料補給を行えばすぐに作業を再開できるため、大規模な草刈りや雑草が生い茂った場所での使用に最適です。

特に農地や広大な庭園、山林や荒れ地の整備など、長時間の連続作業が必要な現場でその力を発揮します。

バッテリー式刈払機

騒音が少なく、環境にも優しいという特長があります。また、振動も少ないため作業者の疲労を軽減できます。

軽量で扱いやすく、特に住宅地や公園など静かな作業が求められる場所での使用に適しています。また、中小規模の庭園管理や早朝・夜間の作業にも向いています。

排気ガスを嫌う場所、例えば温室や室内庭園などでも安心して使用できるのが特徴です。

電動式刈払機

最も軽量で扱いやすく、低騒音で環境にも優しい特徴があります。ただし、電源コードが必要であるため、その制約があります。

また、出力はエンジン式やバッテリー式に比べて低いため、小規模な庭や家庭用の草刈りに最適です。

電源が近くにある場所での作業や軽度な雑草の除去にも向いており、初心者や高齢者による使用にも適しています。

「刈払機のメンテナンスはどうすればいいですか?」

【回答】刈払機の主なメンテナンスは、刃の状態、フィルターの清掃、オイル交換をおこないましょう。

刃の状態の管理

刃が鈍くなると、作業効率が著しく低下するだけでなく、機器に余計な負荷がかかり、エンジンの寿命を縮める原因にもなります。

定期的に刃の状態を確認し、必要に応じて研磨や交換を行うことが大切です。

フィルターの清掃

空気フィルターは、エンジンに入る空気中の塵や埃を取り除く役割を果たします。このフィルターが目詰まりすると、エンジンの性能が低下し、燃費も悪化します。

定期的に空気フィルターを取り外し、圧縮空気で吹き飛ばすか、中性洗剤で洗浄することで、エンジンの性能を維持できます。

同様に、燃料フィルターも定期的な清掃や交換が必要です。燃料フィルターが詰まると、エンジンへの燃料供給が不十分になり、エンジンの不調や停止の原因となります。

オイル交換

エンジンオイルは時間とともに劣化し、潤滑性能が低下します。定期的なオイル交換により、エンジン内部の摩擦を減らし、部品の摩耗を防ぐことができます。

オイル交換の頻度は使用状況によって異なりますが、一般的には50時間使用ごと、または年に1回程度が目安です。

まとめ:刈払機取扱作業者安全衛生教育【安全な草刈り作業のために受講しよう】

刈払機取扱作業者安全衛生教育は、刈払機を使用する作業者の安全確保と作業効率向上のために不可欠な教育です。労働安全衛生法に基づき、対価が発生する仕事で刈払機を使用する場合は受講が義務付けられています。


受講の際は、必要な持ち物や書類を確認し、真剣に講習に臨むことが重要です。
刈払機を業務で使用する予定の方は、刈払機取扱作業者安全衛生教育を受講し、安全に作業するようにしましょう。


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氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期か ら植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。 公園の設備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植 栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 ダーチー

工場に勤務しながらWebライターをしているダーチーと申します。これまで、建設業や製造業、物流業、飲食店のアルバイトまで経験しました。