「1級造園技能士の合格率を知りたい」
「自分は受験資格を満たしているのかな?」
「ついでに試験対策も教えてほしい」
こんな疑問やお悩みをお持ちではないでしょうか。
造園業界で最高峰の資格である1級造園技能士を取得すると、高度な造園技術と知識を持つ専門家であることの証明になります。
本記事では、1級造園技能士の合格率、受験資格、試験内容、そして効果的な試験対策方法について詳しく解説します。
最後まで読めば、1級造園技能士を取得するまでの道のりが分かりますので、ぜひ参考にしてみてください。
なお、「造園技能士ってなんだろう?どんな仕事内容なの?」と疑問をお持ちの方は、下記の記事をご覧ください。
静岡県御殿場市の土建屋に生まれ、大型重機が大好きな子供時代を送る。
建築に憧れ、三重短大で住環境を学ぶ。新卒でハウスメーカーFC工務店の「インテリアプランナー」に応募するも、社長の勘違いで募集したかったのはなんと「エクステリアプランナー」!!
ハウスメーカーで個人住宅のエクステリアを担当。その後、ゼネコン住宅事業部のインテリアプランナー、植木屋の外構プランナーを経て、現在は(株)ガーデンメーカーで営業設計を務める。
目次
1級造園技能士の合格率
平均合格率は約25%と言われており、おおよそ4人に1人しか合格できない狭き門となっています。
1級造園技能士試験は2級や3級と比較して、より高度な知識や技術が求められます。そのため、難易度は非常に高くなっています。
難関試験ではありますが、1級造園技能士になれれば、会社や現場の中での評価が上がり、貴重な存在になれます。
また、造園技能士検定の合格基準は、年度によって異なります。今後、難易度が大幅に変わることも考えられるので注意してください。
1級造園技能士の資格概要
1級造園技能士は、造園業界における最高レベルの知識と技能を証明する国家資格です。
1級造園技能士を取得することで、高度な造園技術を持つ専門家として認められ、キャリアアップや独立開業の際に大きな強みとなります。
ここからは、下記について解説しますのでご覧ください。
- 受験資格
- 試験日程と会場
- 学科試験の概要
- 実技試験の概要
受験資格
1級造園技能士検定を受験するには、原則として7年以上の実務経験が必要。ただし、学歴や保有資格によって、必要な実務経験年数が短縮される場合もあります。
具体的な受験資格は以下のとおりです。
学歴等 | 必要な実務経験年数 | ||
通常 | 2級合格後 | 3級合格後 | |
実務経験のみ | 7年 | 2年 | 4年 |
専門高校卒業 | 6年 | 2年 | 4年 |
専修学校(大学入学資格付与課程)卒業 | 6年 | 2年 | 4年 |
短期大学卒業 | 5年 | 2年 | 4年 |
高等専門学校卒業 | 5年 | 2年 | 4年 |
高校専攻科卒業 | 5年 | 2年 | 4年 |
専修学校(大学編入資格付与課程)卒業 | 5年 | 2年 | 4年 |
大学卒業 | 4年 | 2年 | 4年 |
専修学校(大学院編入資格付与課程)卒業 | 4年 | 2年 | 4年 |
専修学校または各種学校卒業 | 800時間以上:6年1600時間以上:5年3200時間以上:4年 | 800時間以上:2年1600時間以上:2年3200時間以上:2年 | 800時間以上:4年1600時間以上:4年3200時間以上:4年 |
短期課程の普通職業訓練修了 | 700時間以上:6年 | 700時間以上:2年 | 700時間以上:4年 |
普通課程の普通職業訓練修了 | 2800時間未満:5年 2800時間以上:4年 | 2800時間未満:2年 2800時間以上:2年 | 2800時間未満:4年 2800時間以上:4年 |
専門課程または特定専門課程の高度職業訓練修了 | 3年 | 1年 | 2年 |
応用課程または特定応用課程の高度職業訓練修了 | 1年 | 1年 | 1年 |
長期課程または短期養成課程の指導員訓練修了 | 1年 | 1年 | 1年 |
職業訓練指導員免許取得 | 1年 | 1年 | 1年 |
長期養成課程の指導員訓練修了 | 0年 | 0年 | 0年 |
実務経験には、造園工事業、造園工事業に付帯する業務、公園緑地等の維持管理業務などが含まれます。
人によって大きくことなるので、あなたの実務経験年数がどれに当てはまるか、考えてみてください。
(参考資料:厚生労働省ホームページ 技能検定の受験資格要件が大幅に緩和されました)
試験日程と会場
1級造園技能士試験の日程は以下のとおりです。
【申し込み期間】
- 前期:4月上旬〜中旬
- 後期:10月上旬〜中旬
【試験期日】
- 学科:7月中旬〜9月上旬、1月下旬〜2月下旬
- 実技:6月上旬〜9月上旬、12月上旬〜2月下旬
【試験会場】
- 各都道府県でそれぞれ決められます。
【受験料】
- 学科:3,100円
- 実技:18,200円
都道府県によって金額が異なる場合があるので注意が必要です。
詳しい試験内容や試験日については、受験者に郵送で通知されます。
また、試験会場と時間を事前に確認し、必要な持ち物(受験票、筆記用具、時計など)を忘れずに持参しましょう。
会場等は年度によって異なるので、必ず下記のホームページも確認しておいてください。
学科試験の概要
1級造園技能士の学科試験は、造園に関する幅広い知識を問う試験です。
- 試験時間:100分
- 真偽法(○×式)及び四肢択一法の問題が出題(50問)
学科試験の出題範囲は以下の7分野です。
【出題内容】
- 庭園及び公園
日本庭園の様式や歴史
公園の種類と機能 - 施工法
植栽、剪定、移植の技術
土壌改良や排水設備の施工方法 - 材料
植物の種類と特性
石材、舗装材料の知識 - 設計図書
設計図面の読み方
仕様書の理解と作成方法 - 関係法規
都市公園法
建設業法の基礎知識 - 安全衛生
作業現場での安全対策
労働安全衛生法の基本 - 測量
基本的な測量技術
測量機器の使用方法
2級と同様に幅広い分野から出題されるため、造園に関する総合的な知識が求められます。合格ラインは100点満点中65点以上です。
実技試験の概要
実技試験は、実際の造園技術を評価する試験です。試験時間は3時間30分で、以下の課題が出題されます
- 竹垣製作
- つくばい敷設
- 飛び石・延段敷設及び景石配置
- 植栽、支柱取付け
上記の課題を限られた時間内に完成させなければなりません。評価は、技術の正確さ、美観、作業の効率性などの観点から行われます。
3級、2級よりも高度な技術を要するので、時間が足りなくなることも考えておかなければなりません。
そのため、得意な作業と苦手な作業を把握し、時間配分を考えて作業することが求められます。
合格ラインは100点満点中65点以上です。
要素試験の概要
実技試験の後には、樹木の枝から樹種名を判定する要素試験が、10分間で行われます。
造園技能士として必要不可欠な樹木識別能力を測る重要な試験ですので、おろそかにしないようにしっかりと対策しておくことが大切です。
1級造園技能士の試験対策4選【過去問と講習会が重要】
1級造園技能士試験に合格するためには、計画的かつ効果的な学習が不可欠です。
以下に、おすすめの試験対策方法を4つ紹介しますので、学習の参考にしてみてください。
- 参考書や過去問題集で学習
- Webアプリで学習
- 実技の講習会に参加
- YouTubeで学習する
参考書や過去問題集で学習
まずは学科対策として、参考書や過去問題集を解くことが基本となります。
基礎知識の習得と問題演習には、以下の参考書や問題集がおすすめです。
- 「技能検定 造園(造園工事作業)合格テキスト1~3級対応」
1級から3級まで幅広くカバーしており、基礎から応用まで学べます。 - 「1級造園技能士試験○×式一問一答問題集」
学科試験対策に特化した問題集で、短時間で効率的に学習できます。 - 「造園 (令和3・4・5年度 1・2級技能検定試験問題集)」
最新の出題傾向を把握するのに最適です。
このような教材を組み合わせて使用することで、幅広い知識を効率的に習得できます。苦手な箇所を重点的に学習すること、繰り返し過去問題集を解くことを意識して取り組みましょう。
Webアプリで学習
スマートフォンやタブレットを使用したWebアプリ学習は、隙間時間を有効活用できる効果的な方法です。
例えば、以下のようなWebアプリがあります
Webアプリ学習のメリットは下記のとおり。
- スキマ時間に学習できる
- 場所を選ばずに学習できる
- 反復学習が容易になる
ただし、Webアプリだけに頼るのはおすすめしません。あくまでも、参考書や問題集の補助として活用するのが良いでしょう。
実技講習会に参加
実技試験対策として、講習会への参加は非常に効果的です。すべての受験者が適切な練習環境や道具、材料を持っているわけではないため、講習会は貴重な実践の機会となります。
講習会のメリットは下記のとおり。
- 実際の試験環境に近い条件で練習できる
- 専門家からの直接指導が受けられる
- 他の受験者と情報交換ができる
各地で講習会が開催されているので、最寄りの会場に参加することをおすすめします。以下は講習会を開催している団体の例です。
各都道府県の協同組合で、講習会の日程や申し込み方法を確認できますので、積極的に参加するとよいでしょう。
また、仲間と一緒に参加することで、モチベーションの維持やグループ学習の効果も期待できます。
YouTubeでも学習する
YouTubeなどの動画サイトでも、造園技能検定の試験模様や技術解説動画が公開されています。
動画を活用することで、以下のような利点があります。
- 必要工具の使い方を視覚的に学べる
- 竹垣の制作、蹲踞、筧の設置などの作業手順を確認できる
- イメージトレーニングになる
動画学習は、実際の作業をイメージしながら学べるため、実技試験対策に非常に効果的です。ただし、動画だけでなく実際に手を動かす練習も必ず行うようにしましょう。
1級造園技能士取得後のキャリアプラン【独立も目指せます】
1級造園技能士の資格を取得することで、キャリアの可能性が大きく広がります。以下に、資格取得後のキャリアプランについて詳しく説明しますので、参考にしてみてください。
給与アップや昇進につながる
1級造園技能士の資格は、高度な専門知識と技術を持つ証明となるので、会社からの評価も高くなります。
そのため、多くの企業で以下のようなメリットが期待できます。
【給与面での優遇】
まず、給与面での優遇が期待できます。多くの企業では、1級造園技能士の資格保持者に対して資格手当を支給しています。
求人サイトを確認すると、月額で数千円から数万円程度アップすることが多いようです。また、資格取得を理由に基本給の引き上げを検討する企業もあります。
もし資格取得後にこれらの待遇改善がない場合は、上司や人事部門と交渉することをお勧めします。自身の価値を適切にアピールすることが重要です。
【責任ある立場への昇進】
より責任ある立場への昇進機会が増えることも大きなメリットです。1級造園技能士の資格を持つことで、一人で現場を任される機会も増えるでしょう。
また、技術面でのリーダーシップを評価され、管理職に抜擢される可能性も高まります。さらに、後進の育成や技術指導をお願いされることもあるかもしれません。
【より高度な案件の担当】
高度な資格保持者として、より価値の高い重要な現場を任されることも多くなります。たとえば、公共施設や大規模商業施設の造園工事などが考えられます。
工事現場の常駐、主任技術者として認められる
官庁営繕工事における現場常駐制度では、1級造園技能士が重要な役割を果たします。
この制度は、公共建築工事の品質確保と技能の継承を目的としており、特定の工事において1級技能士の常駐が求められます。
たとえば、大規模な公園整備や公共施設の緑化工事などに、1級造園技能士が現場に常駐することで、高品質な施工と適切な管理が行えるようになります。
また、建設業法では、1級造園技能士は一般建設業の主任技術者になることができます。
主任技術者は、建設工事の施工計画の作成、工程管理、安全管理、そして品質管理などの重要な役割を担いますので、高い知識と経験が必要になります。
1級造園技能士が主任技術者の役割を果たすことで、造園工事の技術的な質が担保されるとともに、現場での効率的な作業進行や安全性の確保が期待できます。
経営事項審査の評価対象技術者になる
経営事項審査は、公共工事の入札参加資格審査において重要な要素であり、企業の施工能力や経営状況等が評価されます。
1級造園技能士は、この経営事項審査の評価対象技術者としても認められています。
企業内に1級造園技能士がいることで、企業の技術力が高く評価され、公共工事の受注機会の拡大につながる可能性があります。
独立開業のステップになる
1級造園技能士の資格は、独立開業を目指す上で大きな強みとなります。
1級技能士は、高度な技術を持つ専門家として認識され、クライアントからの信頼を獲得しやすくなるからです。
造園業の技術者としての能力証明となり、大規模工事の受注にも役立つ可能性があります。さらに、同じ資格を持つ仲間とのつながりが生まれ、業界内での評価が高まるでしょう。
ただし、独立には経営スキルや顧客獲得能力も同時に磨く必要があることを忘れないでください。
なお、下記の記事では造園業で独立した場合の年収や仕事獲得のポイントをご紹介しています。smilガーデンのビジネスパートナー制度にも触れていますので、将来、独立を考えている方は、こちらも合わせてご覧ください。
造園技能士の関連資格でステップアップ
1級造園技能士の資格を基盤として、さらに関連資格を取得することで、仕事の幅を大きく広げられます。
ここでは、おすすめの関連資格を紹介します。
造園施工管理技士
造園施工管理技士は、造園工事の施工管理を行う国家資格です。
造園技能士は実践的な造園技術を証明し、造園施工管理技士は施工管理能力を証明するものなので、両方を持つことで技術と管理の両面での高い専門性を示せます。
現場作業から施工管理まで、造園業界のさまざまな職域で活躍できるようになり、より高い給与や待遇を得られる可能性が高まります。
なお、造園施工管理技士の受験資格や実務経験については下記の記事で詳しくお伝えしています。施工管理職にも興味のある方は、ぜひご覧ください。
土木施工管理技士
造園と関連の深い、土木工事の施工管理を行う国家資格です。造園と土木の両方の知識を持つことで、より幅広い業務に対応可能となります。
1級を取得できれば、土木と造園の両分野でのキャリアの幅が大きく広がり、仕事量の増加が期待できるだけでなく、独立できる可能性が高まると言えます。
施工管理職に就きたい方や、造園だけでなく土木分野でも活躍したい方は、持っておいて損はない資格と言えるでしょう。
土木施工管理技士の資格を取得する方法は下記の記事で詳しく解説しているので、こちらも合わせてご覧ください。
登録造園基幹技能者
登録造園基幹技能者は、造園技能士と同じく、造園工事業において高度な技能と知識を持つ専門家です。造園技能士より上級に位置づけられている民間資格となっています。
上級職長として、元請の計画・管理業務に参画し補佐するなど、造園工事の中心的な役割を担うポジションです。
しかし、受験資格を満たすのは簡単ではありません。
1級造園技能士であり、10年以上の実務経験と、3年以上の職長経験 (職長・安全衛生責任者講習受講後3年)が必要です。
取得は難しいと言えますが、会社でかなり貴重な存在になれるので、造園技能士として十分に経験を積んだ後に、チャレンジしてみるのも良いでしょう。
樹木医
樹木医は、樹木の診断や治療を行う、樹木の健康管理に特化した知識を持つ専門家です。
造園技能士と組み合わせることで、より深い知識を持った樹木管理のプロとして活躍できるようになります。
具体的には、傷んだり病気になった樹木の診断と樹勢回復、樹病の予防、後継樹の保護育成、倒木事故の危険性評価などの仕事を担当します。
そのため、樹木の生理・生態に関する深い理解や、調査、設計監理、維持管理業務に関する専門知識も必要になります。
樹木医は造園業だけでなく、植木生産業、果樹栽培、林業などでも活躍できるので、取得できれば仕事の幅が一気に広がるでしょう。
ランドスケープアーキテクト
ランドスケープアーキテクトは公園や商業施設など、屋外空間のデザインと設計を行う専門家です。
植物の種類や配置を考慮し、景観と利用価値の両面を高め、緑のある空間をデザインします。
ランドスケープアーキテクトを取得できれば、造園の技術的側面だけでなく、管理、設計、環境保全など、より広範囲で高度な業務に携わることが可能になります。
たとえば、施工だけでなく、構想やメンテナンスまで行っている造園会社や、建設コンサルティング会社などで活躍できる可能性が高まります。
まとめ:1級造園技能士試験の対策をして取得を目指そう
1級造園技能士は、造園業界における最高峰の資格です。
合格率は約25%となっているため、取得は決して容易ではありませんが、キャリアアップや独立開業を目指す上で非常に価値のある資格と言えます。
ぜひ本記事で紹介した参考書や過去問題集を繰り返し解き、講習会やYouTubeも活用して1級造園技能士にチャレンジしてみてください。
資格取得後は、資格のメリットを最大限に活かすために、自身の価値を適切にアピールし、給与アップや昇進などを目指してくださいね。
なお、GARDEN-JOBでは、造園、外構、土木業界の求人を多数掲載中です。入社が決まれば最大5万円のお祝い金がもらえますので、資格取得後のキャリアプランを考える際や、より良い職場環境を探す際に、ぜひGARDEN-JOBを活用してみてください。