「外構設計ってどんな仕事なんだろう?」
「外構設計の仕事に就くには資格や経験が必要なのかな?」
こんな疑問に答える記事です。
外構設計という用語を聞いたことがあるかもしれませんが、具体的に何を意味するのか、どうやってこの分野で働くことができるのか分からない方もいるのではないでしょうか。
本記事で外構設計の仕事内容、必要なスキル、就職方法、関連する資格などを詳しく解説しますので最後までご覧ください。
目次
外構設計とは

外構設計は、建物の外側全体をデザインする仕事で、その仕事に従事するものを外構設計技術者と言います。
植栽のデザインも担当するため、外構設計技術者は、建物とその周囲の環境を一体として美しく機能的な空間を作り出す役割を担います。
建物と調和した美しいデザインを通じて、全体の印象や防犯性能を向上させることが外構設計者の役割です。
設計から完成した外構の引き渡しまで関わるのが一般的です。
外構設計技術者の仕事の流れ

外構設計技術者の仕事内容は主に下記のとおり。
- お客様との打ち合わせ
- 庭全体のレイアウト設計
- 素材選び
- 積算
- 工事の管理、引き渡し
お客様との打ち合わせ
まず最初に、お客様との打ち合わせを行います。
打ち合わせの内容は下記のとおり。
- 外構のイメージ
- 予算
- ライフスタイルの確認
- デザインの好み
- 環境条件
などなど、お客様がどのような外構を目指しているかを聞き出します。
聞き出した情報を元に最適なプランを提案。お客様の満足度を高めていきます。
庭全体のレイアウト設計
お客様から集めた情報を元に、CADソフトを使って庭全体のレイアウトの設計を行います。
具体的には、下記の設計を行います。
- 門まわり(門扉、門柱、門灯、ポスト、表札、インターホン、植栽)
- アプローチまわり(延べ段、飛び石、アーチ、階段、スロープ、舗装)
- 庭まわり(ウッドデッキ、テラス、花壇、物置、サンルーム)
- 駐車場まわり(カーポート、サイクルポート、ゲート、ガレージ)
- 囲い(塀、タイル、レンガ、ブロック、フェンス、生け垣)
外構設計では見た目以外に、安全性と美観の考慮も必要。
例えば、住まいのプライバシーを守るために、フェンスや植栽を用いて視線を遮ったり、門扉や照明の配置をして防犯性能を高め安全な住環境を作ったりします。
素材選び
外構設計は、デザインだけ設計すればいいというわけではありません。
耐久性と美観を兼ね備えた素材の選定、季節や環境に適した植物の選定も行います。
お客様の要望に沿うように、石材やレンガ、砂利など、多様な材料から最適なものを選び、施工の準備をしていきます。
積算
積算とは、外構工事に関わる費用を積み上げて算出すること。
- 人材の算出
- 材料の算出
- 工事費用の算出
上記をパソコンを使って算出します。
積算区分を明確にすることで、見積もり落ちや重複を防げるようになります。
現場の状況と設計図が異なることもあるため、現地調査も必要です。
工事の管理・引き渡し
設計図面を元に、工事が計画通りの進んでいるか確認。必要に応じて設計を調整します。
基本的に工事の管理は施工管理技術者が行いますが、 外構や造園工事の場合、設計技術者も管理に関わります。
また、設計者は主にデザインや設計意図の実現に注力し、施工管理技術者は工程管理や安全管理などの技術的側面を担当することもあります。
工事が完了したら、お客様に外構の引き渡しを行います。
設備の使用方法やメンテナンス方法など、外構の詳細な情報をお客様に伝えることが重要です。
CADオペレーターとの違い
似たような職種に「CADオペレーター」があります。
CADオペレーターの仕事は主に、CADソフトを使って図面作成や修正を行うことです。
外構や造園の分野では、CADオペレーターが打ち合わせから設計、施工管理まで行うこともあります。
詳しい仕事内容は下記の記事にまとめてありますので、気になる方はぜひご覧ください。
外構設計に必要なスキル
外構設計には、専門的な技術と知識が不可欠です。
特に下記が重要です。
- 外構の専門知識
- 建築法規
- 材料特性の知識
- デザイン感覚
- CAD操作スキル
- 積算能力
外構に関する幅広い専門知識、CAD操作などの技術を習得することで、お客様の要望に答えた外構設計が可能になります。
外構設計に向いてる人
外構設計に向いている人は、特に以下の特徴を持つ人です。
- デザインするのが好きな人
- 言語化能力が高い人
- 創造性豊かな人
- チームワークを大事にできる人
- 自分を主張しすぎない人
外構設計ではCADソフトを用いてモデリングするため、デザインするのが好きな人や得意な人が向いています。
ただし、自分のやりたいことだけではなく、お客さんの要望通りにデザインしなければなりません。
創造性の高さだけでなく、相手のニーズを理解する力と、施工内容を明確に伝える言語化能力も求められます。
あなたは外構設計技術者に向いているでしょうか?
もし向いているなら、外構設計技術者になるための方法を学びましょう。
外構設計技術者になるには

「外構設計技術者の仕事内容や向いてる人はわかった。でも、どうすれば外構設計技術者になれるの?」
まず、外構設計技術者になるのに必須となる資格や経験はありません。
誰でも目指すことができます。
しかし、外構設計の仕事に就くためには、以下のステップを踏むことが重要です。
- 基礎知識を習得する
- 外構関連の企業に就職する
- 資格を取得する
詳しく解説していきます。
基礎知識を習得する
まずは基礎知識の習得をしましょう。建築法規、材料、デザインの学習、エクステリアデザインの基本を理解することが重要です。
独学で学習するなら外構設計やエクステリア関連の参考書を読み込むのが一般的です。
しかし、独学で外構の基礎知識を学ぶのはハードルが高いこともあるでしょう。その場合は専門学校に通うのがおすすめです。
例えば、建築学科、造園学科、インテリアデザイン学科、ガーデン学科などがある専門学校でも基礎知識を学ぶと、しっかりと学習できるでしょう。
外構関連の企業に就職する
技術的なことを学ぶなら、エクステリア関連企業での実務経験を積むのが早いでしょう。
外構設計技術者の先輩からアドバイスを貰ったり、技術を盗むことができるからです。
エクステリア設計会社や建築事務所などで働くことで、実践的な経験を積みスキルを磨くことができます。
未経験から入職し下積みを経ることで、専門知識と技術をしっかりと身につけられステップアップできるのでおすすめです。
資格を取得する
外構設計に関する資格を取得することで、仕事の信頼性が高まり、お客様に対して安心感を与えることができます。
資格の取得は、仕事においても効率的に業務を進めることができ、ミスの削減に繋がります。法令遵守と安全性も確保され、多様なスキルと知識を習得できるのもメリットです。
特に、造園施工管理技士やエクステリアプランナーなどの資格は、専門知識の証明になり、キャリアアップに大いに役立つでしょう。
外構設計のキャリアをスタートさせる場合は、取り組みやすい2級の資格から始めるのがおすすめ。
また、信頼性向上だけでなく、資格手当の支給や給料アップする可能性もあるので、資格取得は外構設計技術者としての道を切り拓くための重要なステップと言えます。
外構設計に関連する資格

「外構設計の資格はどんなものがあるの?」
外構設計に関連する資格は主に下記があります。
- エクステリアプランナー
- CAD利用技術者試験
- 造園施工管理技士
- 土木設計技士
1つずつご紹介するので参考にしてみてください。
エクステリアプランナー
エクステリアプランナーは、エクステリア工事の設計、工事、監理に関する専門的知識と技術を持つものに与えられる資格です。
エクステリア工事に対する信頼性を高め、快適で豊かな住環境や生活環境の向上に寄与できるようになります。
必須ではないですが、専門知識の証明になるので、お客様も安心して仕事を依頼できるようになります。
1級と2級がありますが、2級は受験資格がないため幅広い方が受験できます。
受験資格が無く、未経験の方でもチャレンジしやすので、まずは2級エクステリアプランナーの取得から始めるのがおすすめ。
なお、エクステリアプランナーの資格試験については下記の記事で詳しく解説しています。エクステリアプランナーの試験概要や学習方法を知りたい方はぜひごらんください。
CAD利用技術者試験
CAD利用技術者試験は、CADソフトを利用して設計・製図業務を行うために必要な知識と技能を評価する国家試験です。
CADオペレータとして活躍するための重要な資格であり、設計図の作成や修正、データの管理など、CADを活用した業務に不可欠なスキルを評価します。
設計図を描く際に役立つスキルを身につけることができ、パソコンを使って効率的に図面を作成する方法を学べます。
専門知識がなくても取り組みやすく、CAD操作の基本が身につくため未経験者に最適な資格です。
CAD利用技術検定を取得しておけば、面接でのアピールポイントにもなります。資格が無くても入職はできますが、就職前に取得しておくのも良いでしょう。
造園施工管理技士
造園施工管理技士は、造園工事の施工管理を行う技術者に与えられる資格です。外構設計において、施工管理の面で重要な役割を果たす資格です。
植物の知識、外構工事の技術や管理方法を学ぶことができ、造園工事の全体的な管理や監督を行うために必要となります。
設計技術者においても、安全と品質を考慮したデザインをしやすくなるので、取得していて損はない資格です。
また、造園施工管理技士の取得で仕事の幅が広がることもメリットです。例えば、施工管理職に就くことができるようになります。
キャリチェンジする場合にも有用な資格と言えます。
造園施工管理技士の詳しい概要については下記の記事で解説しています。造園施工管理技士の取得方法や試験スケジュールを知りたい方はこちらも合わせてご覧ください。
土木設計技士
土木設計技士は、平成21年に創設された土木設計技術を証明する民間資格で、全国建設産業教育訓練協会が主宰しています。
この資格は、以下の技術を担う技術者を対象とします
- 構造計算
- 図面作成
- 数量計算
- 施工計画の作成
- インフラ整備・維持管理・更新などの詳細設計
以前の公共工事における設計ミスや施工不備を減らすために、実務型の技術者が必要とされ、この資格が創設されました。
この資格を取得することで、建設コンサルタントや工事会社の設計部門で活躍できます。
また、土木設計技士と技術士・RCCMの違いは、業務範囲にあります。土木設計技士は詳細設計を担当するのに対し、技術士・RCCMは発注者のコンサルティングを行います。
その他の関連資格
外構の資格は今回紹介したものだけではありません。
下記の記事で外構の資格や教育をご紹介しているので、こちらも合わせてご覧ください。
2級造園施工管理技士を歓迎!現場の管理経験が活かせる職場を探そう!
外構設計の年収

厚生労働省のjobtagによると、外構設計技術者とほぼ同じ職種である造園設計技術者の年収は603.9万円です。ですので、外構設計技術者もほぼ同じ年収が期待できます。
ただし、経験や資格、専門性、企業規模により大きく変わります。
例えば、20代のうちは300〜500万程度ですが、30代を超えると600万円を超えることが多く、50代になると720万円ほどになると予想されています。
また、関連資格の取得や経験を積むことで年収アップが期待できます。
参考資料 厚生労働省jobtag
まとめ:外構設計は創造性と高い技術力が必要だが魅力的な仕事

外構設計は、創造性と技術力が求められる仕事です。一人前になるには継続的な学習と経験が必要ですが、未経験からでも挑戦できるのが魅力です。
外構設計に興味がある方は、まず基礎知識を習得し、外構関連の企業に就職して実務経験を積み、必要な資格を取得することが重要です。
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