「高所作業に年齢制限はある?」
「高齢者は高所作業できないの?足場に登れないの?」
こんな疑問に答える記事です。
高所作業とは、高さ2m以上の高さで行う作業を指します。
例えば、2mを超える脚立や足場での作業です。
まず結論から言うと、高所作業は18歳以上であれば作業可能です。
つまり、高齢者の作業員も作業が可能となります。
高所作業に年齢制限は無いとはいえ、注意点も多くあります。
そこで本記事では、高所作業の年齢制限についてもう少し深掘りしていきます。
この記事の内容
- 高所作業の年齢制限について詳しく解説
- 高所作業の注意点を解説
この記事を最後まで読めば
- 高所作業の年齢制限について分かる
- 高齢者の高所作業について分かる
- 高所作業の注意点や安全対策が分かる
高所作業に詳しくない作業者や現場責任者に役立つ記事になっていますので、まずは1読ください。
静岡県御殿場市の土建屋に生まれ、大型重機が大好きな子供時代を送る。
建築に憧れ、三重短大で住環境を学ぶ。新卒でハウスメーカーFC工務店の「インテリアプランナー」に応募するも、社長の勘違いで募集したかったのはなんと「エクステリアプランナー」!!
ハウスメーカーで個人住宅のエクステリアを担当。その後、ゼネコン住宅事業部のインテリアプランナー、植木屋の外構プランナーを経て、現在は(株)ガーデンメーカーで営業設計を務める。
目次
高所作業の年齢制限は?65歳以上は禁止?
労働安全衛生法で、高所作業に従事するものは18歳以上と決められています。
年齢上限については定めていないので、高齢者でも高所作業は可能です。
しかし、高齢者が高所作業を行う場合、若い作業員に比べて事故の危険性が高くなります。
体力や反射神経が低下しているからです。
体力や反射神経が低下すると、認知や予知、判断の遅れにつながります。つまり「危険が迫っているのに、認識が遅れ正しい判断ができなくなる」ということ。
もう少し詳しく見ていきます。
現場によっては65歳以上の高所作業は禁止されている
「65歳以上の高所作業は禁止って話を聞く。じっさいどうなの?」
65歳以上の方が高所作業を行ってはいけない法律はありません。
しかし、高齢者は、体力や反射神経が低下しているので、65歳以上の高所作業を禁止している企業や現場もあります。
つまり、65歳以上の作業員に高所作業をさせるかは、企業の判断しだいです。
高年齢労働者の労働災害
年齢を重ねるにつれて、労働災害が発生しやすくなります。
参考までに、厚生労働省発表「高年齢労働者の労働災害の特徴」を見てみます。
(出典:厚生労働省 令和3年 高年齢労働者の労働災害発生状況https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000943973.pdf )
上記を見ると、年齢とともに事故件数が上がっていることが分かりますね。
転倒・墜落での災害が、男性の60代後半は20代の約4倍
転倒の場合、女性の60代後半は20代の約16倍
高齢者の労働災害が多い具体的な理由は、加齢による身体機能の低下(筋力、バランス、判断力、瞬発力の衰え)病気・薬の影響などが挙げられるでしょう。
いかに、高齢者の高所作業が危険を伴うのかが分かるかと思います。
高齢者は体調に問題が無いかを確認する必要がある
高齢者を高所作業に就かせる場合、まずは体調に問題がないか確認する必要があるでしょう。
自分での判断だけではなく、責任者が必ず確認することが重要になります。
これまで事故を起こさなかった高齢労働者は、自分は大丈夫だと思っているケースもありますので。
とはいえ、65歳以上の職人は経験豊富で、現場にとっては重要な存在です。
現場の責任者は、慎重に考えて起用することが大事と言えますね。
高所作業の注意点【安全対策で労働災害を無くそう】
高所作業の労働災害は高齢者だけではありません。
若者の事故も多く発生しています。
高所作業での労働災害を防ぐには、安全対策と、安全意識の向上が重要です。
どのように対策するべきなのか見ていきましょう。
保護具の着用
まず、保護具の着用は必須です。
必ず安全帯(フルハーネス)やヘルメットを着用することが大切。
2022年からフルハーネスの着用が義務化されたので、胴ベルト型はNGになります。
そもそも工事現場での保護具着用は当たりまえのことです。
しかし、足場作業をしているにも関わらず安全帯を使用していない方も見られます。
自分の身を守るためなので、どんな理由があれ安全帯を使用するようにしましょう。
適切な足場を設ける
安全に作業や通行ができるための、適切な足場を設けることも重要です。
足場で作業していると、たまに以下の理由で安全帯を使用できないことがあります。
- 安全帯を使用すると作業しづらい
- 安全帯を掛ける手すりが無い
対策として
- 現場の責任者は、作業者が安全に作業できる環境かチェックする
- 安全帯を掛ける手すりがない場合、責任者に連絡する
といったことが必要かと思います。
作業者が危険箇所に気付いたら、作業床の設置や手すりの増設などを責任者に提案し、設置されてから作業することで事故を回避できます。
現場監督、施工管理者は、定期的に見回りを行い危険箇所の発見をすると良いでしょう。
適度に休憩を取る
適度に休憩を取ることも重要です。
体調が悪いときは、高所作業をしない。
もしくは中断することを心がけましょう。
責任者は作業員が快適に休める休憩所の確保、長時間労働にならないようにスケジューリングすることが大切です。
足場の上に物を置かない【整理整頓】
むやみに足場の上に物を置かないようにしましょう。
工具につまずき転倒する事故につながるからです。
工具が落下して下にいる作業員にケガをさせる危険もあります。
工具は腰袋に収納して安全に持ちあるくようにしましょう。
手すりを外したら作業終了後に復旧する
やむを得ず、手すりを外して作業しなければならないこともあると思います。
その際は、必ず安全帯の取り付け設備を使用してください。
取り付け設備がない場合、責任者に報告して設置してもらいましょう。
作業終了後は元どおりに直しておくことが大事。
また、手すりを外したことを知らない作業者が通行すると危険なので、看板を立てて知らせることも大切です。
高齢者の体力に考慮する
高齢者を高所作業に従事させるなら、以下のことに気をつけましょう。
- 高齢者の体力を考慮する
- 適度に休憩させる
- 無理をさせない
- 作業負荷を減らす
- 人員の配置場所を見直す
特に高齢者は体力が低下しています。
体力の消耗が激しい夏は特に気をつける必要があるでしょう。
高齢者の作業員とコミュニケーションをしっかり取り、意思疎通を図ることが大事と言えますね。
高齢者特別教育の実施
安全意識を高めるために高齢者特別教育を行いましょう。
高齢者の安全意識を上げることで未然に事故を防げる確率が上がります。
特別教育を実施することで、高齢者特有の事故事例や危険を認識して安全に作業できるようになります。
まとめ:高所作業の年齢制限は無い【高齢者は慎重に】
この記事をまとめます。
- 高所作業に年齢制限はない(18歳以上なら作業可能)
- 65歳以上の方が高所作業を行ってはいけない法律は無い
- 企業によっては65歳以上の高所作業を禁止している現場もある
- 高齢者の労働災害が多い主な理由は、加齢による身体機能の低下
- 高所作業で高齢者を起用するなら体調に問題が無いかチェックする
- 労働災害を減らすには安全意識の向上、足場の点検など安全対策が大事
最も重要なのは、安全な作業環境の構築、作業員の健康と安全の確保です。
高所作業に年齢制限は無いとはいえ、危険が多く潜んでいます。
年齢に関わらず、安全対策は重要ですが、高齢者を起用する際はさらに慎重に判断するようにしましょう。