転職を考える理由で一番多いのが、福利厚生や待遇の向上です。

基本的に、規模の大きい会社ほど優遇されているといえます。同時に、求められる技術や施工能力は高くなることが多いです。

それでは、会社の規模を考えるときの目安は、資本金や従業員の数だけでしょうか。

土木会社に限らず、工事会社の規模を示す指標はいくつかあります。転職先の会社の規模を調査するときの参考として、この指標を覚えておくと便利です。

また、土木会社の規模による福利厚生・待遇の違いを、スーパーゼネコンやゼネコン、地元土木会社などでまとめましたので、転職先選びの参考にしてください。

高杉 有希子
監修者 エクステリアプランナー 高杉 有希子

静岡県御殿場市の土建屋に生まれ、大型重機が大好きな子供時代を送る。
建築に憧れ、三重短大で住環境を学ぶ。新卒でハウスメーカーFC工務店の「インテリアプランナー」に応募するも、社長の勘違いで募集したかったのはなんと「エクステリアプランナー」!!
ハウスメーカーで個人住宅のエクステリアを担当。その後、ゼネコン住宅事業部のインテリアプランナー、植木屋の外構プランナーを経て、現在は(株)ガーデンメーカーで営業設計を務める。

執筆者 お庭の窓口(転職情報)編集部

お庭の窓口転職情報の編集部です。 社内の造園・外構のプロたちから助言をいただきつつ、皆様に有益な情報を提供できるように頑張ります。

目次

土木会社の規模って何で比べるの?

会社の規模が大きいほど年収は高く、福利厚生や待遇は充実しているのが現状です。

この理由は、規模の大きな会社は条件を良くして優秀な人材を集め、会社の現状を維持・発展させたいからです。

転職先を選ぶには、規模はもちろん、内容も良い会社である必要があります。年商だけは良くても自転車操業では困るからです。

ここでは、土木会社の規模や内容を示す指標を3つ紹介します。

完成工事高・売上高

土木会社の規模を示す指標で一番先に使われるのが完成工事高です。完成工事高とは、一般業種では売上高にあたるものをいいます。

建設業と一般業種との大きな違いは、建設業では工事期間というものがあり、工期は数ヶ月から数年に及ぶものまであるという点です。

建設業と一般業種との会計(勘定科目)の違いをまとめました。完成工事高を見るときの参考になるはずです。

  • 完成工事高|建設工事による売上高
  • 完成工事原価|完成工事高に対する製造原価
  • 完成工事総利益|完成工事における粗利益
  • 完成工事未収入金|工事は完成したが入金は翌期になるもの(売掛金)
  • 未成工事支出金|原価は発生しているが工事完成は翌期以降になるもの

経営事項審査結果

経営事項審査とは、公共工事を受注しようとする建設業者が必ず受けなければならない審査です。

公共工事の発注機関は、競争入札に参加する建設業者に資格審査を行わなければなりません。各発注機関は、客観的事項と主観的事項を点数化して、格付けや順位付けを行います。

2つの審査事項のうち、客観的事項の審査が、経営審査事項です。

この経営審査事項の結果は、「一般財団法人 建設業情報管理センター」のWebサイトで公表されています。誰でも、どの会社の経営事項審査結果でも確認できます。

http://www7.ciic.or.jp/

上記のURLからサイトに入り、建設業許可番号か商号名称で検索します。

例として、土木業界で売上高1位の「NIPPO」の経営事項審査結果の一部を掲載します。

官庁が付けるランク

官公庁(自治体含む)の建設業のランク付けの基準や各土木会社のランクは、各機関のホームページで確認できます。

例として、東京都の土木会社のランク付けを見てみましょう。東京都の等級算定表は、客観点数と主観点数の2本立てです。

客観点数は、そのまま経審の点数です。主観点数は過去の東京都内での工事実績や工事成績をベースに算定されています。

  • Aランク|客観点数900点以上・主観点数2億点以上
  • Bランク|客観点数750点以上900点未満・主観点数8,000万点以上2億点未満
  • Cランク|客観点数650点以上750点未満・主観点数3,000万点以上8,000万点未満
  • Dランク|客観点数600点以上650点未満・主観点数700万点以上3,000万点未満
  • Eランク|客観点数600点未満・主観点数700万点未満

※基本的に、点は円に置換えてください。

上記ランクのうち、Aにランク付けされている土木業者の「競争入札参加資格者一覧」の一部を掲載します。

実際に、志望する会社を検索する場合は、東京都のH.P → 産業・仕事 → 入札・契約情報 → 入札情報サービス → 競争入札参加有資格者名簿 → 競争入札参加資格者検索 の順で検索してください。

他の機関でも、同じような順番で検索できます。

土木会社の規模で違う福利厚生・待遇

土木会社の規模で、どのように福利厚生・待遇が違うのか、ネット上で調査したものをまとめて紹介します。

スーパーゼネコン

ゼネコンとは、ゼネラルコントラクター(総合建設業者)のことで、そのうち売上高1兆円以上の5社がスーパーゼネコンと呼ばれています。

スーパーゼネコンと呼ばれているのは、大林組、鹿島建設、大成建設、清水建設、竹中工務店の5社です。

このうち、大林組を例にして、福利厚生や待遇についてまとめました。

  • 平均年収|971万円
  • 残業時間|月53.8時間
  • 有給消化率|43%前後
  • 社宅・寮(個室)|各事業所周辺に必ず整備
  • 住宅関連|家賃補助(賃貸)・住宅手当(持ち家所有者)
  • 休暇・休職|産前後休暇・育児休職・育児短時間勤務・介護休職・介護短時間勤務

大林組の軽井沢や木曽などにある保養所(リゾート施設)は、有名な福利厚生施設です。

持ち家購入予定者には、税制優遇を受けられる財形貯蓄制度や低金利の住宅融資制度が用意されています。

地元密着の老舗土木会社

ここでは、創業60年以上で、地元密着型の老舗土木会社を例にして福利厚生や待遇について紹介します。転職サイトなどからの抜粋です。

仕事内容は、土木施工管理者を想定しています。

  • 会社の規模|従業員数952名・資本金36億9,500万円・売上高非公開
  • 年収|450万円~1,000万円(残業代・扶養手当込み・業績に応じて賞与支給)
  • 休暇・休職|年次有給(初年度10日)、年間休日120日程度
  • その他|資格手当・財形貯蓄・寮社宅・保養所(提携)・各種クラブ活動

記載されている年収の幅が広すぎる、年収に残業代が含まれているというのが気になるところです。交通費は全額支給、各種社会保険は完備されています。

このケースでは、自分にとって譲れない条件を明確にして、履歴書送付・面接などに臨むことが失敗しない転職のコツです。

一人親方と労災・建設国保

福利厚生や待遇よりも、自分らしく働くことを第一に考えて、一人親方を選ぶ人がいます。労働者を雇わず、自分や家族だけで仕事をします。

同じ職場の人間関係に悩むことなく、自分で仕事の調整や単価が決められるため、魅力的な働き方だと考える人が一定数いるのです。

一人親方が注意しなければならないのは、不測の事態が起きたときの対処です。通常、会社に雇用されていないと労災保険には加入できないのですが、一人親方には「特別加入制度」があります。

加入できる社会保険は、建設業の国保組合か市区町村の国民健康保険です。建設業の国保組合には、傷病手当などの独自の福利厚生を付加しているところもあるのでおすすめです。

一人親方を継続するためには、常に仕事が切れないようにしなければなりません。人並み以上の努力、積み上げた信用が大切になります。

まとめ

この記事では、土木会社の規模をチェックする方法と、規模の違いによる福利厚生・待遇の違いについて紹介しました。

  • 規模をチェックする方法|完成工事高・経営審査事項結果・官公庁のランク付け
  • 規模による福利厚生・待遇の違い|スーパーゼネコン・地元老舗土木会社・一人親方

転職で重要なことの一つは、志望する転職先は目標とする自分の将来像にプラスになるかどうか判断することです。

安定した環境でキャリアアップを目指すか、小さくても自分らしさを発揮できる場所を選ぶか。

土木会社の規模の分析は、その判断材料として大きく役立つはずです。

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