「サブコンってなんだろう?」
「ゼネコンとサブコンの違いは?」
「サブコンで働きたいからどんな仕事なのか詳しく知りたいな」
こんな疑問に答える記事です。
建設業はなんとなく分かるけど、ゼネコンとサブコンってどう違うのかわからない方もいるのではないでしょうか。
そこで今回はゼネコンとサブコンについて解説していきます。
具体的には
・ゼネコンとサブコンの違い
・建設業界の構造
・年収やサブコンでの働き方
・マリコン、地場コンもある
上記の流れで進めていきます。
サブコンで働きたい方にとって有益な記事になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
静岡県御殿場市の土建屋に生まれ、大型重機が大好きな子供時代を送る。
建築に憧れ、三重短大で住環境を学ぶ。新卒でハウスメーカーFC工務店の「インテリアプランナー」に応募するも、社長の勘違いで募集したかったのはなんと「エクステリアプランナー」!!
ハウスメーカーで個人住宅のエクステリアを担当。その後、ゼネコン住宅事業部のインテリアプランナー、植木屋の外構プランナーを経て、現在は(株)ガーデンメーカーで営業設計を務める。
目次
ゼネコンはある程度分かったけどサブコンって何?
それではさっそく、ゼネコンとサブコンの違いについて触れていきます。
ゼネコンって?
ゼネコンとは(ゼネラルコンダクター)の略で、総合建築業者のことです。
発注者から請け負った建築・土木工事を、専門業者のサブコンへ仕事を依頼し、工事現場全体の管理を行うのが役割です。
具体的には、土木・建築現場の指揮、日程調整、業務調整、マネジメントなどを行います。
つまり、工事現場のリーダー役、まとめ役といった感じです。
サブコンって何のこと?
サブコンとは、サブコントラクターの略で、ゼネコンから業務を請け負う企業を指します。
サブコンは様々な設備工事に分かれており、例えば電気工事、とび工事、給排水設備工事などがあります。
各専門分野の施工における、スペシャリストといっても良いでしょう。
下請け業者だからゼネコンより規模が小さい会社かというと、実はそうでもありません。
特に電気工事のサブコンは規模が大きく、大手は年商3000億円を上回ることもあります。
ゼネコンにとってサブコンとは?
ゼネコンにとってサブコンは無くてはならない存在です。
建設業で必須となる専門的な設備工事を行うのは、サブコンが担当するからです。
では、ゼネコンとサブコンの違いや、建設業界の構造についてもう少し深堀りしていきましょう。
サブコンとゼネコンの違い
施主(発注者)がいて、最初に仕事を請け負うのが「元請け」、さらに仕事を請け負うのが「下請け」という構図が基本です。
建設業では「ゼネコンが元請け」「サブコンが下請け」という関係が成り立ちます。
つまり、ゼネコンの下に位置するのがサブコンということになります。
仕事の役割的には
「ゼネコンは現場全体の管理」
「サブコンは工事現場の一部の工事を管理」
という違いもあります。
ゼネコンが現場全体を見て、細かい設備工事をサブコンが管理するということですね。
サブコンの契約形式
サブコンの契約方式には以下があります。
【一式請負】
ゼネコンが施主から、建設工事一式(大工、左官、設備などすべて)を請け負うやり方。
依頼を受けたゼネコンがサブコンなど専門業者と契約を結び、監督や管理を行うというものです。
サブコンはゼネコンから設備工事を依頼され、指示どおりに作業に当たります。
施主の負担が軽く、工事現場を管理しやすいという点がメリットです。
【別途工事(分離発注方式】
施主がゼネコンとサブコンにそれぞれ仕事を発注する方式です。
一式請負のようなゼネコンとサブコンの間に契約関係はありません。
施主は、好きなサブコンを選んで契約します。
しかし、完全に仕事が別になるわけではありません。
理由は、同じ建物を作っている関係上、協力して作業しなければならないからです。
現場の仮設物(トイレや事務所)についてはそれぞれのゼネコン、サブコンが用意します。
施主はサブコンと直接契約を結ぶので、交渉や提案をしやすくなるというメリットがあります。
手数料も安く済みますが、施主はサブコンとの契約や管理業務をしなければならないのがデメリットです。
【コストオン工事(コストオン方式)】
別途工事のやり方にプラスして、ゼネコンが工事現場の設備(仮設事務所やトイレなど)を一括して用意する方式です。
コストオン工事の具体的なメリットは以下のとおり。
- 施主とサブコンが直接契約できる
- 施工内容、工事費の透明化ができる
- 資材コストや設備費の削減ができる
- 品質の安定が期待できる
- 下請け業者は適切な値段で工事ができる
品質の安定や責任の区分がはっきりしますし、サブコンとしても利益を上げやすくなります。
サブコンがいなくなるとどうなる?
一括請負では、発注者から仕事を請け負う会社は基本的に1社だけです。
その請け負った会社がさらに仕事を依頼する下請けは1社ではなく「一次下請け、二次下請け、三次下請け、四次…」というようになります。
一次下請けの会社から、さらに他の会社が仕事を請け負うことを「二次下請け」、さらに請け負う会社が「三次下請け」という感じ。
下請けでも会社によって立ち位置が変わるということですね。
この下請け企業が層になる現象は「重層下請構造」と言われています。
サブコンの仕事革命?
一見大きな問題は無いように見える重層下請構造ですが、大きなデメリットがあります。
- 工事の質や安全面の低下
- 下請けから元請けに対しての意見が届きにくい
- 下請け企業の単価が安くなる
など、様々な問題点があります。
近年では重層下請構造の解消のために「別途工事」「コストオン工事」を採用する工事が増え、サブコンはゼネコンの下請けという位置づけが変わってきています。
サブコンは施主と直接契約することにより、生産性向上と技術者の働き方改革が期待できます。
これによりサブコンは単なるゼネコンの下請け企業ではなくなります。
また複数のゼネコンと契約を結ぶサブコンが増えてきています。
理由は、仕事が途切れないようにするためです。
そうすることで業績が安定し、将来的な成長も期待できるようになります。
サブコンの会社には種類がある?
冒頭でサブコンは設備工事を行う会社とお伝えしました。
では具体的にどんな設備工事があるのでしょうか。
ここではサブコンの種類と、大手企業をご紹介します。
工事の種類
サブコン(設備工事)の種類は以下のようになっています。
【電気設備工事】
建物の電気設備を施工する工事です。
例えば建物内への電気の引き込み、コンセントや照明、空調設備の設置、インターネット設備の設置などです。
簡単に言うと「建物内で電気を使えるようにする工事」という感じです。
工事のやり方は以下の2種類があります。
架空方式
電柱から建物内の引き込み電流を経由して、地下に埋まっている高圧ケーブルから受変電設備に配線する工事
地中方式
地中に電気ケーブルを埋めて、受変電設備に配線する工事。
架空方式が一般的で、地中方式は電柱がない都市で行われる工事です。
【空調設備工事】
建物内の温度、空気の流れ、換気、排気、給気、湿度調整する設備を取り付ける工事です。
例えば、エアコン、除湿機、空気清浄機、換気扇の取り付けなどですね。
「建物の中の空気を綺麗にして、快適な空間を造る工事」と思ってOKです。
機器の取り付けも行いますが、メインは空気やガスを流すための配管工事になります。
【衛生設備工事】
水道管から建物内に上水道を引き込み、給水設備や排水設備、給湯設備、消火設備など、水回りに関する設備を整える工事です。
洗面台、浴槽、トイレなどの衛生設備、キッチンの給湯器などのガス設備などが該当します。
建物内で「快適に水やお湯を使うための工事」ということですね。
水を引く際は、住宅工事では本管から給水するのに対し、ビルなどの大型の建物では水圧が足りないため、一度給水ポンプで高置水槽に水を組み上げてから供給します。
【防災(消防)設備工事】
火災が起きたときのために、消防設備を設置する工事です。
消化器、火災警報器、非常警報設備、スプリンクラー、防排煙設備、避難はしごなどですね。
消火設備だけでなく、避難するための設備も含まれています。
サブコン大手企業をランキング形式でご紹介
それでは、設備工事を行うサブコンにはどんな企業があるのでしょうか。
ここではサブコンの大手企業を資本金の多い順に紹介します。
就職の際の参考にしてみてください。
【高砂熱学工業】
資本金 | 131億3,400万円 |
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売上高 | 302,746百万円(2022年末 連結) |
本社 | 東京都 |
ビル、オフィス、商業施設といった建物の空調設備、工場の産業空調設備を整える企業です。
大きな企業なので「企画、設計、施工、保守」までトータル的なサポートを行っています。
ちなみに、空調設備業界1の売上高がありますよ。
【三機工業】
資本金 | 81億518万円 |
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売上高 | 258億円 (2021-2022年) |
本社 | 東京都 |
ビル空調、産業空調、電気事業、スマートビルソリューション事業を行っている企業です。
省エネルギー化、空調の快適性、電気の安定供給や有効利用、工場のクリーンルーム技術など、空調、衛生、電気などに関する分野に関わっています。
建築以外では、プラント設備事業や不動産事業も行っていますよ。
幅広い分野で活躍している企業と言えますね。
【サーラコーポレーション】
資本金 | 80億2500万円 |
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売上高 | 2,279億円(2021年11月決算) |
本社 | 愛知県 |
エンジニアリング&メンテナンス事業では、ガス、上下水道、土木・舗装・港湾工事のインフラ整備、電気、空調、給排水設備などの設計・施工・保守、工場や大学のシステム開発までサポートしています。
メインの売上は都市ガス・LPガス供給ですが、建設・土木のサブコンとしてもかなり大きな規模で事業を行っている企業です。
【ユアテック】
資本金 | 78億390万円 |
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売上高 | 2,253億円(2022年3月決算) |
本社 | 宮城県 |
オフィス、ビル、工場、病院といった施設の電気設備、空調設備、給排水設備の設置や土木建築工事、リニューアル工事などを行っています。
他には情報ネットワーク、再生可能エネルギー関連の工事も手掛けています。
ユアテックは東北電力の傘下です。
したがって、仕事は東北電力から依頼されます。
ちなみにですが日本の大手電力会社は、東北電力のように設備工事会社を傘下に置いています。
例えば「東京電力は関電工、中部電力はトーエネック、関西電力はきんでん」という感じです。
ですので電気工事のサブコンはほとんどが、親会社から受けることになります。
【大気社】
資本金 | 64億5517万円 |
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売上高 | 2,092億円(2022年3月決算) |
本社 | 東京都 |
ビル空調設備、産業空調設備など、人が快適に過ごすための空調設備の設計・施工を中心に事業を行っています。
オフィスビル、学校、病院、商業施設や、工場のクリーンルーム設備の設計・施工も行っています。
人が快適に暮らせる環境を整えるだけでなく、日本のモノづくりにも貢献している会社と言えますね。
他には関連機器の製造や販売・輸出なども行っていますよ。
サブコンで働く場合
「サブコンで働いてみたい!」
と思う方にとって、働く時間や年収、将来性はとても気になるポイントですよね。
この章では「サブコンで働いたらどうなるか」というポイントに目を向けてお話できればと思います。
- 仕事量や残業
- 年収
- 将来性
1つずつ見ていきましょう。
仕事量や残業について
まず始めに建設業全体の状況を見ていきます。
結論から言うと、他の業界に比べて建設業の時間外労働はとてつもなく多いです。
なぜなら建設業の人手不足は深刻だからです。
下記の国土交通省のデータを見ると人手が足りていないのが分かると思います。
いくら上の人が休ませたくても、人がいないから出勤せざる負えないんです。
そしてサブコンはどうなのかというと、仕事量も時間外労働も多いです。
理由は、サブコン企業は複数の仕事を請け負うからです。
複数の仕事を請け負うとどうなるかというと
「今日は工場の現場」
「来週は病院」
「来月からは地方で新しい現場が始まるから出張」
「また工場に戻ってくる」
こんな感じで複数の現場が同時進行になります。
1人あたりの仕事量も多く、残業も毎日のようにある印象です。
わりと、サブコン企業ではこんな状況が普通になってるのが現状。
想像してみると、正直きつそうですよね…
では今後はどうなるのでしょうか。
実は「建設業働き方改革加速化プログラム」というのを国土交通省が作成しており、職場環境が改善される可能性があるんです。
例えば2024年4月からは、建設業でも時間外労働の上限が規制されます。
【時間外労働の上限】
月45時間、年360時間以内
特別な事情がある場合でも単月100時間未満、複数月80時間以内、年720時間以内
今後は、上記の時間外労働時間内に収める必要があります。
また国土交通省は
週休2日の達成、女性活躍を推進する企業、働き方改革に積極的に取り組む企業は評価する
とも言っています。
これにより建設業全体の働き方が変わり、サブコン企業も時間外労働が減る可能性は十分にあると言えるでしょう。
年収
サブコンの平均年収は「466万円」ほど。
この数字は日本の平均年収「441万円」より大きい数字です。
今回紹介した大手サブコン5社の平均年収も紹介していきます。
大手サブコン会社名 | 平均年収 |
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高砂熱学工業 | 889万円 |
三機工業 | 857万円 |
サーラコーポレーション | 656万円 |
ユアテック | 695万円 |
大気社 | 1038万円 |
このようになっています。
平均年収に比べてかなり高いことが分かります。
また、サブコンでは空調設備工事業、電気設備工事業の年収が高い傾向にあります。
高年収を目指すなら、やはり大手の空調設備か電気設備工事会社が良いと言えそうですね。
将来性
サブコンの今後の将来性は明るいと言えるでしょう。
なぜなら別途工事(分離発注方式)が増えているから。
これまでメインだった「一式請負」ではどうしてもゼネコンがピンハネします。
別途工事(分離発注方式)で施主はゼネコンとサブコンにそれぞれ仕事を割り振るのでピンハネされることもありません。
また、建設業働き改革プログラムで、重層下請け構造も改善されていくと予想されます。
重層下請け構造が解消されれば、サブコンはゼネコンの下請けでなくなり、施主と直接取り引きでき、仕事受注のチャンスも増えます。
2022年の建設投資は62兆9900億円で、前年度から微増となっていますが、働き方改革により今後のサブコン企業の未来は明るいと言えるでしょう。
サブコンのほかに、マリコンと地場コンもあるの?
ここまでサブコンについてお伝えしてきました。
サブコンの他には「マリコン、地場コン」というのがあります。
それぞれ特徴をみていきましょう。
マリコンとは
マリコンとは「マリーンコントラクター」のことです。
マリーンですので海洋土木、つまり海の工事を専門に行う企業です。
例えば、海の埋め立てや、海底トンネル工事などですね。
特徴は規模の大きい工事が多いこと。
海底トンネルの工事になると、完成まで10年以上かかることもあります。
代表的なマリコンは
- 五洋建設
- 東亜建設
- 東洋建設
- 若築建設
- りんかい日産建設
などがあります。
地場コンとは
地場コンは、特定エリアに密着したゼネコンのことです。
地域密着型で、都道府県規模の総合建設業という感じ。
とはいえ総合建設業ですので、ゼネコンとやることは大きく変わりません。
地場コンの特徴としては、工事の規模が小さいことです。
例えば
- 住宅
- アパート
- 小規模マンションやビル
- 県道、市道
- 配管工事
など。
上記のような地元の公共工事や民間工事が中心で、地元の人が多く活躍しています。
ゼネコンほど規模が大きくないので、転勤が少ないのも特徴の1つですね。
まとめ:ゼネコンとサブコンの違いを知り就職に活かそう
今回は、ゼネコンとサブコンの違いにスポットを当てて解説してきました。
まとめると
- ゼネコンは「総合建築業者のこと」
- サブコンは「ゼネコンから業務を請け負う企業のことで設備工事を行う」
- とはいえ最近は働き方改革で「ゼネコンの下請けという関係が変わりつつある」
- 現状は「サブコンは仕事量も時間外労働も多い」
- 2022年4月からの時間外労働の上限規制で「サブコンの働き方が変わる」
- 海洋工事の「マリコン」地元密着企業の「地場コン」もある
サブコンは建設業では無くてはならない存在です。
総合的な建設業より、電気や空調など専門的な仕事をしたいならサブコンがおすすめです。
興味のある方は、ぜひ目指してみてくださいね。