「建設業の福利厚生について、どう活用すれば良いのか知りたい」
「転職活動で福利厚生を重視するべきか迷っている」
「建設業の福利厚生は他業界とどう違うの?」
このような疑問をやお悩みをお持ちではないでしょうか。
転職活動をしていると、福利厚生がどのように自分の生活に影響を与えるのか、どんな制度が自分にとって最適なのか不安になることもあります。
しかし、福利厚生は転職先を選ぶ際に重要になるので、しっかりと理解して活用することが大切です。
この記事では、建設業における福利厚生の特徴と、転職活動を成功させるために知っておくべきポイントを詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
福利厚生とは?

働くうえで給料や仕事内容と同じくらい大事になってくるのが「福利厚生」です。
なんとなく聞いたことはあるけど、実際のところどんな内容なのか、どこまでが福利厚生なのか、はっきりとは知らない人も多いかもしれません。
まずはその基本から整理していきましょう。
福利厚生の基本的な意味とは
福利厚生とはざっくり言うと、従業員の生活を支えるために会社が準備している制度や仕組みのことです。
直接的な給与とは別に、生活のサポートや働きやすさの向上を目的に、企業が用意しているおまけ”のようなイメージを持たれることもありますが、実際にはとても重要です。
福利厚生がしっかりしている会社で働くと、医療費の負担が軽くなったり、子育てや介護との両立がしやすくなったり、住居費の支援が受けられることもあります。
特に家庭を持っている方や長く安定して働きたい人にとっては、生活体を支える大きな柱になります。
法定福利厚生と法定外福利厚生の違い
福利厚生には大きく分けて2つの種類があります。
- 法定福利厚生 :国の法律で企業に義務づけられている制度
- 法定外福利厚生:企業が自主的に用意している制度
法定福利厚生には、健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険といった社会保険関連の制度があります。
一方、法定外福利厚生には、住宅手当、通勤手当、家族手当、社員食堂、レクリエーションなど、企業が独自に用意している制度が含まれます。
特に転職活動のときには、この「法定外」の部分に注目するといいでしょう。
会社ごとの特色が出やすく、働く人への配慮や環境の良さが見えてくるからです。
基本的な福利厚生は3つ

日本では、労働基準法によって以下3つの支給が決められています。
- 時間外手当
- 休日手当
- 深夜手当
詳しく内容を見ていきましょう。
残業手当(時間外労働)
まず押さえておきたいのは、法定労働時間という考え方。
1日8時間、1週間で40時間を超えて働いた分が「残業」として扱われます。
もしこの時間をオーバーして働いた場合は、基本の給料に加えて“割増”した賃金が支払われます。
割増率は基本的に25%。例えば1時間あたりの時給が1,200円なら、残業1時間ごとに1,500円が支給されます(1,200円+25%)。
月60時間を超えると割増率は50%。つまり時給1,200円の人なら、1時間の残業で1,800円になるわけです。
最近では、中小企業でもこの“60時間超え”の割増が義務づけられてきているので、しっかりチェックしておくのが大事。
休日手当
労働基準法では、法定休日という決まりがあって、週に1日は必ず休ませなければならないとされています。
この法定休日に出勤した場合には、35%の割増賃金が発生。
つまり、時給1,200円なら1,620円になります。休日出勤は体力的にもキツいので、しっかりと報酬が加算されるということです。
なお、会社によっては週休二日制の「1日は法定休日・もう1日は会社が自由に設定」というケースもあります。
深夜手当
深夜手当は、夜10時から翌朝5時までの労働に25%の割増が発生します。
つまり、夜間に働いた分は時給が1.25倍になるということですね。
深夜時間帯の労働が残業や休日にもかぶっている場合、割増率は合算されます。
例えば、日曜日の夜11時から月曜の朝3時まで働いたとしたら、休日手当は35%。
深夜手当25% →合計で60%の割増、つまり1時間あたりの時給が1,200円なら1,920円になります。
このように、働いた時間帯や曜日によって賃金が大きく変わる仕組みになっています。
(参考情報 厚生労働省 労働時間・休日)
手当の計算基準になる「賃金」って?
「割増ってどの給料をベースに計算されるの?」という疑問もよくあります。
基本的には、基本給や職務手当、技術手当などの、毎月支払われる固定の手当が基準になります。
ただし、通勤手当や家族手当など、全員に一律で支給されないものや臨時的に支払われるもの”は含まれません。
反対に、たとえ住宅手当でも、全員に一律で支給している場合には計算に含めることになります。
会社によってルールが異なることもあるので、給与明細を確認してみると安心です。
建設業の福利厚生

建設業で働く人たちは、屋外での作業や体を使った仕事が多く、日々のコンディションや生活環境がそのまま仕事に影響します。
だからこそ、建設業では独自の福利厚生制度が整っているケースが多く、働く人たちにとって頼りになる存在になっています。
建設業界の福利厚生の特徴
建設業界には、現場での働き方に合わせた特有の福利厚生が用意されている場合が多いです。
特に「現場手当」や「工具手当」など、実際の作業に関係する支援があるのが特徴。
また、作業環境の違いや安全性の確保のために、現場ごとに異なる支援制度が導入されることも。
例えば、大規模な建設現場では、遠方に住んでいる作業員のために宿泊手当が支給されたり、作業用の衣類やヘルメットなどを会社が無償で支給することもあります。
建設業特有の現場手当・通勤手当
すべての従業員に支給される福利厚生とは違い、手当は該当する従業員に支給されます。
建設業で働く人にとって、毎月の給料にプラスされる「手当」はかなり重要なポイントです。
建設業でよくある手当の中でも、以下のようなものは定番です。
【現場手当】
まず代表的な手当が現場手当です。
オフィス勤務ではなく、実際に現場で作業をする人に支給されるお金のことです。
建設業の現場は、屋外での作業が中心になり、季節や天候の影響を大きく受けます。
夏は炎天下、冬は極寒のなかでの作業も少なくありません。さらに、重機を使ったり高所作業を行ったりと、危険が伴うケースも多いです。
支給額は企業によって異なりますが、月額で5,000円〜2万円程度の幅があり、現場の規模や内容によって増減することもあります。
【通勤手当】
次に多くの人が気になるのが通勤手当です。通勤距離が長い人や車通勤の人にとって、これはかなり助かる制度。
通勤手当は、公共交通機関を使って通勤する人には定期代の支給、車で通う人にはガソリン代や高速料金、場合によっては駐車場代まで支給されることもあります。
他業種でも通勤手当はありますが、建設業では地方出張や郊外の現場になることが多く、他の業種よりも多く負担されることがあります。
建設現場は常に固定ではなく、日々移動が発生する場合もあるため、こういった支援があるかどうかで通勤の負担も大きく変わってきます。
【資格手当】
資格手当は非常に大きな収入アップのチャンスです。
建設業では、施工管理技士や電気工事士、土木施工管理技士などの資格があると、それだけで手当が毎月つく会社が多いです。
例えば、2級の施工管理技士の資格を持っていれば、月額5,000円〜1万円程度の資格手当が支給されるケースもあります。
企業によって差はありますが、かなり大きいですよね。
資格を持っているだけで手取りが増えるので、スキルアップを目指す人にはぜひ注目してほしい制度です。
さらに一部の企業では、資格取得を目指す人向けに受験料補助や講習費用の支援制度が用意されている場合もあります。
つまり、会社の支援を受けながら資格を取って、その後は資格手当で収入を増やすという流れも可能です。
社会保険、労災保険など法定福利厚生の内容
建設業でも、もちろん法定福利厚生は整っています。特に注目したいのが労災保険です。
作業現場でのケガや事故が発生したときに、しっかりとした補償が受けられるようになっているかどうかは、安心して働くための大きなポイントです。
また、企業によっては建設業退職金共済制度(建退共)に加入していて、長く働くことで将来の退職金にもつながるケースがあります。
特別な福利厚生(社員食堂、健康支援制度など)
最近の建設業界では、働きやすさを重視する流れが強まっています。
その一環として、基本的な福利厚生だけでなく、特別な福利厚生に力を入れる企業も少なくありません。
社員の心身の健康や、日々の生活の満足度を高めることは、離職率の低下や生産性の向上にもつながるため、企業側にとっても大きなメリットがあるからです。
例えば、社員食堂の設置です。
建設業でも、設計・管理部門や事務所勤務のスタッフが多く在籍する企業では、社内に社員食堂を設けているところがあります。
また、ほとんどの企業では年1回の定期健康診断を行っていますが、特に福利厚生がしっかりしている会社では、健康診断の内容が充実している傾向があります。
例えば、通常の健康診断に加えて「がん検診」や「人間ドック」の費用補助がある企業もあります。
再検査が必要になった場合の医療費をサポートしてくれる制度があるところもあり、健康リスクに対する備えがしっかりしています。
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手当の課税ってどうなってるの?

「資格手当って全部そのままもらえるの?」「通勤手当って税金かかるの?」
実は、手当には課税されるものと非課税のものがあり、手取りに大きく関わってくる部分でもあります。
ここでは、建設業でもよくある代表的な手当を例に、課税・非課税の違いや注意ポイントをわかりやすく紹介します。
課税される手当・非課税になる手当の違い
まず知っておきたいのが、手当のすべてが「非課税」ではないということ。
ざっくり分けると、
- 生活の補助や労働に対する報酬的な意味合いが強い手当 → 課税される
- 通勤や出張など、実費補助に近い手当 → 一定条件で非課税
という違いがあります。
例えば「資格手当」「現場手当」「役職手当」「住宅手当」などは基本的に課税対象。
給料の一部とみなされて、所得税や住民税、社会保険料の計算に含まれるからです。
一方で「通勤手当」は上限内なら非課税。「出張旅費」「日当」「赴任手当」なども、条件次第で非課税になります。
非課税になる手当の条件
すべての手当が課税されるわけではなく、一定の範囲で非課税となるものもあります。
一番わかりやすいのは通勤手当です。
参考までに下記は、通勤手当の非課税限度額(2025年4月時点)です。
・公共交通機関利用の場合:月15万円まで非課税
・マイカー・バイク通勤の場合:距離に応じて月額非課税限度額が設定されている(例:片道15km超は月額1万1,300円)
この上限を超えた部分は課税対象になるので、あまりに高額な支給額には注意が必要。
また、出張旅費や日当などの手当も、会社の規定に基づいた「通常必要とされる範囲内」の支給であれば非課税になります。
(参考情報 国税庁 通勤手当の非課税限度額の引き上げ)
手当の課税が手取りに与える影響
課税対象の手当が増えると、給与全体に対する所得税・住民税の負担も増えるため、「額面は上がったけど手取りが思ったより増えない…」というケースも出てきます。
特に住宅手当や資格手当など、月額で大きく支給されるものについては、社会保険料の算出にも影響するため、健康保険料や年金の負担も増える可能性があります。
「もらえる金額だけ」で判断するのではなく、「手取りがどれくらいになるか」を冷静に見ることがポイントです。
建設業の働き方改革と福利厚生の変化

「建設業って労働時間が長い上に休日出勤もあって、休みが取りづらいイメージがある。実際どうなの?」
確かに建設業は他の業界と比べて労働時間が長く、年間休日が少ない傾向にあります。
一昔前の建設業は、福利厚生も限定的な印象がありました。
しかし、近年は時代の流れに合わせて大きな変化が起きています。
働き方改革の進展と福利厚生の変化
建設業界でも「働き方改革」の流れが強まり、企業は従業員の働きやすさやワークライフバランスを重視するようになってきました。
例えば、以前は土曜日も勤務という現場が多かった中、完全週休2日制を取り入れる建設会社も増加しています。
「現場は休めない」という時代から、「しっかり休んでしっかり働くこう!」という環境への移行が進んでいます。
また、長時間残業の見直しや、有給休暇取得の促進なども進行中です。
働き方の見直しと同時に、福利厚生の中身もアップデートされてきているということですね。
福利厚生改善の進展
以前は最低限の保障だけだった会社も、今は「住宅手当の充実」「資格取得支援」「育児・介護との両立支援」など、多角的にサポートする制度へと変化しています。
例えば、子育て世代向けに保育園費用の補助を行ったり、介護と両立しやすい勤務体制を導入している会社もあります。
建設業=男社会、体力勝負という時代は終わりつつあり、幅広い人が活躍しやすい環境へと進んでいるといえます。
地域・自治体の支援と働きやすい環境の作り方
最近では自治体も、建設業を支える人材確保のために様々な支援を行っています。
例えば地方で働く人には、家賃補助やUターン・Iターン支援などの助成金を出している地域も。
また、地域密着型の企業では、社員寮の設置や通勤バスの運行といった独自の工夫をしているところもあります。
会社だけでなく、地域ぐるみで働く人を応援する体制が整ってきています。
福利構成を意識した企業選びと面接でのポイント

未経験から建設業界へのチャレンジを考えている方にとっても、福利厚生は安心して働き始めるために大切です。
深堀りしていきます。
未経験者が福利厚生を重視するべき理由
未経験で新しい業界に飛び込むときは、仕事への不安だけでなく、生活面での不安も大きいですよね。
そんなときに福利厚生が充実していると安心感が生まれます。
特に「研修制度」「資格取得支援」「交通費・食費の補助」などがある会社なら、スタートダッシュを切りやすく、働きながら成長しやすくなります。
福利厚生が充実した企業の選び方
求人情報を見るときには、「未経験歓迎」や「資格不要」といった言葉とあわせて、「福利厚生充実」「サポート体制万全」と書かれているかチェックしましょう。
可能であれば、実際にその企業に就職した人の体験談や、口コミサイトなどの情報も参考にすると、イメージがつかみやすくなります。
面接で気になることは質問してみる
転職活動の面接や会社説明会では、福利厚生について質問するのはぜんぜん失礼じゃありません。
むしろ「ちゃんと制度に関心を持っている人」という印象にもつながります。
遠慮せず「福利厚生についてもう少し詳しく教えていただけますか?」と聞いてみてください。
具体的には下記を聞くと良いでしょう。
- 社会保険は完備されているか
- 有給休暇の取得率
- 育児、介護休業の取得実績
- 住宅手当や通勤手当の有無
- 資格取得の支援制度はあるか
- 育児や介護への支援体制
- 健康診断やメンタルヘルスサポート
福利厚生がしっかり整っている企業は、働く人のことを本気で考えている証拠です。
実際に従業員が、どんな福利厚生を使っているかも聞いてみてください。
福利厚生を最大限に活用するためのコツ
まず大切なのは、制度の中身を知ること。
就職・転職した後、会社から案内された資料をきちんと読んでおくことが重要です。
また、会社によっては申請が必要な制度もあるため、受け身で待つのではなく、自分から動いて情報を集めたり、担当部署に質問してみることも大切です。
まとめ:建設業の福利厚生を理解して自分に合った働き方を見つけよう

建設業界の福利厚生は、法定のものから会社独自の支援制度まで幅広く用意されています。
特に、現場で働く人たちの体や生活を支える制度が充実してきている今、転職活動の中でも福利厚生に注目することがとても重要になっています。
未経験でも安心して働ける環境を探すためには、制度をしっかり知り、自分に合った企業を選ぶことがポイント。
福利厚生の中身まで丁寧にチェックして、「ここなら頑張れそう」と思える職場に出会えれば、転職の成功率はぐっと高くなります。
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