公園(緑地を含む)に関する土木工事には、様々な工種があります。
国土交通省の公園緑地工事共通仕様書では、公園工事を以下の5つに分類しています。
・基礎整備
・施設整備
・グラウンド・コート整備
・植栽
・自然・育成
以上の5つには、土木工事に該当する工種が網羅されていると言っても過言ではありません。
一定額以上の工事を請け負うには、その工種を施工するための建設業許可が必要です。逆に言えば、建設業許可さえあればどんな建設工事でも請け負えるということになります。
「公園工事だから造園会社が請け負うもの」というわけではないのです。
この記事では、公園に関する土木工事の工種の種別ごとに仕事内容を紹介します。
静岡県御殿場市の土建屋に生まれ、大型重機が大好きな子供時代を送る。
建築に憧れ、三重短大で住環境を学ぶ。新卒でハウスメーカーFC工務店の「インテリアプランナー」に応募するも、社長の勘違いで募集したかったのはなんと「エクステリアプランナー」!!
ハウスメーカーで個人住宅のエクステリアを担当。その後、ゼネコン住宅事業部のインテリアプランナー、植木屋の外構プランナーを経て、現在は(株)ガーデンメーカーで営業設計を務める。
目次
公園の土台をつくる基礎整備工事の仕事内容
公園をつくるには、まず、土台となる基礎整備工事が必要です。
原地盤を切り盛りして表土を整え、植栽に適する良質土に入れ替えたり、これから整備される施設や設備の基礎をコンクリートや石でつくったりする工事です。
敷地造成工及び各種土工
敷地造成工及び各種土工は、公園の大きな枠組みを整えるための工事です。
整地、掘削、盛土、法面整形など、様々な土工の要素が関わってきます。さらに、平坦な敷地に変化を与えるための修景的な築山の造形が求められることもあります。
敷地造成工のもう一つの役割は、表土に肥沃な植栽用土壌を確保し、乾燥防止や雨水による土壌養分の流失を防ぐことです。
現場の状況によっては、開渠排水など水はけの確保や、土性や土質の改良が必要になる場合もあります。
また、コンクリートや石を使って、これから整備される施設や設備の基礎をつくることも、敷地造成工及び各種土工に含まれます。
擁壁工及び公園カルバート工
基礎整備工事には、擁壁工や公園カルバート工も含まれます。
擁壁工は、切土、盛土によって造形された土砂の流失や崩壊を防ぐために設けられる構造物です。床掘りや埋戻しなどの作業土工の後、場所打ちやプレキャスト(工場製品)のコンクリートをはじめ、コンクリートブロックや石を積んで施工されます。
公園カルバートのカルバートとは、地中に埋設された水路のようなもので、「暗渠」と呼ばれるものです。公園敷地内の排水の要として、場所打ちやプレキャストのコンクリートで設置されます。
基礎整備工事には、既存の構造物の撤去や移設、現状地盤に混入している不要な異物の除去も含まれます。
公園の施設をつくる施設整備工事の仕事内容
公園の施設整備工事には、利用者の快適性を高めるための園路や遊具・サービス施設整備工事があります。
公園には、様々な施設があります。園路広場、修景施設、遊具施設、サービス施設、管理施設などです。
修景施設とは、噴水、水流、池、滝、灯ろう、石組みなど、公園の景観を高めるための施設のことを言います。広義では、植栽、芝生、花壇なども含まれますが、これらについては、後述する植栽工事の中で紹介します。
各施設整備工事の概要をまとめました。
園路広場工 | 各種舗装や広場の設置工事で階段やデッキなども含まれる |
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修景施設整備工 | 石組み・モニュメント・水景施設などを設置する |
遊具施設工 | 遊具施設の組立設置工事で、特に安全性が求められる |
サービス施設整備工 | 時計台・水飲み場・洗い場、ベンチやテーブルなどの設置する |
管理施設整備工 | ごみ関連施設、門扉、柵、車止めなどを設置する |
この他に、四阿(東屋)、パーゴラ、温室、売店などの施設も、施設整備工に含まれます。
公園のグラウンド・コート整備工事の仕事内容
公園のグラウンド・コート整備工事は、野球場、サッカー場、陸上競技場、テニスコートなどのグラウンド・コートの舗装、スタンドの整備、グラウンド・コートに付随する施設を整備する工事です。
グラウンド・コート舗装工
グラウンド用舗装には、クッション効果と、透水・保水を兼ね備えた材料が使用されます。
舗装の種類としては、クレー、アンツーカー、天然芝、人工芝、アスファルト乳剤系、アスファルト弾性混合物系などがあります。
グラウンド・コート用舗装のポイントは中層です。表層からの衝撃を受け止めるのと同時に、浸透してきた水を速やかに排水し、表層が乾いた場合は毛細管現象で水分を補給する働きも必要なのです。
スタンド整備工
スタンド整備工とは、スタンド擁壁やベンチを設置する工事です。
スタンド擁壁は、プレキャストL型擁壁、プレキャスト逆T型擁壁が用いられます。基礎部分との密着に注意して、接合面が食い違わないようにする必要があります。
ベンチの設置では、ベンチ本体をコンクリート基礎や、ベンチ脚部にボルトで取り付けます。水平であること、足元地盤に水が溜まらないようにすることが必須です。
グラウンド・コート施設整備工
グラウンド・コート施設整備工は、ダッグアウト、スコアーボード、バックネット、ゴールポスト、審判台、掲揚ポールなどを設置する工事になります。また、侵入防止の柵なども、グラウンド・コート施設整備工に含まれます。
グラウンド・コート施設整備工では、特に、各競技の規定・規格に基づいた施工が必要です。
公園の植栽と自然・育成に関する工事の仕事内容
公園の植栽は、新緑や紅葉、花や果実で利用者の目を楽しませます。また、シンボルツリーとして公園の中心となるだけでなく、建築物や構造物を引き立てる役割も担う存在です。
自然・育成とは、公園緑地に生息する動植物を中心に、自然の復元や創出を目的に施工される工事になります。
植栽・移植工
植栽とは、どのような植物(全般)を、どのようなデザインやバランスで植えるのかを設計してから植え付けることです。将来的な生育状況や景観を想定し、適切な品種や数量が決められます。
植栽工としては、高木植栽工、中低木植栽工、地被類植栽工、花壇植栽工、草花種子散布工などの他、芝生保護や壁面緑化なども含まれます。
移植工とは、在来植物の現場内での移設や、別の場所から樹木などを移設してくることです。
自然・育成
自然・育成は、大まかに自然育成施設工と自然育成植栽工があります。
自然育成施設工は、自然に近い状態を維持したり復元したりするための整備をする工事です。動物や昆虫の生息空間を創出するために、盛土や水路、護岸などに関わる工事を施工します。
自然育成植栽工は、湿地育成、水生植物植栽、林地育成などがあります。自然環境の維持・創出・復元を目的に施工されます。
公園に関する土木工事|まとめ
ここまで、公園に関する土木工事について紹介しました。
公園の土台となる基礎工事
公園の利用価値を高める施設整備工事
スポーツ振興を促進するグラウンド・コート整備工事
人と自然をつなぐ、植栽や自然・育成工事
公園には、様々な土木工事が集約していることをご理解いただけたと思います。
そして、これらを維持・修繕して、私たちと公園を結び続けるのも土木工事の仕事になります。