「土木施工管理の仕事内容は?」
「土木施工管理の仕事ってどんな1日なのかな?」

 

こんな疑問に答える記事です。

 

土木施工管理は、公共のインフラや建設工事を支える大切な役割を担うとても重要な仕事です。

 

この記事では、土木施工管理の仕事内容や一日の流れ、求められる資格、やりがいと大変さ、未経験者向けのアドバイスについて、わかりやすく解説します。




目次

土木施工管理の仕事内容

道路や橋、ダムなど、私たちの日常生活を支える土木工事の現場で活躍する施工管理者は、工事をスムーズに進行させるために、さまざまな調整を行う重要な存在です。

ここでは、土木施工管理の仕事内容から役割、仕事の流れをご紹介します。

土木施工管理の役割とは?

土木施工管理は、工事現場での進行状況を管理すること。

具体的には主に、工事の品質、安全、工程を管理します。

この3大管理とも呼ばれる品質、安全、工程管理は建設工事において非常に重要です。

  目的 重要な理由
品質管理 道路や橋が丈夫に作られているか、ちゃんと使えるかを確認する もし品質が悪いと、すぐに壊れたり使えなくなるから
安全管理 現場での事故を防ぐために、作業する人たちの安全を守る 作業員が安心して働ける環境を作るために必要だから
工程管理(予算・納期) 工事を予定通りに進め、予算を守るために計画を立てる 工事が遅れるとお金が余分にかかってしまうし、納期を守らないと信頼を失うから

作業現場では、常に計画と実際の進捗が一致しているかを監視することが求められます。

遅れが生じたり、トラブルが発生した場合には、適切に対処しスムーズに作業を進めるための指示を出すのも施工管理職の重要な役割です。

非常に細かい管理が求められるため、責任の重い仕事です。

どんな現場で働く?対象となる工事の種類

土木施工管理者が関わる現場は、主に下記のような公共事業や大規模な建設工事に多く見られます。

インフラの分類 具体例
交通インフラ 道路、橋、トンネル、鉄道、空港、港湾施設
生活インフラ 上下水道、下水処理場、給水設備、ゴミ処理施設
防災・治水インフラ ダム、堤防、護岸、擁壁、防波堤、排水路
エネルギーインフラ 発電所、送電線、変電所、ガス供給施設
都市基盤インフラ 宅地造成、地下鉄、共同溝(電気・通信・ガスのインフラをまとめた地下空間)
公共施設の整備 公園、広場、歩道、自転車道、運動施設

このようなインフラ設備は、私たちの暮らしを安全で便利なものに保つために欠かせません。

なぜなら、道路や橋、水道や電気といったインフラが整っていないと、生活そのものが立ち行かなくなるからです。

例えば道路がなければ物流が止まり、食料や日用品が店に届かなくなります。水道が止まれば、飲み水や生活用水が確保できず、健康や衛生にも深刻な影響が出ます。

だからこそ、こうしたインフラをつくり、支えていく土木施工管理者の存在は非常に大切です。

現場をまとめ、計画通りに安全かつ確実に工事を進める役割は、まさに社会の土台を築く仕事と言えるでしょう。

仕事の流れは?着工から完成まで

土木施工管理の仕事は、工事が始まる前の準備段階からスタート。

最初は設計図や計画書をもとに、現場をどのように整備するか、どんな資材を使うかを決めます。

その後、実際に工事が始まると、施工管理者はその進行を確認し、問題がないかを常にチェックし続けます。

工事の進行管理は非常に重要で、予定通りに工事が進んでいるか、職人たちが安全に作業を行っているか、必要な材料が適時届いているかなど、さまざまなチェックを行います。

また、工事の途中で問題が発生した場合には、迅速に対応して解決することが求められます。

工事が終わると、最終的な完成チェックや引き渡しを行い、施工管理者としての役割が完了します。

土木施工管理者の1日の流れ

土木施工管理者の一日は早朝から始まります。

毎日同じような業務がある一方で、現場ごとに異なる課題も発生するため、日々の業務が変化に富んでいます。

詳しく見ていきましょう。

出勤から朝礼・現場確認まで

土木施工管理者の一日は、現場に到着してからの朝礼で始まります。

朝礼では、今日の作業内容や注意点、安全対策などを全員で確認。その後、現場の状況をチェックし、作業が予定通りに進んでいるかを確認します。

朝礼後は、職人たちが作業を開始する前に、必要な物資がそろっているか、作業に必要な機材や道具が準備されているかも確認します。

現場を見て細かな点をチェックし、トラブルが発生しないように準備を整えることが重要です。

午前中の主な業務内容

午前中は、主に現場の進行状況を確認する時間です。

施工管理者は、各作業が予定通りに進んでいるかをチェックし、もし遅れている部分があれば、どのように進めるべきかを指示します。

職人への指示や、作業の進捗状況を報告するための記録作業も行います。

また、現場に必要な資材や機械の手配も行い、作業が滞りなく進行するように配慮します。

現場での調整がうまくいっているか、予期せぬトラブルが発生していないかを常に確認することが求められます。

午後の仕事:職人との調整や記録作業

午後は、午前中に確認した進捗をもとに、さらに調整が必要な部分を対応していきます。

例えば、職人が何らかの理由で作業を中断している場合、どういった理由かを確認し、作業が再開できるように調整を行います。

工事がどれだけ進んでいるのか、どのような資材が使われているのか、進行に問題がなかったかなどを細かく記録し、後で提出する報告書にまとめます。

退勤前のチェック・事務作業

退勤前には、進捗状況を再確認し、明日の作業計画を立てます。

問題が発生している場合には、どう対応するかを考え、翌日の仕事に備えます。加えて、報告書の作成や書類整理も行い、事務作業も欠かせません。

また、現場全体の進行に問題がないか再確認し、必要に応じて職人に指示を出します。

退勤前にしっかりと確認しておくことで、翌日の作業をスムーズに進めることができます。

土木施工管理に必要な資格とは?

土木施工管理者として活躍するには、資格を取得することが求められます。

特に、土木施工管理技士という国家資格は、現場での管理業務を行う上で非常に重要な資格です。

土木施工管理技士とは?1級と2級の違い

土木施工管理技士には1級と2級があり、それぞれ管理できる工事の規模に違いがあります。

1級土木施工管理技士は、大規模な土木工事を管理できる資格で、全国規模のインフラ工事や大型工事に携わることができます。

一方、2級土木施工管理技士は、中小規模の工事を担当することができる資格です。

資格取得に必要な実務経験

1級・2級ともに「第1次検定(学科試験)」と「第2次検定(実地試験)」の2段階制いになっています。

第1次検定は学歴・実務経験不問で誰でも受験可能ですが、第2次検定には所定の実務経験が必須です。

土木施工管理技士を取得する方法や試験内容は、下記の記事で詳しく解説しているので合わせてご覧ください。

合格率は?どれくらい難しいのか

土木施工管理技士の合格率は、1級と2級で異なります。

【令和元年〜令和5年の平均合格率】

資格区分 検定区分 平均合格率(直近5年)
1級 第一次 53.8%
  第二次 34.1%
2級 第一次 64.6%
  第二次 44.9%

特に、1級の合格率は低く、しっかりとした準備が求められます。

2級の合格率は1級に比べて高いですが、それでも一定の難易度はあります。

しかし、試験に合格できれば、施工管理者としての信頼性向上やキャリアアップが可能となります。

未経験から資格を取る方法

未経験から土木施工管理技士の資格を取ることは可能です。

例えば、専門学校や講座を受けることで、知識を学びながら資格取得を目指せます。

また、未経験から建設会社に就職し、実務経験を積みながら資格取得に向けて勉強する方法もあります。

どちらの方法にしても、2級であれば未経験者でも比較的取得しやすい資格です。

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土木施工管理のやりがいや魅力

土木施工管理の仕事は下記のような大きなやりがいと魅力があります。

ここでいくつか紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。

社会に貢献できる

土木施工管理者の役割は、道路や橋、ダム、空港といった、私たちの日常生活に不可欠なインフラを作る仕事に携わることができます。

インフラは私たちの社会基盤を支えており、その設計から完成までの一連の流れに関わることで、直接的に社会に貢献できます。

また、土木施工管理は、ただ工事を完了させることが目的ではなく、品質、予算、納期を守りながら安全に作業を進めるという非常に重要な責任を担っています。

自分の手掛けた工事が完成し、その成果が街や地域、さらには国全体に影響を与えると感じたとき充実感を得られるでしょう。

建物が完成したときの達成感が大きい

土木施工管理者の仕事の醍醐味の一つは、工事が無事に完了したときの達成感です。特に、大規模なインフラ工事に携わった場合、その規模と社会的な意義からも感動がひとしおです。

「自分が関わった構造物が社会の一部として機能している」と実感できる瞬間は、建設業に携わる人にしか味わえない特別な感覚です。

建物が形になっていく過程を見れる

土木施工管理の現場は、数ヶ月から数年単位で進行する長期間の工事が多いです。
最初は小さな段階から始まった工事が、少しずつ形になっていく様子を見守りながら仕事を進めることができます。

そして最終的に、計画通りに完成したときの感覚は、他の仕事ではなかなか得られない非常に大きな満足感を与えてくれます。

協力作業の面白さ

土木施工管理者は、現場での作業だけでなく、職人や他のスタッフとの調整やコミュニケーションも重要な仕事です。

現場では、多くの異なる専門技術を持つ職人が集まりそれぞれが異なる役割を持っています。

職人たちとの意見交換や問題解決を通じて、みんなで一つの目標を達成したとき、その達成感は非常に大きなものになります。

良好なコミュニケーションが取れてこそ、工事が円滑に進むということを実感できるのはこの仕事ならではの魅力です。

スキルアップしてキャリアを築ける

土木施工管理者として働く中で、自分自身のスキルアップを実感できる点も魅力の一つです。

実務経験を積むことで、多くの専門知識や技術を習得することができます。また、資格取得や昇進の機会も豊富にあり、自分のキャリアアップや給料アップにも繋がります。

施工管理に必要な資格を取得することで、専門知識が深まり業界内での信頼が増し、より高いポジションや責任を担えるようになります。

施工管理のスキルを磨いていくことで、現場監督などにステップアップすることも可能です。

土木施工管理で大変なところ・きつい部分

土木施工管理の仕事にはやりがいがある一方で、大変なことやきつい部分も少なくありません。

実際に現場で働く際には、予想以上に多くの困難に直面することもあるからです。

ここでは、下記の土木施工管理の大変なことやきつい部分について、具体的に説明していきます。

外仕事のため天候に左右される

土木施工管理の仕事は、基本的に屋外での作業が多いため、天候に大きく影響されます。
特に日本の四季折々の気候では、冬の寒さや夏の猛暑、さらには梅雨時の雨など、過酷な環境下で仕事を行うことがあります。

天候が悪化すると、工事の進行が遅れることがあり、場合によっては作業を一時的に中止せざるを得ないこともあります。

雨の日や雪の日などは、現場の状況に応じた柔軟な対応が求められます。

また、外仕事では身体的に過酷な環境で作業することも多いため、体力を維持することが求められます。

作業中に無理をしすぎると、体調を崩す原因となることもあるため、健康管理が非常に重要です。

工程管理や納期のプレッシャーが大きい

土木施工管理者は、工事の進行状況を管理し、工程通りに進める責任を負っています。しかし、現場での状況は予測できないことも多く、突発的な問題が発生することがあります。

例えば、地盤の問題や天候不良、資材の遅れなど、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。

問題を解決し納期通りに完成させるためには、常に冷静に対応する必要があります。

また、納期に間に合わせるために、施工管理者は非常に高いプレッシャーを感じることが多いです。

特に大規模工事では、納期の遅れが多くの関係者に影響を及ぼすため、その責任は重大です。

このプレッシャーに耐え、計画通りに工事を進行させるためには、高い問題解決能力と冷静な判断力が求められます。

人間関係や職人とのコミュニケーションがきつい

土木施工管理の現場では、職人や他のスタッフと協力して作業を進めていくため、人間関係が非常に重要です。

職人たちは、それぞれ異なる考え方を持っており、場合によっては意見が食い違うこともあります。
そのため、施工管理者はうまくコミュニケーションを取りながら、現場の調整を行う必要があります。

時には、現場で発生するトラブルや問題に対して、職人たちと協力して解決しなければならないことがあります。

このような調整作業は、非常に時間と労力を要し、人間関係がこじれると作業の進行にも影響が出る可能性があります。

そのため、常に円滑なコミュニケーションを心掛け、信頼関係を築くことが重要です。

書類作業や報告業務も意外と多い

土木施工管理の仕事は、現場での作業が中心だと思われがちですが、実際には書類作業や報告業務が非常に多いです。

工事現場では、工程や進捗状況、品質管理、安全対策など、多くの項目を管理し、記録として残す必要があります。

また、上司や発注者への報告書や会議資料の作成も求められるため、現場だけでなく事務所での作業も多くなります。

そのため、忙しい現場作業の合間に事務作業をこなさなければならないことがあり、意外に時間が取られることもあります。

書類作業がうまく進まないと、工事の進行にも影響が出るため効率よく進めることが求められます。

未経験から土木施工管理になるには?

未経験者でも土木施工管理者として働くことができますが、どのようにキャリアをスタートするかが大切です。

詳しく解説していきます。

未経験でも働ける?現場経験の積み方

「施工管理職は未経験でもできるの?資格もないけど大丈夫?」という不安はすごくよくわかります。

でも安心してください。ほとんどの会社では、まずは見習い的なポジションからスタートできます。

最初は資材の運搬や現場の清掃など、補助的な作業がメインですが、そこから少しずつ仕事を覚えていけばOKです。

実際に現場で働きながら、先輩の指導を受けたり、作業の流れを間近で見ることで、自然と施工管理の仕事が理解できるようになってきます。

未経験OKの求人の探し方

「未経験OK求人はどうやって探せばいいの?」

未経験者OKの求人を見つけるためには、求人情報をこまめにチェックすることが重要。

例えば、ハローワーク求人や、GARDEN-JOBなどの業界に特化した求人サイトで情報を得るのが近道です。

とはいえ、入社していきなり現場に放り込まれたら不安になりますよね。

ですので、ポイントは「研修制度があるかどうか」「資格取得支援があるかどうか」をチェックすることです。

施工管理の仕事は覚えることが多いので、ちゃんと教えてくれる環境があるかどうかで、成長スピードがかなり変わります。

また、未経験者を積極的に採用している会社は、社内の雰囲気も比較的柔らかく、相談しやすいケースが多いです。

研修制度のある会社を選ぶコツ

「入社後◯カ月はOJT(現場研修)」や「社内研修あり」などと書かれている求人を選びましょう。

「建設業は体育会系で怖そう…」と思っている人ほど、研修や教育に力を入れている会社を選ぶとミスマッチを防げます。

最近では働きやすい職場づくりに力を入れている会社も増えているので、会社選びの段階で雰囲気を見極めるのも大切です。

将来的なキャリアアップの流れ

施工管理の仕事は、未経験からスタートしてもステップアップがしやすいのが魅力です。

まずは現場で経験を積みながら「2級土木施工管理技士」の資格を目指すのが一般的なルートです。

そこからさらに経験を重ねて「1級土木施工管理技士」になれば、大規模工事を任されるようになったり、管理職としてチームを引っ張る立場になることも可能です。

将来的には独立して、自分の会社を立ち上げる人もいます。

ここまで実績や資格が評価に直結しやすい仕事ってあまりないかと思います。

建設業は能力主義なところがあり、学歴よりも、経験とスキルと実行力で判断されるのがこの業界の魅力。

もちろん厳しい場面もありますが、実力主義の分だけチャンスも平等です。

まとめ:土木施工管理の仕事内容を理解して自分の力を試してみよう

土木施工管理は、インフラを支える誇りある仕事でありながら、自分の成長も実感できる奥深い職種です。

現場での経験を重ねながら、スキルアップやキャリアアップを目指すことができます。

体を動かすだけでなく、計画を立てて人と協力する力も身につくため、「手に職」を超えた一生モノのスキルが身につきます。

少しでも「挑戦してみたい」と思ったなら、ぜひチャレンジしてみてください。

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氏永 勝之
監修者 smileグループCEO
株式会社ガーデンメーカー 代表取締役
愛知農園植木苗木株式会社 専務取締役
一般社団法人ガーデンビジネス協会 代表理事
氏永 勝之

愛知県稲沢市生まれ。稲沢市が「日本四大植木産地」であることもあり、幼少期か ら植木に囲まれて成長。
東京農業大学卒業後、名古屋市内の造園会社に就職。 公園の設備工事から国交省事業の国道整備工事における土木及び街路樹等の植 栽工事に現場代理人として携わる。

執筆者 ダーチー

工場に勤務しながらWebライターをしているダーチーと申します。これまで、建設業や製造業、物流業、飲食店のアルバイトまで経験しました。