「左官技能士ってどんな資格なの?」
「取得すると仕事にどんなメリットがあるのか気になる」
「実技試験は難しいのでは?」
と、疑問に感じていませんか?
建設現場で壁や床の仕上げを行う左官は、熟練の技術が求められる分、資格を持つことで信頼も実力も証明しやすくなります。
中でも左官技能士は、技術力を客観的に示すための国家資格として、多くの現場で重宝されています。
この記事では、左官技能士の概要から受験資格、等級ごとの難易度や試験内容、実際に受験した体験談まで詳しく紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
左官技能士とは|どんな資格か、取得方法も解説
左官技能士とは、建設現場で壁や床の仕上げ作業を行うための資格です。
左官技能士を取得することで、建築現場や企業からの信頼度が高まり、昇給やキャリアアップに繋がります。
もう少し詳しく見ていきましょう。
左官技能士の概要
左官技能士は、厚生労働省が認定する国家資格の一つで、左官作業に関する知識や技術、経験が総合的に問われます。
具体的には、壁塗りや床仕上げなどの作業を高品質に行う能力が証明され、就職や転職などにも有利に働くことが多いです。
資格には1級・2級・3級があり、受験者の経験やキャリアに応じて選択できます。
受験資格
左官技能士の受験資格は、級ごとに実務経験年数や条件が異なります。
級 | 主な受験資格 | 実務経験年数の短縮(例) |
3級 | 左官業務の経験がなくても受験可能 | |
2級 | 2年以上の実務経験 | 職業訓練校修了で0~2年に短縮 |
1級 | 7年以上の実務経験 | 2級合格後2年以上、3級合格後4年以上など |
左官技能士の受験資格は多様なルートがあり、職業訓練校の修了や学歴によって実務経験年数が大きく異なる点にご注意ください。
難易度
左官技能士検定試験は等級(1級・2級・3級)ごとに難易度が異なり、合格率にも大きな差があります。
等級 | 主な難易度・特徴 | 合格率(目安) | 備考 |
1級 | 難関・高度な技術力が必要 | 約30% | 実務経験7年以上など条件あり |
2級 | 中級・基礎+応用技術 | 約30% | 実務経験2年以上など条件あり |
3級 | 初級・基礎中心 | 約90% | 実務経験不要、初心者向け |
3級は未経験者でも合格しやすいですが、2級からは一定以上の実務経験が求められ、実技試験の内容も本格的になります。
特に1級はプロレベルの知識と技術が必要とされ、難易度はかなり高くなります。
事前の練習や対策が合格のカギとなります。
合格基準
左官技能士検定試験の合格基準は、実技試験で60%以上、学科試験で60%以上の得点(都道府県により多少異なる場合があります)が一般的です。
両方の試験に合格する必要があるため、実技と学科のバランス良い学習が求められます。
また、各級で問われる内容が異なるため、自分が受験する級に合った対策をする必要があります。
左官技能士検定試験の内容【1級・2級・3級の違い】
左官技能士検定試験は、各級で使用する材料や工法が大きく異なります。
ここで、各級の内容を紹介しますので参考にしてみてください。
試験の種類と内容
左官技能士検定試験は、どの等級でも、学科試験と実技試験の二本立て。
学科では材料の知識、安全衛生、施工方法など左官作業に関する幅広い知識が問われ、実技試験では、実際に壁を塗る・角を仕上げるなどの作業能力を判定します。
各級で難易度や課題内容が変わるため、しっかりとした事前学習と繰り返しの練習が重要です。
3級
3級左官技能士の試験は、主に基本的な作業能力や知識を評価する内容です。
主な内容は「壁の塗り」で、セメントモルタルをこてで塗りつけ、きれいに仕上げることが求められます。
試験では、墨出し(正確な線を引く)、材料の取り方、塗り方、仕上げのちり拭きなど、一連の作業を正確に行う技術が評価されます。
未経験の人でも、繰り返し練習すれば合格できる内容ですが、作業の流れや道具の使い方、仕上がりの美しさも重要です。
【体験談】
ちなみに私は3級の受験はしていませんが、練習だけ行っていました。
素人の状態から、2週間位で形になったので、未経験でも気軽に挑戦できるレベルだと感じました。
級 | 主な試験内容・特徴 | 主な使用材料・工具 | 標準時間・打切り時間 |
3級 | 床と仮定された試験台に所定の塗り仕上げモルタル施工の基礎コテ塗り・墨出し等の基本動作 | セメントモルタル定規、さしがね、ちりぼうき、こて | 標準:1時間打切り:1時間30分 |
2級
2級は、ある程度の左官実務経験を持つ人が対象。
実技試験の課題も難易度が上がり、より精度の高い仕上げや複雑な作業が求められます。
石膏に水や砂などを混ぜて作られる左官材料である、石膏プラスターをメインに使用します。
具体的には、壁や袖壁の下地に所定の塗り仕上げを行う課題や、吹き付け下地の仕上げなどを行います。
作業時間も長くなり、正確さや美しさ、材料の使い方などが厳しく評価されます。
学科では建材や施工手順、安全管理など応用的な知識も問われます。
【体験談】
私が2級を受験した際は、週3〜5日、1日3〜4時間、約3、4ヶ月の練習を積みました。
このペースで練習すれば、試験は自信を持って望めるでしょう。
級 | 主な試験内容・特徴 | 主な使用材料・工具 | 標準時間・打切り時間 |
2級 | 壁及びそで壁の一部と仮定された下地に所定の塗り仕上げ墨出し、中塗り・上塗り複数材料の調合吹付け下地の仕上げ | しっくい、ドロマイトプラスター、石膏プラスター、セメントモルタル、こまい壁基本工具+吹付け用具 | 標準:4時間50分 打切り:5時間15分 吹付け:5分 |
1級
1級は左官技能士の中でも最難関レベルであり、豊富な実務経験と高度な専門技術が必要となります。
実技試験は、単なる作業技能だけでなく、精密さや美しさ、アート性の高い仕上げなど、現場で求められる最高レベルの技術力が問われます。
具体的には、壁・天井・袖壁の一部を想定した架台に、石膏や漆喰を塗って仕上げる作業が中心です。
寸法や角度はもちろん、見た目の美しさや仕上がりの質感も厳しく採点されます
合格すれば左官職人として最高位の証となり、指導者や管理職へのステップアップにもつながる重要な資格です。
級 | 主な試験内容・特徴 | 主な使用材料・工具 | 標準時間・打切り時間 |
1級 | 壁、天井及びそで壁の一部と仮定された下地に所定の塗り仕上げ天井作業追加高度な施工技術・仕上げ吹付け下地の仕上げ | しっくい、ドロマイトプラスター、石膏プラスター、セメントモルタル基本工具+吹付け用具 | 標準:4時間50分 打切り:5時間15分 吹付け:10分 |
左官技能士の取得方法【訓練校で勉強がおすすめ】
左官技能士の資格取得には、独学や職業訓練校の利用といった複数のルートがあります。
ここでは、独学と訓練校、2つのポイントと練習時間を詳しくお伝えします。
独学での取得
左官技能士の資格は独学でも取得可能ですが、初めて左官作業に取り組む方にとっては非常にハードルが高い方法です。
教本や動画を活用しつつ、実技は可能な限り自宅や現場で練習が必要。
どうしても分からない点がある場合は、先輩に助言を求めるようにしましょう。
職業訓練校の活用
職業訓練校では、プロの講師から直接指導を受けられます。
未経験者や基礎からしっかり学びたい方には、職業訓練校がおすすめです。
設備も整っており、実戦に近い環境で効率よくスキルを磨けるのが大きなメリット。
卒業時に受験資格が得られるため、受験までのハードルも下がります。
仲間と一緒に目標に取り組むのは楽しく、効率よく勉強できますよ。
必要な練習時間
左官技能士検定試験に合格するためには、実技の練習時間がとても重要。
例えば、3級であっても合格までに50時間以上、2級や1級では3ヶ月から半年以上の練習が必要でしょう。
仕事や学業との両立が難しい人も、毎日コツコツと続けることが合格への近道です。
左官技能士検定試験【難しい点・気をつけるポイント】
左官技能士検定試験は、実技の精度や時間管理、学科知識の幅広さなど難しいポイントが多くあります。
特に本番では緊張や予想外のトラブルが起こりやすいので、日頃の練習で実際の試験をイメージして取り組むことが大切です。
安全対策や道具の管理など基本も疎かにしないよう心がけましょう。
3級実技試験のポイント
3級の実技試験では、基本的な壁塗りや仕上げ作業の正確さとスピードが求められます。
初めての受験者は、基礎的な道具の使い方や、均一な厚みを保つテクニックをしっかり身につけておくことが合格のポイント。
作業中の安全確認や環境整備も点数に影響しますので、油断せず丁寧な仕事を心がけましょう。
2級実技試験のポイント
2級実技では、より複雑な壁面仕上げや曲線部の処理などが試験課題として出題されます。
求められる精度も高くなるため、事前に何度も模擬課題を繰り返し練習することが重要です。
また、試験時間内に作業を終える時間管理能力も養っておきましょう。
自分の弱点を把握し、集中的に対策するのが合格へのポイントです。
1級実技試験のポイント
1級実技試験では、左官技能の集大成ともいえる高度な課題が課せられます。
装飾的な仕上げや、平滑な面を美しく仕上げる技術が求められ、わずかなミスも減点対象となります。
日々の練習だけでなく、実際の現場での経験や先輩職人からのアドバイスも貴重です。
常に細部に気を配り、丁寧な作業を徹底しましょう。
学科試験のポイント
学科試験は、材料の性質、施工方法、安全管理など幅広い分野から出題されます。
テキストや過去問を繰り返し解くことはもちろん、現場経験から学んだ知識を整理するのも効果的です。
見落としやすい細かいポイントもよく復習し、試験本番で焦らないよう事前準備を万全にしておきましょう。
2級以上の左官技能士取得メリット
3級の合格では、正直そこまでのメリットはないかもしれません。
しかし、2級左官技能士を取得すると、仕事の幅が広がるのはもちろん、職場での信頼や評価も格段にアップします。
詳しくメリットを解説します。
技術が向上する
資格取得に向けて学科や実技の勉強と練習を繰り返すため、自然と現場で活用できる技術が身につきます。
資格勉強を通じて基本の再確認もでき、独学や現場だけでは得がたい知識や新しい技術の習得が可能です。
日々の仕事にも自信を持って取り組めるようになる点が、何よりの魅力です。
手当が付く
2級左官技能士の資格取得者に対して、資格手当を支給する企業が多いです。
毎月の給料にプラスされることで、収入アップにつながります。
また、資格を持っていることで評価も上がり、将来的な昇進や昇給の可能性も高まるでしょう。
仕事の幅が広がる
2級左官技能士を取得すると、より高度な左官工事や新しい現場での作業も任されるようになります。
従来は経験豊富な職人が担当していた仕事にもチャレンジできるため、やりがいも増します。
新築やリフォームなど多種多様な現場で活躍できることが、資格取得の大きな魅力です。
転職や独立に有利
左官技能士の資格は業界内で高い評価を受けるため、転職や独立を考えている人にも大きなメリットがあります。
特に2級以上を取得していれば、即戦力として認識され、新たな現場でも信頼されやすくなります。
独立して自分の仕事を持ちたい方にも、有利な資格となります。
自分の成長を実感できる
資格取得に向けた努力や達成感は、普段の仕事だけでは感じられない自分自身の成長に繋がります。
合格後も継続的にスキルアップに取り組むことで、さらなるキャリアアップや自己実現が目指せるのが最大のメリットです。
自信がつくので仕事のモチベーションも向上します。
まとめ:左官技能士を目指して新しいキャリアに挑戦しよう
左官技能士は、専門的な技術と知識を証明する国家資格です。
取得には一定の努力が必要ですが、合格すれば仕事の幅や待遇が大きく変わり、将来の選択肢も広がります。
興味のある方は、ぜひチャレンジしてみてください。
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